捜索開始
異変は、野崎修が借金返済のために、ダイヤモンドのネックレスを探していること。
「野崎修よりも先にダイヤモンドのネックレスを見つける」
玲奈の提案に、仁は考える。
この家のどこかにあると思われるダイヤモンドネックレス。野崎修が『こちらの世界』の手を使ってさがしているのに、まだ見つかっていない。
「先に野崎修をどうにかしたほうがいいんじゃないか?」
先に自分達がダイヤモンドネックレスを見つけたとしても、事は簡単には終わらない。
祥子への説明や隠し遺産とかで、いろいろと面倒が起こりそうだ。特に野崎修親子が、何か言ってくるかだろう。
「それだったら、問題ない。手は打つ」
野崎修は、祥子に害をなした。玲奈はそれを許すつもりはない。何をする気だと、仁は心配になった。
「そういえばさ、昨日のアレは何だったんだ?」
捕縛に失敗した、野崎修が使役していた何か。実物を見ても正体がわからなかった仁が、玲奈に尋ねる。
「ああ、アレか」
忘れていた様子の玲奈。捕縛に燃えていなかったか、捕縛に失敗して悔しそうじゃなかったかと思ったが、仁は黙っていた。
「アレはもう問題ない。使い捨ての壊れたおもちゃみたいなものだったしな」
「はぁ?」
どういうことだと、仁が怪訝な顔をする。
昨日の夜、何かを直に視た玲奈は、正体がわかった。主人の命令を忠実に実行する召使、〈魔術師〉が〈使い魔〉としても使うモノ。正式名称的には〈ゴーレム〉とも呼ばれるモノだ。
野崎修が使役していたのは、姿を自在に変質できる金属タイプの〈ゴーレム〉。単純な命令しかできない、使い捨ての簡易なタイプの〈ゴーレム〉だ。
「攻撃してきたよな。アレ」
「暴走状態になっていたからな」
すでに〈ゴーレム〉への怒りを発散させた玲奈が、肩をすくめる。
作った〈術師〉が未熟者だったのか、野崎修が〈ゴーレム〉に正しく命令しなかったせいか。原因はわからない。使い捨てのタイプなら、不具合が起こってもおかしくはない。
「で、これからお前にやってもらうことがある」
「………俺になにしろと?」
にこりと笑う玲奈に、仁は不安になった。
「何、難しいことではない。この家にあるダイヤモンドネックレスの捜索をお前に任せたい」
一瞬、無理難題を押し付けられるのではないかと、警戒した仁は、ほっと一安心。
元々、捜索の依頼でこの家に来たのだ。探す物がとんでもない代物だが、こういった依頼には慣れている。時間はかかるだろうが、必ず見つけてみせる。
「それで、横山さんは何をするんだ?」
「私か?私はな」
それはそれは綺麗に、玲奈は笑って言った。
「いろいろと準備をしてくる」
何の準備だと、仁は聞かなかった。まぁ、結局のところは野崎修の自業自得だ、と仁は納得することにした。




