046⚫️混じり合う意識
かつて、これほどの魔力を目にした者がいただろうか。
かつて、その魔力を「防ぐ」ことだけに、魂を削った者がいただろうか。
魔王は両手の指先から禍々しき爆炎を放ち続ける。一直線に迫る死の閃光!
エレナとルイーザが幾重もの魔法障壁を展開し、
グラノフの盾が最前面で火花を散らす。
荒れ狂う高熱の塊。破裂する衝撃。
三重の防御が、かろうじてその暴威を食い止めていた。
だが、無数の金剛の熱矢がエレナの防壁を貫き、グラノフの盾に突き刺さる。
溶ける!武神の盾が溶かされる!
グラノフは吼え、盾が溶け落ちる瞬間に新たな’アームド’を唱える。
ルイーザが魔力を注ぎ、エレナが再び防壁を張る。
だが、押される。
極限状態の中、三人の意識が混濁し、心は境界を越えて混じり合った。
だからよお、俺が防いでる間に逃げてくれ!
バカ! そんなことできるはずないでしょうが!
そうだよ、わたしが始めたわがままだもん!
言ってる場合か! 俺がこの盾と一緒に、盾そのものになってやる!
もう、意味わかんないわよ!
俺はな・・・お前と姫のためならいいんだ。修行で何度も死んでるんだ、もう一度くらいどうってことねえよ!
順序が違うでしょ!「お前と姫」じゃなくて「姫とお前」って言いなさいよ!
「姫」って言うな、エレナって呼んで!
いいや、お前とエレナでいいんだ。早く行け、頼む!・・・!
どさくさに紛れて、プロポーズしないでよ!
そうよ!海の見える丘の上がいいんじゃないのぉ!?
ちくしょう、そこに行くまで待ってろよ!
待てない!一緒に行くのよ!
だめだ・・・持たん!
諦めちゃ、だめ!まだ、やれる!
どうした!これほどでしかないのか、あなたたちの覚悟は!ワレには敵わんか!
そんなこと、ない!これからよ!
エレナ、すごぉい!またパワーアップした!
俺だって、もう六枚目の盾だ!
私だって、限界超えて魔力放出してんだからぁ!
俺たち・・・わたしたち・・・全開よ!!!
ほう。ワレの攻撃を跳ね返すか。・・・だが、なぜ攻撃せん?なぜ剣を抜かん!
攻撃なんて、できるわけないでしょ。エレナが許さないもの!
そうだ。オレたちは、あんたに剣は抜かない。矢も撃たない!
だから、なぜだと聞いている!ワレに臆したか!
・・・違う。心に痛みを抱えたまま、ひとりで戦ってきた人に・・・刃は向けられないよ!・・・!
ドドドドドドドドドドッ!!ドッカカカカカカーンンン!!
ついに魔力が臨界を超え、盾と防壁を粉砕した。
爆裂・閃光・暴風とともに、三人の体は魔王の前で無残に吹き飛ばされた。




