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第四十六話 セルジュ、再び

「ノノ!!」


タクヤは叫び声がした方向へと走っていく。




「!!」




数十秒後、タクヤはノノを目視した。と、同時にノノが窮地に立たされているのを察知した。


ノノはぬかるんだ沼に足を飲み込まれていた。


「あっ。タクヤ君……」


「待ってろ! すぐ助けてやる」


ずんずんと、タクヤは考え無しにノノのもとへ足を運んだ。


しかし――、




「ズボォ」




「!?」


タクヤもぬかるみに足を奪われてしまった。


「クッソ! こんの!!」


「闇雲に動いたらダメ!! 余計に足を呑まれるよ!」


ノノは叫びながら忠告した。


「! でも……どうしたら?」


窮地に立たされる二人。と、そこへ一筋の光明が差し込んだ。




『レスキュー』




ぱぁぁああという擬音がお似合いの眩い光が、二人を包み込む。




「うおっ」


「コレって!?」




二人は宙に浮き、安全な足場へと移動させられたのち、地面に降りた。




「助かったぁー」


「でも、今の声って……?」




「危ないところだったね」




「!!」


「!?」




何者かがささやいた為、タクヤとノノの二人は声のする方へ振り向いた。


「無事かい♪ タクヤに、ノノ」


「セルジュ!」


「セルジュさん!」


声の主はセルジュだった。二人はぱあっと明るい表情に変わり、セルジュに駆け寄る。


「そっちも無事だったか!」


「探したんですよ、もう!」


「ハハ♪ 詳細マップが無かったからどこへ進んでいるかも分からなかったよ。二人と出くわしたのは、たまたま♪ 相変わらず運が良いね」


セルジュがへらへらと話していたが、タクヤはフーと、深々と溜め息をついた後、言った。


「よし! セルジュが見つかったことだし、こんなところ、さっさと出よう。蒸し暑くて仕方ねぇぜ」


「ですね!」


「だね♪」


パーティは珍しく全会一致で、『底無しの沼地』を早々に出るコトにした。


道中、セルジュはタクヤに話し掛ける。


「タクヤぁ♪」


「? どうしたセルジュ」


「次はどこに行くの?」


「“草原”、“森”、“沼地”と一通り探索したからな! 次は順当に、“神殿”だな! ところでセルジュ」


「?」


「序盤使ってた、アレ。『時を操るカギ』だったっけ? アレは使えないか? アレを使って、『ゼトの城跡』のゼト戦前まで戻れば、タケヒコとも合流できると踏んでるんだ」


「ああ、アレね♪」


コクリと、タクヤはうなずいた。


「アレ、紛失しちゃった♪」


ガクゥーっと、タクヤはうなだれた。


「ああ、そう……」


「ゴメンねぇ♪」


そうこう話しているうちに、“沼地”を出て、三人は“神殿”へと辿り着いた。砂煙が舞う、見通しの悪い砂漠地帯に佇む、神殿――。


「ん? これは……?」


タクヤは何かに気付いた。そこには文字が刻まれた石碑が存在していた。刻まれている文字を読んでみる。


「えーと、何々? 『都会のカエルと田舎のカエル、クイズに正解したのはどっち? 都会のカエルなら右の、田舎のカエルなら左の石板の上に立て』だと?」




(前と同じ問題……!)


(さて、タクヤの記憶力の見せ所♪)




「……都会……田舎……」




(……)


(……)






「……都会……? 田舎……?」




(……)


(……)




「んー???」






「こんの! 鳥頭人間コンテスト初代覇者ぁああ!!」






タクヤの頭の固さと、記憶力の無さに痺れを切らしたノノが雄叫び(雄じゃないけど)を上げた。


「あなたは三歩歩いたら忘れるんですかぁ!? 都会が街で、街カエル→まちがえる→間違えるで、い、な、か、の、カ、エ、ル、が、せ、い、か、い、ですよ?」


「わ、悪い……身体を動かすのは得意でも、頭を動かすのは不得意? なんだ」


「? じゃなくて、明らかに不得意でしょうが!! もー謎解き系の要素は任せませんからね!」


「そんなー(涙)! リーダーの俺のプライドがぁ……メンツがぁ……セルジュぅ、何とかしてくれないか?」


「あー、タクヤに謎解きは無理そうだね♪」


「ガーン……ガーン……ガーン……」


タクヤの中で、大事な何かが崩れ落ちていった気がした。


「ハーイ、左っと!」


田舎のカエルの方、左の石板に、一同は立った。


すると――、


ゴゴゴゴゴという地響きが鳴り、神殿の扉が開いた。


「ん?」


神殿の扉が開いた、すぐ近くにタケヒコの衣類の切れ端の様なモノが落ちていた。ノノはそれを拾い上げ、眺めてみた。


「コレは……タケヒコ君の……パンツ?」




「ブッハ!」




そのノノの一声に、さっきまでのテンションが嘘かの様にタクヤは大爆笑し始めた。


「ぎゃはははははは!! タケヒコ君のパンツって! 遂にノノの野獣の血が騒ぎ始めたか!?」


「なっ!? オーバーパンツのコトですよ!! ジーパンとか、チノパンとか、そういうのもあるじゃないですか! まさかそんなコトも知らないで育ってきたんですか!?」


「俺の実家は前見た通り、田舎でな。そんな呼び名は浸透していねーんだよ!」


「只の田舎者がボトムスの言い方も知らないで何を開き直っているんですか!?」


「んだよ? やるか!?」




「シャ――――!!」


「ガルルルル!!」




(相変わらず、仲良しだねー♪)


セルジュは母親の様な視線で二人を眺めていた。




――、


「とりあえず、タケヒコ君が神殿に居る可能性は高くなりましたね」


「ああ。てか何でお前が仕切ってんだ? ノノ」


「……まだ言いますか?」


「まぁいい、俺は大人だから大目に見てやろう。じゃあ、二度目の神殿、行くぞ!!」




「おー♪」(約一名)

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