第九十六話 無尽蔵に広がる砂の中から
神殿内の探索は続き――、
『タケヒコのターン:戦う――、斬り付ける!』
『ノノのターン:戦う――、フルフレイム!』
『セルジュのターン:戦う――、ライトニング!』
『タクヤのターン:戦う――、槍で突く!』
――、
「ふー、この部屋は流石にもう『日誌』や『かけら』出てくるだろ!」
「たぶんな」
「出てくると良いね♪」
「わくわく」
タクヤ、タケヒコ、セルジュ、ノノは口々に言う。
現在の部屋――、
3つあるうちの部屋の入り口から向かって真ん中の宝箱の前に、四人は集まった。
「(日誌……来い……!)開けるぞっ!」
タクヤは藁にも縋る思いで宝箱を開けた。
「キィー……」
「……!!」
『ゼトの日誌を手に入れた!』
「おっ……おっ……」
『おっしゃぁああ!!』
パーティの四人は声を揃えて喜んだ。セルジュは労いの言葉を投げ掛けてくる。
「やっと日誌を手に入れたね♪」
「と、いうコトは!」
タクヤの興味は、もう次のモノへと移っていた。
「左の宝箱だ! 開けるぞ!!」
(今度は左なんだ……♪)
タクヤの選択に、セルジュは疑問を抱いた。
「キィー……」
「……コレは!」
『岩のかけらを手に入れた!』
「やっぱり! かけらもあった――――!!!!」
「やったね♪」
「右のも行くぞ!」
タクヤは束の間の喜びの時間に浸る暇も無く、最後の部屋入り口から向かって右側にある宝箱も開けた。
「キィー……」
「!」
『500コインを手に入れた!』
「おお! 金も貰えた!!」
(またか)
(守銭奴)
(金の亡者♪)
タクヤの反応に、タケヒコ、ノノ、セルジュ達三人の反応は冷ややかだった。
「でもまぁ、これで神殿の試練はクリアですね!」
「だな! ノノ。ここで日誌読んだら、次の試練も今日中に行けそうか?」
「そうですね、タクヤ君。昨日は早めに上がれたので行ってみようと思います!」
「よし! 他の皆も大丈夫か?」
『異議なーし!』
「決定だな。じゃあ、早速この『神殿の日誌を読むぞ』何々?」
『黒魔術師達の杖の先には、鋭利な刃があり、その先端には干からびたカエルの死体がひらひらと滑稽に踊っていた。知識を誰かから学んだ訳でもない私だったが、自ら理解できた。
“私はこの8体のカエルを贄にしてこの世に生まれたのだ。いや、目に見えたこれ等の他にも犠牲になった生き物がいたのかも知れないが”
私は黒魔術師達に問う。
“何故私の様な者を産み落とした?”
黒魔術師達は暗く、無機質且つ無表情な顔で、私に微笑みかけた。
“この世に混沌をもたらすためであります”
それから私は各地に点在する村々を襲った。剣や盾、甲冑を身に纏い、黒馬を従えて剣を振るった。陸という陸を走り各地に魔力を放って魔物を生んだ。火山道にも立ち寄った。そこで後の右腕となる、ルシファと出会った。ルシファとは即座に結託し、共に世に混沌をもたらさんことを誓った』
「――ここまでだ。要はこの世界をめちゃくちゃにしたいヤツらが変なん生んで,、生まれたそいつがめちゃくちゃにしたんだろ?」
「流石タクヤ! ざっくりしてるね♪」
「うぅー、カエルとか、苦手ですぅー」
「そうだそうだ、確かこんな物語だったな」
日誌の内容を把握したタクヤ、セルジュ、ノノ、タケヒコ達は口々に言う。
「じゃあ、次の試練、行くぞ」
次に口を開いたのはタクヤだった。リーダー風を吹かせて、パーティを引っ張っていく。――、
パーティ一行はまず始まりの村に戻り、一応セーブポイントでセーブしてから、次なるマップへ移動した。
『サバサバ砂漠――』
燦々と照りつける太陽の下、ただひたすらに乾いた砂が続いている。
「くはー、見ているだけでうだるような暑さが伝わってくるぜ。こんなに広大なマップから日誌やかけらを探すなんて、今回もノーヒントってコトぁねーよな、セルジュ?」
「いいや、タクヤ♪ ノーヒントだよ」
セルジュはタクヤに対し、首を横に振って見せた。
「……まぢ……か……」
タクヤは受け入れがたい現実に直面したのだった。
「歩くしかねーな」
「ですね!」
一方でタケヒコとノノは前向きに対応していく構えだった。
小一時間後――、
タクヤ達パーティの目の前には、一向に何の変化も無い風景が広がっているだけだった。
「な……、なあセルジュ。オアシスとか、無いのか?」
「無いよ、タクヤ♪」
ガーンと、タクヤは雷に打たれた様な気持ちになった。
「つべこべ言うなよ、タクヤ」
「そうですよ。自分はドラゴンに乗ってて楽なんだから」
『カッチーン』
タケヒコとノノの、心無い一言二言にタクヤは頭が煮えくり返った。
「んだとぉ!? (セルジュは別として)二人仲良くクラスチェンジ済みでキモチに余裕がありますってかぁ!? こちとら唯一のクラスチェンジ前だから切羽詰まってんだよ!!」
「あーあーまたヒス起こすんですか?」
「あのなぁタクヤ、今までのタクヤの言ってきたことの方が酷いぞ? 草刈り機とか薬草係とか」
「そうですよ! 雑魚狩りとか貧乏人とか……あぁ! 私達のコト、雑魚カップルとか言ってませんでしたか!?」
「あー! うるせぇうるせぇ!! やってられるか!!」
「ブンッ」
タクヤは持っていた装備、銀の槍を遠くに投げた。
直後――、
「フッ……カラン」
『カラン!?』




