043⚫️玉座 & 044⚫️一筋の涙
043⚫️玉座
だれもいない。
静かすぎる。美しい。
なんて綺麗なお城なの。
空気が澄んでいる。でも、なにか苦い。そして重い。
近い。魔王がいるんだ。
ルイーザ。グラノフ。ここまで一緒に来てくれて、本当にありがとう。
あの扉。あの扉のむこうに・・・いる・・・魔王がいる。
その扉は押し開かれた。玉座がある。
そして、そこに座するもの。
それこそが
魔王である。
044⚫️一筋の涙
「来たのだな。ふう。ワレが魔王。魔王カナタである。」
「はじめまして。わたしはエレナ。こちらがルイーザ、そちらがグラノフ。魔王カナタさん、お話しがしたくて来ました。」
「ふむ、そう聞いた。ゴーレムが最初にその意図を聞き取ったとおりだな。」
「でも・・・ごめんなさい。途中で魔族を無力化したり、ゴーレムをいっぱい壊してきました。」
「知っている。魔族は勇み足だったな。だが、ゴーレムは、あなたたちの思いの強さを見るために遣わしたのだ。気に病むことはない。あれらはただの機械仕掛け。もとより命は宿っていない。そら、そこの樹木ゴーレムのように、な。」
「カナタさん・・・。戦争をやめることはできませんか?わたしたちは戦いたくないの。どうして、争わなければならないのですか?」
「・・・よい質問だ。まっすぐな声だな。そうだ、あなたのように、皆が真っ直ぐだとよかったのだ。」
「どういうこと?わかるように教えてください。」
「賢者にわかるように、とは、な。もうすでに、あなたは知っている。ここに来ることができた、ということは、ワレの心も覗いたはずだ。」
「そう・・・そうですね。重く暗い、とても悲しい過去・・・。」
「ヒトはな・・・争うのだ。嘘をつくのだ。誰かのものを欲しがる。羨む。妬む。そして・・・奪うのだ。騙して・・・力づくで・・・己の利益のために。己の仲間のために。愛が外に向かう時、それは憎悪に変わる。ワレは見た。この数百年というもの、同じことの繰り返しだ。何も学んでいない。何も変わらぬのだ!もう、これ以上、ワレは耐えられん。領内の平和だけでは、もう、我慢がならんのだ!だから、だからこそ、ワレが秩序を作る!ワレのもとに恒久の平和を実現するのだ!」
エレナの頬に一筋の涙が流れた。




