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魔王討伐? 勇者にお任せします。ハズレ職『猫使い』の俺は、モフモフたちと異世界で気ままに暮らします  作者: シャロ


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会議①

あの出来事が起こる直前、城の応接間に隣接する執務室では、三人の男たちが重苦しい表情で木製の長テーブルを囲んでいた。

オスワルド国王、宰相ギリアム、そして大賢者エスタフ。召喚の儀を終え、異界の少年——藤宮優斗を客室へ案内した後の緊急会議であった。

「……さて。藤宮殿の今後の処遇についてだが」

静寂を破り、重々しく切り出したのは宰相のギリアムだった。眼鏡の奥の知的な瞳を光らせ、整えられた髭を指でなぞる。

「陛下。私は、藤宮殿を各国の勇者候補が集う『黎明の集い』へ派遣するべきかと存じます。たとえ『猫使い』という前例のない職業であろうと、彼は異界の魔法石によって喚び出された特別な存在。我々の預かり知らぬ、魔王を討ち果たす秘められた力を有している可能性は十二分にございます。また、他国の異界人たちと交流させることで、同郷ゆえの絆や新たな閃きが生まれるやもしれません」

その言葉に、腕を組んでいた大賢者エスタフも深く頷いた。

「左様……。古今東西の文献を紐解いても『猫使い』なる記述は一切存在せぬ。未知とはすなわち、無限の可能性の裏返しでもある。国家の研究機関の総力を挙げ、藤宮殿の持つ潜在能力を解明し、魔術的な訓練を施すべきでしょう」

国家の未来と魔王討伐という大義名分。二人の意見は極めて理にかなった、政治的かつ合理的なものであった。

しかし、オスワルド国王は静かに首を振った。

「ふたりの言い分も理解できる。異界の者同士の友情、あるいは未知の力の解明……どれも一理あろう。——だが、ギリアム、エスタフよ。思い出すのだ」

国王は立ち上がり、窓の外へと視線を向けた。その背中には、一国の王としての威厳とともに、深い罪悪感が滲み出ている。

「我らは、自らの都合で何一つ罪のない少年をこの世界へ引きずり込んだのだ。その上、元の世界へ還す術すら持たぬ。……そのような我らに、彼の生き方を強制する権利がどこにある? 勇者パーティーへ参入させることも、研究の対象とすることも、すべては我らの我儘に過ぎん」

「ですが陛下! 他国からの批判は免れませんぞ!」

ギリアムが悲痛な声を上げる。

「『アルカディア王国は貴重な異界人を遊ばせている』『召喚の権利を無駄にした』と、周辺国から強い非難を受けることは目に見えております!」

「構わん」

オスワルド国王の返答は、断固としたものだった。

「他国になんと言われようと、余がすべて背負う。藤宮殿が何を望もうと、余はそれを全力で叶えるつもりだ。彼が平穏を望むなら平穏を、土地を望むなら土地を与えよう。それが、取り返しのつかない過ちを犯した余にできる唯一の誠意なのだから」

国王の決定に、ギリアムとエスタフは固く口を結んだ。王の誠実さと決意の硬さを知るからこそ、それ以上言葉を重ねることができなかった。

——その時だった。


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