前へ目次 次へ PR 57/86 066●飴玉は悲しい味やね 「先生、い・ろ・は から始めるんやな。」 「そうや。うん、どないしたんや。」 「うん・・・うちの名前がイロハやねん。」 「ほぉー、それはよい名前やなあ。響きもええし、みんながおぼえやすい。」 そう・・・かな。 うちがおぼえてるのは、名前だけや。 おっ父やおっ母の顔も、名前もわからへん。 そうか、ええ名前なんや。 「どうしたんや。泣いたらあかん。ほい、くち、あけ。」 先生は飴玉をひとつ、ほりこんでくれた。 あまい。でも、なんか、悲しい味やな。