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062⚫️行灯の灯は不気味や
「ほんなら、再興は、ならんと?」
「そや。お上は、どうしても認めへん。」
夜更けの部屋。行灯の光だけが、ぼんやりと揺れている。
男たちの声はひそひそとして、空気が張りつめていた。
「弟君に何の罪もあらへんはずやろ。しかも、他家にご養子として入ってはるんや。」
「そんなん、お上は、百も承知や。せやけど‘武士のタテマエ’っちゅうもんがあるんやろな。」
その言葉に、行灯の火がふっと揺らぎ、
壁に映る影が長く伸びる。
「して、ご家老は・・・どう動きはるんや。」
「それや。四郎次郎殿には、これからも各所への‘つなぎ’を頼みたい言うてはる。」
「・・・ということは、もしや・・・。」
「ご家老は、何も明言してへん。けど・・・腹は決めてはるかもしれん。」
少女が文字を習った昼間の穏やかな部屋とは思えぬ、
凍りつきそうな緊迫に満ちている。
行灯の中で、蝋燭の灯りがふっと揺らぎ、男たちの影が壁に長く伸びた。
まるで見えない誰かが、すぐ側で聞き耳を立てているかのように。




