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俺が入院しているスキに俺の実家がRPGの舞台になっていた件について  作者: 時田総司(いぶさん)
第五章 散り散りになるパーティ

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第四十一話 お盆

「いやー、お盆も出てくれるなんて助かるよ、タクヤ君」


「いいえ、お安い御用です!」




お盆――、


タクヤはバイト先のコンビニで働いていた。店長はタクヤの計らいに、心底感謝している様子だった。お盆だけあって、他のバイト社員は実家へ帰る等の理由で働き手が少なく、シフトが空いている状態だった。そこへタクヤが(暇だから)何日かシフトを入れ、働くこととなったのだ。


「バイト始めて、2週間くらい過ぎたけど、覚えが早くて助かってるよ」


「はは、要領が良いのが取り柄なんで」




「♪」




軽く談話していると、客がやって来た。


「いらっしゃいませ!」


タクヤは高校球児時代のなごりの所為か、店内に響き渡るような爽やかな声で挨拶をおこなう。客はタクヤの居るレジに、何か申込書を差し出した。


「……これ」


「公共料金のお支払いですね。内容をご確認されたら、画面にタッチしてください」


タクヤは申込書に日付印を押した。その後、客から一万円札を預かり、料金から差し引きお釣りを用意する。お釣りを渡すのとほぼ同時に、客の控えを申込書から切り離して、お釣りと共に客に渡す……


と――、


ここでタクヤは一旦、一呼吸を置く。


「レシートと控えをホッチキスでとめますか?」


「……いいえ、結構です」


「かしこまりました。お釣りとお客様控えです」


客はそれらを受け取ると、店を出ていった。


「ありがとうございました!」


そこへ、ポンポンと、タクヤの肩を叩く者が。


「!」


振り返るタクヤ。そこに居たのはコンビニの店長だった。右手親指をグッと立てていた。


「バッチリ!」


「店長……」


「よくあそこで確認したね。レシートとめろよって文句言ってくるお客さんもいるからね」「ありがとうございます!」


タクヤはぱあっと明るくなった。それから数時間――、


「――、112円が一点、合計1082円頂戴します」


タクヤはコンビニ業務を着々とこなしていった。


(ふー、高校卒業してすぐの就職先はてんでダメだったけど……)




「♪」




「いらっしゃいませ!」(俺って結構出来るヤツかも!)


タクヤは有頂天になっていた。


そこへ――、


「郵便、お願いしまーす」


「!?」




説明しよう! 郵便物を送るというサービスを、コンビニでもおこなっている。その際店員は、郵便物の重量やサイズを測り、それに見合った料金を請求するようになっているのだ!!




「あーっとその……えーっとあの……て、てんちょー(涙)!!」


タクヤは泣く泣く店長に頼り、その場をやり過ごした。


(クッソー。郵便の業務、チェック項目多すぎだっつーの……。早く覚えないと……)


郵便業務に対して、タクヤが苦汁を呑んでいると、そこへ――、


「タクヤ君」


「!?」


店長が声を掛けてきた。


「コンビニの業務って世間が思っているより覚えること多いよね。完璧に業務を覚えられるまで何週間かかかると思うよ。大変だけど頑張っていこうね」


「……」


店長の温かい言葉に、タクヤはフルフルと震えていた。


(何て……優しいんだ……)


そしてタクヤは口を開いた。


「店長!! 一生付いて行きます!!!!」


「はは。何だいそれは? 後、お客さんびっくりするからやめてね」


「っは、はい!」




――、


「お疲れ様でした」


タクヤの、お盆の業務は終わった様だ。その日は(郵便物に関する業務以外は)特に問題なく業務を終え、帰宅するのみとなった。


(今日の晩飯、何かなー? 精進料理とかはやめてほしいなー)


タクヤは、突っ込みに困る、理解に苦しむ様なことを考えながら家路を辿った。




――、


「ただいまー」


タクヤは自宅に帰った。すると、ドタドタと母が小走りで玄関までやって来た。


「ただいま、かーさん」


「タクヤ! 働くのはいいけど、お盆くらい……ああもう! 仕方ない。……今からお墓参り行くわよ」




「ふぁ!?」




「お父さんとお母さん、お姉ちゃんは午前中に行ってきたから、後はタクヤだけよ」


「ちょっと待ってよ、かーさん。もう日も沈みそうだぜ?」


「つべこべ言わない! タクヤがお墓参りなんて、ほとんど行かないんだから! こういう日をきっかけにして、行かないといけないの!!」


「!?(まぢか……)」


こうして、母の運転で、タクヤは先祖の墓まで赴くコトとなった。


道中――、


「いい? お線香あげて、手ぇ合わせて目をつむるの。絶対お願い事しちゃダメだからね!? 近況報告とか、感謝してますとか、そういうコトだけ考えればいいの。亡くなった魂も、忙しいんだからね?」


「へいへい、わーったよ」


「ホントに分かってるの!? もう! 罰当たっても知らないんだから」


お墓に着いた。


「うへー。夜の墓場ってまぢで不気味なのな、かーさん」




「ゴン☆」




母の鉄拳が、タクヤの頭部を襲った。


「ってー!」


「不謹慎なことばっか言って! この不届き者!!」


「わーったよ母さん。線香あげて……っと」


タクヤはお線香を先祖の墓にあげて、手を合わせて目を閉じた。


(近況報告……近況報告……今、バイト始めました。後、実家がモチーフになったゲームしてます。仲間がいて、楽しいです。全クリしたいです……。アレ? これお願い事?)


タクヤは墓参りを終え、車へ乗り込む。


「大丈夫だったのよね?」


「ん? ああ」


二人は寄り道せずに自宅へ帰っていった。『全クリしたいです』このお願い事の様な一言が、タクヤのゲームライフに大きな影響を与えたかどうか? それが分かるのは、この次以降のお話に――。

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