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第七十五話 大ボス

「はい、復活の薬草♪」


『シュイーン』




『ガブリエルが復活した』


『アキラが復活した』


『寺岡が復活した』


『タクヤが復活した』




「ハッ!! ルシファは!?」


ガブリエルは目を覚まして辺りを見渡した。


その視界に映ったのは、


人差し指で少し鼻をこすり、照れ隠しをするタケヒコの姿、


心配そうにこちらを見つめるノノの姿、


満面の笑みを浮かべるセルジュの姿、


呆けているアキラの姿、


何を考えているのか分からない寺岡の姿、


そして不満そうなタクヤの姿がった。


「皆……」


「ガブリエルさん、あの時薬草を使ってくれて、ありがとうございます。でも何で自分に使わなかったのですか?」


「ああ、タケヒコ君。助け合いの精神だ。細かいコトはいいじゃないか」


「ガブリエルさん……」


タケヒコは胸にじんわりとくるものがある様だった。


と、ここで――、




「ガブリエルさぁーん!!」




「!」


ノノがべそをかきながらガブリエルに話し掛けてきた。


「やりましたよぉ! 強敵、ルシファを倒しましたぁ!!」


「ノノちゃん……。キミの放った攻撃が、一番効いてたんじゃないか。もっと自分に自信を……」


「ガブリエルさんのお陰ですぅ!!」


「!?(聞いてないのか……?)」




「ガブリエルさん……」




「?」


今度はやけにトーンの低い声が聞こえてきた。ガブリエルは、声のする方へと振り向く。と、そこにはタクヤが不満気に立っていた。


「タクヤ君か……。どうした?」


「どうしたもこうもありませんよ……。何で、俺じゃなくてタケヒコに薬草を使ったんですか!? お! か! げ! で! 力尽きてレベルが上がらず、パーティでドベんなっちゃったじゃないっスかぁ!!?」


「ああ、それはHPが高くて生き残りそうなプレイヤーを選んだだけだ」


ガブリエルはサラリと言う。


「何で! そんなアメリカ式の効率重視切り捨て犠牲は付き物だスタイルなんスか!? ここは日本で……」


「分かった分かった、タクヤ、黙ろうな」


「タケヒコ君の言う通りですよ。これ、ゲームだしホントに死んだわけじゃ無いからいいかないですか」


タケヒコはタクヤの口を塞ぎ、ノノはタケヒコに乗っかった形で、サラリと冷たい言葉を言い放った。


「んー! んんー!!」


タクヤの必死の抵抗虚しく、その声は誰にも届かなかった。




――、


「まぁこれで、ルシファ倒したってコトは今回のクエストはクリアだな!」


「ですね!」


機嫌が直ったタクヤはノノと一緒に、帰る身支度を始めそうな心境にあった。そこでガブリエルは既プレイクリア組に問う。


「これでクリアなのか? タケヒコ君にセルジュ君」


二人は神妙な面持ちで目線をやや下に向けていた。


「この反応は……」


「もしや……」


「さっきのルシファが中ボスで、大ボスは他に居るよ♪」




「なっ!?」


『ぎゃ――――!!』




セルジュの言葉に、驚愕するガブリエルと、絶叫するタクヤとノノであった。


「おい、セルジュ! そいつはどんな奴なんだ!? やっぱりルシファよりつえぇのか!?」


「んー、タクヤ♪ ルシファを倒したら連続で現れるから、そろそろ出てくると思うけど……」


すると、タクヤ達とガブリエル達、二つのパーティ全員を、黒い影が覆った。




「え?」




タクヤが虚を突かれて振り向くと、そこには3メートル以上ある真っ黒なドラゴンがバサバサッと、地に降り立とうとしていた。黒いドラゴンが、地面に着地すると、地震で言うところの震度3程の衝撃が、辺りを襲った。




「おっ!」


「わわわわわわわわ!」


「♪」


「来たか」




衝撃に耐えようとするタクヤ、


只々圧倒されるノノ、


毎度決まってマイペースなセルジュ、


身構えるタケヒコと、




タクヤのパーティはそれぞれ違う行動をとった。


衝撃が納まったあたりで、そのドラゴンは――、






「ウォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」






全てを丸呑みするのではないかと思うくらい、大きく口を開けて雄叫びを上げた。そこにいた全員はビリビリと響く音や衝撃波に只々姿勢を低く構えて、耐えるしかなかった。




「うお……」


「なんて奴だ……」


「久々に会うが、やはり迫力があるな……」




タクヤ、ガブリエル、タケヒコがそれぞれ言葉を口にするも、到底この状況を楽観視できていない。




「でも♪」


「やるしかない!」




セルジュとノノは決意を固める。




『ダークレッドドラゴンが現れた!!』




「明らかに今までの敵とは別格だ……HPは……?」


タクヤはステータスをチェックする。




『ダークレッドドラゴン、HP:777/777』






「!!! パチンコじゃねーっての!!!!」






タクヤは驚きのあまり良く分からないところにツッコミを入れた。




「そこですか……?」


「長期戦になりそうだな」




ノノとタケヒコは冷静だった。




「さて、そろそろ行くか。ダークレッドドラゴン、覚悟ぉぉおお!!」


『ガブリエルのターン:戦う――、槍で突く!』


「ズサッ!」


『ヒット! ダークレッドドラゴン、HP:737/777』




「腹くくるか、たぁぁああ!!」


『タケヒコのターン:戦う――、斬り付ける!』


『ヒット! ダークレッドドラゴン、HP:699/777』




「さて、初披露♪ 攻撃魔法、使いますか♪」


『セルジュのターン:戦う――、ライトニング』


「カッ」


眩い光が、ダークレッドドラゴンを包み込むように襲い掛かる!!


『ヒット! 効果は抜群だ!! ダークレッドドラゴン、HP:603/777』




「よっし! あの巨体、素早さステータスは低そうです! 今のうちに攻撃を!」






『おー!!』






ノノの言葉に、連合パーティの士気が上がった。

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