第四十八話 日程調整
ここは、始まりの村、飲み屋――、
タクヤ達のパーティが様々な飲料を飲み交わしている。(味はホログラムなので無いのだが……)
タクヤがコップ一杯の何かを一気飲みしていた。
「っぷはー! うめえ!! ……気がする。そういやタケヒコ」
「?」
「パーティがばらばらになって、すぐタケヒコに電話かけたんだけど、あの時電話に出られなかった理由は何だったんだ?」
「ああ、それか。俺は神殿でゴーレム達に襲われてたから、出られなかったんだよ」
「……苦労してたんだな。ところでセルジュ」
「?」
「あのゼトとの負けイベントの後、いくらボタン押しても『始まりの村には戻れません』ってなってたのって何だったんだ? お前なら知っているだろ?」
「うん♪ あれは負けイベントの続きで、『仲間達の装飾品を頼りに、自力で仲間を探しなさい』っていうミッションだったんだ。このゲームでのパーティって最大四人で、そのパーティ全員が集まるまで終わらないイベントだったんだよ♪」
「なるほどな、RPGではあり得るイベントだな」
「そう♪ それでさっきのイベントをクリアしてからは……」
「?」
「オープンワールドでオンラインなプレイングが可能となりまーす♪」
「!? それって……」
「うん♪」
「どういうコトだ?」
「ガクゥッ」
タクヤの察しの悪さに、セルジュは腰を抜かしかけた。
「あ、相変わらずだね、タクヤ……」
「ああ。さっさと説明するんだ、セルジュ」
「うん♪ 今までは、マップから“草原”、“神殿”等の5つのマップしか行けなかったところ、プラス4のマップを自由にいつでも行けるようになるんだ! しかも、世界中のプレイヤーとゲーム内で交流することもできるんだよ♪」
「ちょっと待て、セルジュ!」
タクヤは急に、俊敏に“世界中のプレイヤー”という言葉に反応した。セルジュはハテナ顔だったが、タクヤは続ける。
「世界中のプレイヤーがこのゲームをプレイしているというコトは、世界中の人々に俺の実家の自室が晒されているのか!?」
「あー、タクヤの実家の住所や住人の苗字とかは伏せて発売されているけど……今の情報化社会、ネット上に拡散されるのは時間の問題だね♪」
「ですね」
「だな」
ノノは腕を下ろした状態、タケヒコは腕を組んだ状態でうんうんと首を縦に振っていた。
「! ……」
タクヤは雷に打たれたかのような衝撃を受け、膝から崩れ落ちた。セルジュはなけなしの慰めの言葉をタクヤに掛ける。
「ま……まあ、グラビアアイドルの水着写真のポスター3枚くらい、成人した男性の自室にあっても、誰も気にしないって♪」
「他の誰もが気にしなくても……お! れ! が! 気にするってーの!!」
「まぁまぁ、いいじゃねぇか……『麻衣―Mai』」
「『麻衣―Mai』……ぷー、クスクス」
激怒しているタクヤだったが、タケヒコとノノが更に茶化し……
「あ――――!! もう知らん!! 今夜は結構やったからもう解散だこのヤロウ!!」
「怒っちゃったか」
「でもゼトから吹き飛ばされて、暫く時間経ってますからねぇ。22時から何時になったんだろう?」
「続きの集合時間はチャットで教える! 以上!! 解散!!!!」
「プツン……ゴト……」
タクヤはゲームの画面を切り、VRゴーグルを外した。
「アイツらー!! 他人事だと思って――、!」
ふと、タクヤの視線に時計が入ってきたが、針は午前2時を通り過ぎていた。
「4時間かー、社会人にとっては痛いかもな、とりあえず風呂に……」
今度は自室の部屋の壁のグラビアポスターが視線に入ってきた。
『麻衣―Mai』
「……、チックショー!! こんなもの、破ってしま――」
タクヤはポスターに手を掛けるが……、
「えない……」
ヘタレのタクヤはそのままベッドにヘタレた。
翌土曜日、朝――、
「ふー、この入力、ローマ字入力なんだ……」
タクヤはゲーム『The battle begins on the farm』のチャット機能を使い、パーティ他三人に集合時間の練り合わせをする、リーダーというよりかは、幹事の様な役割をこなしていた。各々のチャットを確認する。
「タケヒコは……」
『飯休憩あるなら午前10時から終日』
「結構空いてるな。ノノは……?」
『13時から20時までか、22時から午前2時なら空いています』
「飯、風呂で空けているのか……? 最後、セルジュ」
『24時間、年中無休で空いてま~す♪』
「……アイツ、まぢでリアルで何やってんだろう……?」
タクヤはにわかに信じがたい現象を目の当たりにし、衝撃を受けた。
「ま……まぁ、できるなら長い時間プレイした方がいいな! 集合時間は13時で、一斉送信!!」
「ピッ」
「あとは13時を待つだけかー。もっかい寝るとするか」
土曜日とあって、コンビニバイトが無いタクヤ。朝から昼寝を決め込むコトとなった。
――、数時間後、
「よっしゃ! 昼飯も食ったし約束の時間まであと10分くらいだ! ゲーム開始!!」
タクヤは、VRゴーグルを装着し、ゲームの電源を入れた。今回も、前回同様オープニングムービーをボタン連打でカットし、タクヤは前回セーブポイントの始まりの村にいきなり登場した。
「シュイーン」
「シュイーン」
「シュイーン」
「シュイーン」
「おっ!」
「まぢか!」
「えぇっ!?」
「ん♪」
今回は、ゲーム開始時間の始まりの村に、四人ほぼ同時に現れるコトとなった。
「何だ? 今日は息ぴったしだな」
「ああ」
「こんなこともあるんですね」
「何かいいコトありそう♪」
「んじゃ、始めるとするか!」
『おー!』




