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045⚫️賢者のなりそこないが振るう愚者の最後の砦

「でも・・・でもね、カナタさん・・・。平和であることと、自由であることは、どちらも大切ではありませんか。」

「そうだ、そのとおりだ。だが、あなたはまだ、若い。賢者であっても直接体験したことは、そう多くはないはずだ。平和と自由が、ともに保証された世界・・・それが最も望ましい。わかっている。わかっているのだ。ワレも賢者の高みに届くところであったからな。しかし、それでも・・・その両方が並び立たないと知った時、この眼で見た時、この耳で聞いた時・・・苦痛のうめき、流れる血、肌を刺す炎の暑さ、人の冷酷さ・・・ワレはな、ワレは自由よりも平和をとることにしたのだ。」

「並び立つ可能性はあるのでは?わたしは、森の中で動物たちと一緒に静かに過ごしている方を知っています。そこには争いも、相喰むこともなく、ただ落ち着いた空気の中で、互いにゆったりとした時を過ごしている。その光景は、わたしの中に、確かにあるのです!」

「そうか。そのように見たのだな。感じたのだな。あなたの五感が。だがな、それはごく限られた者が為しうる技だ。永続する平和は、無限の資源がなければ保てない。そして、それは不可能だ。」

「ちがう!そうじゃない!譲り合えば道は広い!取り合えば足らない!でも、分かち合えば余る!わたしの中で、賢者の智慧がそう叫んでる!できる!できるの!長い苦難の道を乗り越えれば、人がわかりあうように努力すれば、文化や歴史や習慣、違いを乗り越えて、人は必ずわかりあえる!」

エレナの中で全てが覚醒した。


魔王は深い溜息をついた。

「やはりワレはなり損ないの賢者である。愚者の最後の砦を使うことになるとはな。そうだ、エレナ、ルイーザ、グラノフ。賢者一行が総力をもって、ワレを止めて見せい!」


魔王カナタは、その魔力と戦闘力を発現する。


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