第九十七話 砂漠の日誌
「今何か……」
「ああ、カランって何かに当たった音が……」
タクヤとタケヒコはタクヤが投げた銀の槍の方向を見た。
「見に行ってきます!」
「ノノちゃん、行ってらっしゃい♪」
ザッザッと、深い砂の中をノノが進んでいく。丁度砂丘のくぼみができた辺りに、銀の槍は転がっていた。くぼみの斜面をズサァッと滑りながら進んだノノは、遂に銀の槍に辿り着く。
「槍です! ありました!! と、この辺かな?」
ノノは他の三人に声を掛けた後、槍の下にある砂をかき分け、掘り始めた。
「あ!!」
「どうしたノノ!!」
思わず声を上げるノノに、タクヤ達が駆け寄った。
「皆、コレ……」
「!!」
『砂のかけらを手に入れた!』
『と、いうコトは!?』
パーティの四人は槍周囲の砂をかき分け始めた。すると数秒もかからぬうちに、タクヤはあるものを見つけた。
「あ!!」
『ゼトの日誌を手に入れた!』
「ぃぃいいいいい」
『よっしゃあ!!』
パーティの四人は歓喜の声を上げた。次いで、タクヤが口を開く。
「よし! 砂漠の日誌、手に入ったな! さっそく読みたいところだが、ひとまずこの超暑い砂漠から出て始まりの村に帰るぞ。話はそこからだ」
『ラジャー!』
タクヤのパーティは、タクヤの宣言通り始まりの村に帰った。
始まりの村、飲み屋にて――、
「さて、『神殿』でめちゃくそ時間食って、『砂漠』でも小一時間くらい時間使っちまったんで、現実世界じゃ何時になってるか分からねぇ。ここで、だ。砂漠の日誌、今読むか、明日読むかを決めよう」
「明日!」
「明日でお願いします!」
「どっちでも♪」
タクヤの問いに、タケヒコはきっぱりと、ノノは右手を上げて、セルジュは笑顔で答えた。
「よーし、今0人、明日2人、どっちでもいいが1人で、明日に決定! つーこって、今日はここで解散! 明くる日は13時集合な!!」
『りょーかい!!』
「では、散!!」
「プツン」
タクヤはゲームの電源を切った。そして、んーと、目一杯に伸びをした。
「ふー、結構やったな。時間は……4……時……」
時計を見たタクヤは凍り付いた。頭を抱えて悶絶する。
「ヤバい……。次会った時、ノノに八つ裂きにされる……、フルフレイムが来る……。ライジングサンダー、やられるかも。チャットで謝っておこう……『誠に申し訳ございませんでした』と……」
「ピピッ」
「おっ、返信……『今日のところは許してあげますよ』……? どうしたんだ?」
一方でノノ宅――、
「『今日のところは許してあげますよ』っと……。だってタケヒコ君と長く居れたんだものー(悦)」
また一方でタカヒロ(タケヒコ)宅――、
「ノノ……今日も頑張ってたな……」
またまた一方でセイジ(セルジュ)宅――、
「見せられないよ♪」
……。
それぞれの夜が更けていく。
そして日は昇り、昼の1時、約束の13時に――。
「よーし、電源オンっと!」
「スタン!」
「スタン!」
「スタン!」
「ん!」
「あ!」
「え!」
タクヤ、タケヒコ、ノノは1秒の間隔を置いて、セーブポイントの始まりの村に登場した。
「おお、お前ら俺の1秒後ごとに出て来たぞ」
「こんなコトって……」
「?」
タクヤは仰天、タケヒコは動揺、ノノは事態を把握していないと、いった様子だった。タクヤは何かに気付き振り向く。そこには、セルジュの姿があった。
「セルジュ! お前は……お前もまさか、俺の1秒前に……?」
「ううん、20分前に来てたよ♪」
ズデッとセルジュ以外の三人は腰を抜かした。
「お前は……期待を裏切らないと言うか期待を裏切ると言うか……」
「まあいいだろ、タクヤ。砂漠の日誌読もうぜ」
「ああ、そうだなタケヒコ。何々……」
『私は自分の住まいとなる城を建てた。争いの中で分かった事がある。人類の敵は人類。黒魔術師達も元は人間だったらしい。恨み、つらみ、僻み、嫉みなどの負の感情から、心が蝕まれ暗黒面に落ち、人間から黒魔術師になったらしい。城を構えたところ、様々な地方から旅人が私を討とうと集まってきた。だが、相手になる者は誰一人としていなかった。そう、あの日までは……』
「――ここまで、だな。暗黒面に落ちたって言葉、久々に聞いた」
「そこ、ツッコむぅ? タクヤ♪」
「あの日って何のことなんでしょうか? タケヒコ君」
「まぁ、次の日誌で分かるよ、ノノ」
四人は思い思いに言葉を発する。
タクヤがうーんと、顎に手をやり考え事をしてみるが、答えは見つからず、数秒後、言葉を発する。
「引っかかるとこはあるが、次のマップ、『市街地』に行くぞ!」
『おー!』
――、
『市街地――』
そこは、行き交う人々や様々な露店で溢れ返っていた。
「どーやって探すんだー!! こんな人ごみの中!!!!」
タクヤは市街地の中心で愚痴を叫んだ。
「タクヤー! こっちで銀の手槍が売ってるぞー」
タケヒコが遠くの露店からタクヤに声を掛けていた。
「タケヒコぉ!! なーに呑気なコト言ってんだ!?」
「タクヤぁ♪ ちょっと」
怒るタクヤだったが、ここでセルジュに耳打ちされた。
「ここのマップ、たしか日誌とかけらが露店で売られてるんだよ」
「何!? 本当か、セルジュ」
「噓言っても仕方ないでしょ♪ 店を片っ端から尋ねると良いよ」
「よっしゃぁ! こっちには2000コインあるんだ! やってやるぜ!!」




