074⚫️そら卑怯やで & 075⚫️神さん、仏さん
074⚫️そら卑怯やで
奮戦する四郎次郎の右肩に、鋭い痛みが走る。
矢である。残りは五人ではなかったのだ。
遠間から、矢を放った者がいるのだ。
流石の四郎次郎も、ここで進退極まる。
射手はひとりであるはずがない。
うかつに動けば、的を見失った鏃がイロハに当たりかねない。
「イロハ。伏せるんや。わしが暴れてる間に、なんとか逃げてや。」
「先生、あかん、死んだらあかん!」
四郎次郎は大きく息をすると、正面の刺客に挑む。
075⚫️神さん、仏さん
「ちょっと待ってくれはりますか。」
あっ、親方。助けに来てくれたんか。
「お武家様、ここで殺ってしまいはったら、何にもわからんままですがな。腰のもん抜いたら、後戻りできんちゅうのは 、後で叱られますで。」
親方、何いうてはるんや。
「イロハ、よう動いてくれた。お陰で大神はんの動きもようわかった。まあ、堪忍な。これも商売や。」
親方・・・親方、なんやのん、それ。
うちを使こうて、先生を調べてたんか。
「すんまへんな。いろいろあると思いますが、ふたりとも生け捕り、っちゅうことやったですやん。」
こんなん、ひどすぎる。
・・・先生、ごめん、うちのせいや。
どうしたらええんかや。
神さん、仏さん、たすけてぇやあ〜!
イロハの中で何かが弾ける。
目覚めるものがある。
神様と仏様。
それらに頼らずとも、
秘めた力が、今、立ち上がる。




