第七十二話 ガブリエル、再び
「はい♪ 復活の薬草」
「シュイーン」
タクヤの身体は灰色から艶やかな肌色へと変化し――、
『タクヤは復活した!』
「っふいー。助かったぜセルジュ、サンキュな」
「タクヤぁ♪ これからは人の話をよく聞いてから行動しようね」
「それでもセルジュ! 今回のはお前が勿体ぶってたのもあるだろ?」
「パンっ! パンっ! パンっ!」
ここで大きな音で手を叩く者が――。ノノだった。
「はーい、今回はこれまで、です!」
「こんなところでわめいていても、クエスト進まないだろ? さっさと行くぞ」
タケヒコも仲裁に入った。
「あー、タケヒコが! リーダーの俺を差し置いて、仕切ってやがる! リーダーはお……」
「ハイハイ、良いから行きますよ?」
「そうしよう♪」
「ドラゴン探しからだな」
「おいー! 俺をシカトして話を進めるなー!!」
一人騒ぐ、タクヤであった。
――、
一行はひとまず、火山のふもとを火山の頂上へ向け進んでいく。道中、タクヤが火口から流れ出る溶岩に過剰に反応しながら、ゆっくりとではあるが着実に、一歩一歩前へ――。
ふと、タクヤは顔を上にあげた。空は火山雲が立ち込めていた。
火山雲は、火山爆発の際に発生するキノコ雲状の噴煙である。ひっきりなしに不定期的に火山は噴火していたので、火山雲が空から途切れるコトはなかった。
すると、その雲の中からゴウっという風を切る音と共に一匹のドラゴンが現れた。
「! あれが討伐するドラゴンか!?」
「待て、タクヤ少し様子が……」
身構えるタクヤであったが、それをタケヒコは制止した。ドラゴンはこちらへ向かって来る! 目を凝らすと、ドラゴンの上には、一人の女性が乗っていた。
「待て、私は味方だ!!」
「!? アレは……!」
それは聞き覚えのある声だった。数秒後、そのドラゴンと、それに乗る女性の正体が分かった。タクヤのパーティは声を揃えて言う。
『ガブリエルさん!?』
バサバサッと、羽を動かしながらドラゴンは地上へと降り立った。
「久しぶりだね、タクヤ君達」
「ガブリエルさん! 元気にしてたか!?」
「ああ、タケヒコ君。それなりに――、ね」
「ガブリエルさん! ドラゴンマスターにクラスチェンジしていたんですね!?」
「そうだな、ノノちゃん。丁度この前に――、ね」
「ガブリエルさん! まだ全クリしてなかったんですね!?」
「あ?」
タクヤは、空気の読めない発言をし、正にガブリエルの逆鱗に触れてしまった。
「あっ。すいまっせーん」
「次は無いぞ?」
ガブリエルはタクヤの目の前に寄り、注意勧告した。ブルッとタクヤの体毛は逆立ち、さむいぼ全開になった。
――、
「そうか! それで今回は『火山のドラゴン討伐』のクエストを攻略していたんだな」
タクヤ達はガブリエルにことの経緯を話した。ガブリエルはそれをしっかりと聞き、納得した様子だった。タクヤは更に言う。
「はい! ガブリエルさん」
「私もここが、ストーリー攻略上、最後のクエストになるのでね。ここをクリアしたら、魔将軍ぜトと対峙する上での最後の試練に挑戦できる……」
「ゼトと対峙する前に、最後の試練に挑戦……?」
「ああ、その試練をクリアすると、ゼトと戦うことができる」
「アレは大変だったな」
「うん♪」
タケヒコとセルジュが割って入って来た。
「な!? 全クリ組の二人が舌を巻くほどかよ……」
「うう……。このパーティじゃなかったらここまで来れたのかも分からないのに……」
パーティの二人の発言に対して、タクヤとノノが言葉を失っていたところに――、
「おーい! 待ってくれー」
「!」
「!?」
火山のふもとの、かなり下の方から何者かの声が聞こえてきた。
「アレは……」
フーと、ガブリエルは溜め息をついた後、タクヤ達のパーティに教えてやった。
「アキラさんと、寺岡さんだよ」
「!?」
アキラと思われるシ―フ姿の女性(ゲーム内では)と、そのまんまの寺岡と思われるオッサンが数十秒後、パーティに合流した。しばしの間、七人は憩いの時を過ごす。
「アキラ監督、なんか姿変わっていないですか?」
「おうよタク……そうねタクヤ。剣士からシ―フに変わったぞ……変わったのよ。これで敵からアイテムを奪える」
((何かウチのパーティにもそんな奴いたー!))
タクヤのパーティはタクヤ以外意思統一し、思いを巡らせた。
「あ、あの……監督」
「どうしたの、タカヒロ?」
「監督、ゲーム内ではタケヒコです。……じゃなくて、プレイヤー女で始めてますが、何も口調まで女にしなくてもいいと思いますよ」
「おう、そうか。少々めんどくさかったんだよな」
((何で女選んだ!?))
その場に居たプレイヤー達は、アキラ以外寸分違わぬタイミングで、同じコトを思った。
ふと、ノノは疑問を呈してきた。
「監督さんは良いとして、この寺岡さんって人は何の装備もしないでいるのですが、何か理由はあるのでしょうか?」
「ああ、その人は、初めて会ってから今まで、タクヤ君の実家の離れで一度もプロフィール設定すらせずに、私に付いて来たんだ。過去に、何回か設定する様言ったけど、植物がどうこう言うだけで、設定してくれなかったよ」
((何でこのゲームプレイしているんだ!?))
タクヤ達パーティは、シンクロ率400%で同じコトを思った。




