080⚫️タコの応酬や
着いたぞ。あやつに違いあるまい。
武士としての意地と面目がある。
何としても探し出して、決着をつける。
四郎次郎が庵から出る。’仕掛け’を見て回るのだ。
野ウサギやウリ坊がかかることもある。
また、これは追手への牽制でもあった。
・・・彼の眼に、逆さ吊りになったばかりの男が映った。
「で、わしを討ちにきはったんですか。」
「如何にもタコにも。」
「うわっ、上方の話し方、学んではりますな。」
「ふん。お主を追い続けるうちに、身についたようだな。ともかく、引き下ろしてもらったことには、礼を言う。かたじけない。」
「いや、わしが仕掛けた罠ですから、そう言われると何か、申し訳ない。」
「それで、お主は何をしておるのだ、こんな山奥で。」
「あんさんみたいなお人がくるんちゃうか、って逃げ延びてきただけですわ。」
「そうか・・・。河原で我らが一党のひとりを打ち倒したのも、お主か。」
「・・・あの時の人、そうやったんですか。言い訳はしません。わしです。」
「うーむ。お主、一体、どのような修行をしたのだ。あの時、我らが囲んだ際も、一瞬にして三名を屠った。霧が晴れて検分したが、あのような切り口はみたことがない。」
「そんな大層なものやありませんて。代々、剛刃流は嗜んでますけどな。」
「ふん、左様か。なるほどな。お主、大神だったな。新三郎の末裔か。」
「よう知ったはりますな。如何にもタコにも、五代前のご先祖さんですわ。言い伝えですけどな。」
あれっ、タコに反応しいへんなあ。
「ご貴殿に頼みがござる。何とぞ、一手ご指南いただきたい。」
なんで’お主’が’ご貴殿’になりますんやあ・・・。




