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俺が入院しているスキに俺の実家がRPGの舞台になっていた件について  作者: 時田総司(いぶさん)
第七章 最後の試練

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第八十話 ドラゴンマスターへの道

クラスチェンジを終え、一段落したノノが不安そうにタクヤに話し掛けた。


「あのぅ、これから最後の試練をおこなうんですか?」


「分かってる! 休憩とりたいんだろ?」


タクヤは一転して先程の発言を撤回しそうな様子だった。


「あれ? 確か『今すぐ始めようって』……」




「気が変わったんだ」




「!?」


「それに、万全の状態で行って、『かけら』集めした方が確実だろ? 俺のドラゴンマスターへの道は着実なモノでなければ、な!」


「あ……、あくまで自分本位なんですね……」


「それがタクヤの良いところでもあるけどね♪」


「何が良いんだか」


ノノ、セルジュ、タケヒコはそれぞれ思い思いに胸の内を明かした。


「まぁ、ひとまず解散な! 次の集合時間等の日程調整はチャット機能でおこなう。じゃあな!」


『了解!』


「プツン……ゴトン」


タクヤは本物の実家の自室の机に、VRゴーグルを置き、ゲームを中断した。ふと、時計に目をやる。




『AM3:02』




「なぬっ!?」


タクヤは思いの外、現実世界の時間が過ぎていたことに驚愕した。


「やっべー。またノノに叱られるかも。金曜の夜は、はなきんとか言ってみんな元気だけど、流石に社会人にとってこの時間まで起きとくのは結構辛いかも……反省」


珍しく人並みに反省するタクヤであった。


「るせっ」


……。






――、


『タクヤは、ドラゴンマスターにクラスチェンジした!』


「がっはははは! これでこのパーティで一番強いのはこの俺様よぉ!!」


『魔将軍ゼトが現れた』


「出たな!? ラスボス! この前の様にはいかないぜぇ!!」


『タクヤのターン:スキル、ファイナルドラゴンクラッシュ!!』


「行くぜドラコ!」


「ギュウウウン!!」


「ドッガァァァァアアアアアアアア!!」


『ヒット! クリティカル!! 効果は抜群だ!! ゼト、HP:0/999、ゼトは倒した』


「よっしゃああああ!!」




「やったな、タクヤ!」


「おう、タケヒコ!」




「やりましたね!」


「やったぜ、ノノ!」




「さっすが♪ タクヤ!」


「おうよ、セルジュ。流石だろ!」




「おっしゃあ! 皆でタクヤの胴上げをしようぜ!」


『わっしょい、わっしょい、わっしょい、わっしょい』


「ははっ! はははっ!」






「ジリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!」






「!?」




「火事だぁ!! 皆、逃げろ」


「は?」


「ウー、カンカンカン!!」


「あ! 消防車だ!!」


「消火用意!!」






「ええええええええ!?」






「ッバ」


「ガバッ」




「ジリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!」




タクヤのベッドの上で、目覚まし時計がうるさく鳴っていた。


「あんだよ……夢……か」


タクヤは昨夜、深夜にいつの間にか眠りに就いていて、溢れ出るクラスチェンジへの思いの所為で先程の様な夢を見ていた。


「で――、何時だ? 今」


タクヤは左手で頭を掻きながら時計を凝視した。


『AM10:20』


「んな――――――――!!!?」


「五月蝿いわよ、タクヤ!」


「!」一階から母の声が聞こえてきた。


「ったく、早く降りてきなさい! お説教があるわ」


「……はい」


タクヤはローテンションで母の待つ一階の和室へと渋々足を運んだ。和室に辿り着いた時、母が顔の前で手を組み、神妙な面持ちで待ち構えていた。


「かーさん……何?」


「最近、土曜日の朝、寝坊し過ぎじゃない?」


「!!」


ギクリと、タクヤは胸に釘でも刺された様な気分になる。


「休みだからって、そんなにぐうたらしてると、何時まで経っても結婚できないわよ? あー後、朝ごはん冷めちゃったわよ。もったいないからお昼にあっためて食べなさい。朝ごはんは抜きだからね」


「(俺の朝ごはん……)ハイ」






――、


ふらふらと、千鳥足に近い足取りでふらつきながらタクヤは自室に戻った。


「と、兎に角……次の日程調整の為に皆にチャットだ……。あっ」


タクヤは、ゲーム『The battle begins on the farm』のチャット欄に1件の受信があるコトに気付いた。


「誰だ……? ノノ!」




『何で! 午前3時までゲームしないといけないんですか!? この歳で!! 今回は私のクラスチェンジができたからいいモノを……次の金曜日は、短めにできるヤツしかしないでくださいね!!』




「っぱ怒ってたか……他、は……」


受信は以上だった。


「皆社会人……俺の体力ももっていない……次の金曜日は検討の余地あり――、だな。さて、今日の集合時間は――、この前と同じ、13時から――、で。一斉送信っと」




「ピロリロリン」




「って返信早っ。誰だ」


『セルジュ:りょーかい♪』


「いつも思うけど、アイツいつも何やってんだ? 怪奇!! 奇人セルジュの謎を追え!! って番組作ってもよさそうだな。他の二人の返信待つか……」


11時頃――、


「ピロリロリン」


「おっ! 返信来た2件? あー!! タカヒロ(タケヒコ)とノノ、二人ほぼ同時刻に送って来てやがる! シンクロ率何%だ!? マジでできてそうだな。今度、茶化してやろう」




『タケヒコ:了解!』


『ノノ:了解です』




タカヒロ(タケヒコ)とノノの返信を確認したタクヤは、んーと軽く伸びをした後、大きく息を吸い込み、言葉を発した。


「よーし、それじゃあ昼飯食ったら待機だな。昼飯冷えてるけど……」


ほぼ一時間後、タクヤは最後の試練に備えて、静かに昼食を摂った。

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