第九十四話 宣言
宝箱の中から眩い輝きが放たれる。
「こ……、これは」
『銀の盾を手に入れた!』
「んー? 何かで見たような……」
「くっそー! ダブったか」
「!」
タクヤが何か思い出そうとしているところ、タケヒコが声を上げて悔しがった。
「何だ? タケヒコ。もうコレ、持ってんのか」
「忘れたのかタクヤ。俺の装備しているコレ、そっちのと同じだぜ?」
タケヒコはそう言うと、自身が装備している『銀の盾』をタクヤに見せた。
「oh……確かにダブってる」
「タクヤ♪ こんな時は……」
セルジュは明るくタクヤに話し掛けてきた。
「そうか! セルジュ」
「♪」
「実家の離れで売れば良いのか!」
セルジュは、金にがめついタクヤの発言にズデッと、ズッコケた。
「忘れちゃったかー♪ もう一度教えるよ、タクヤ。完全クリアするためには実家の離れにある展示場に、全ての装備を展示しないといけないんだ。だから装備アイテムがダブったら、迷わず展示場に展示すると良いんだよ♪」
「そうかー。完全クリアへの道は遠いな。ん? 展示場にもあるのはどうするんだ?」
「……」
「……?」
「流石に売ろう♪」
――、
「次! 右の宝箱だ!! 理由はテキトー!!」
タクヤは次の宝箱を開けようと意気込んでいた。セルジュはその様子を一歩下がって観察していた。
(んー、ヒトは迷ったら左を選択しやすいっていうけど、それは道に迷った時に限ったモノなのかな? それともタクヤが特殊だとか♪)
「開けるぞ!」
タクヤは大広間の入り口から向かって右の方にある宝箱を開けた。眩い輝きが放たれる。「!!」
『銀の槍を手に入れた!』
「よっしゃー! ドラゴンナイトである俺が使える武器、『銀の槍』来た――――!!!! ってもう持っとるわ!!」
「見事なまでにノリツッコミをしていったな」
「ええ」
タケヒコとノノは真顔でタクヤの言動を語っていた。セルジュがタクヤに話し掛ける。
「また展示場行きだね、タクヤ♪」
「おいセルジュ……」
「?」
「日誌やかけらどころか、今んとこ全部装備のだだ被りじゃねぇか。まさか3つ目も同じ調子にダブるってコトはねぇだろうな?」
「んー、無いとは言い切れないね♪」
「な!?」
「元々、“最後の試練”は日誌を探して、各マップをしらみつぶしに探しまくっていく感じだから、今回の神殿では全ての部屋の宝箱を開けて、やっとこさ見つけられるっていうケースもあるんだ♪」
「お……、鬼だな。最後の試練」
「さっ♪ 最後の宝箱、開けるよ」
タクヤ達は大広間の入り口から向かって向かって左側の、最後の宝箱の前に集まった。
(神様仏様、宝箱様……! 日誌かかけらか、どちらか片方だけでも出てきてください……)
タクヤは祈る様に目を閉じ一呼吸置いて、
「キィー……」
宝箱を開けた。
「んー……!」
『500コインを手に入れた!』
(ハッ!!)
(これって♪)
(いつものタクヤなら!!)
ノノ、セルジュ、タケヒコは想いを巡らせる。
しかし――、
「流石の俺でも喜ばねぇぞ――!!」
((いつもと違う――!!))
タクヤ以外の三人は思いを揃えてツッコんだ。すぐにセルジュがタクヤに話し掛ける。
「タクヤ♪ 今回のコインは、嬉しくないの?」
「……ああ。すぐにでもかけらが欲しいんだ。俺以外クラスチェンジしてて、出遅れてる感があるからな……」
「あ―♪(じらいふんじゃったかなー?)」
「まーこんな日もあるって! 切り替えようぜ」
タケヒコがタクヤの肩を組んで言ってきた。タクヤも、フーと、軽く溜め息をつき、
「……だな。今日はセーブして終わるか」
「……」
セルジュはその様子をしっかりと目に焼き付けていた。
(流石、タカヒロ……。僕はああはなれないなぁ……)
――、
「よし!! セーブもしたし、今日はここまで! 次の集合時間は、明日土曜日の13時くらいでいいか!?」
『異議なーし!』
「じゃあ、解散!!」
「プツン」
ゲームの電源が切れる。毎度のようにVRゴーグルを外したタクヤは、自室の時計を見る。針は0時30分頃を指していた。
「これくらいなら良いよな、うん」
タクヤは少々、パーティの三人のコトを機に掛けていた様子だった。そこで――、
「ブーブーブー」
「!?」
タクヤの携帯が鳴り始めた。
「んだよ!? 誰だ? こんな時間に」
発信相手を確認するタクヤ。
「!」
それはタカヒロ(タケヒコ)からのモノだった。
「ピッ」
「もしもし?」
「もしもし、タクヤ。俺だ。タカヒロ」
「知ってるよ、何の用だ?」
「あのさっ、ノノってどこに住んでんのかな?」
「! どうしたタカヒロ、お前マジで……」
「なんか最近、気になってて。さっきの戦いで、皆で生き残りましょうとか言って、気にかけてくれたからさ」
「さ……、さあな。どこに住んでんのかな?」
「やっぱり分からねぇか……」
タクヤは電話越しの声からタカヒロが深いため息をつき、視線を落としているのが分かった。
「あっ、でもっ! あのゲームのチャット機能使えば、ひとまず連絡取れるんじゃね?」
「そうか! そうだよな!! 俺、あのゲームクリアしたらデートに誘おうか?……いや、誘おう!」
「は……、ハハ。頑張れよ」
「おう! じゃあな」
ピッという音で電話は切られた。タクヤは数秒フリーズして虚空を見上げていた。そして数秒後、
「そうだ! セイジに報告だ!」
タクヤはセイジに電話するコトとした。




