表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/117

第十二話 大広間

「ヒール!」


「おお……」


「シュイーン」




『タクヤのHPが全回復した!』




へへっと笑うタクヤを尻目に、タケヒコが口を開く。


「良かったな、タクヤ。レベルも飛び級みたいに上がってタクヤとノノは13、俺が14でセルジュに至っては24。相手も手強かったが、それに伴って経験値も大量にもらえたな。それに……」


「ハイ……」


「?」


タケヒコとノノの思わせぶりな態度に、はてな顔のタクヤ。


「少しはリーダーらしくなってきたじゃねぇか。タクヤ」


「!!」


「そうですよ、リーダー!」


「だね♪ リーダー!」


「!! ――」


タクヤは全身から溢れてくる不思議な感情を抑えきれずにいた。


(部活でも、ベンチ入りはしたがスタメン落ちの、伝令係の俺が……リーダー……?)


フルフルと震えるタクヤ。


そして――、


「まーな! 俺以外、このパーティでリーダーとか、考えられないしぃ!?」


有頂天になった。タケヒコはその発言を聞き、前言撤回と言わんばかりにタクヤに言う。


「あー、すぐ調子に乗るぅー。ちなみに俺は、最初からリーダーらしいけどな」


「なにおう!?」


(どちらとも、大人げ無い……)


(どちらとも、面白いね♪)


ノノとセルジュの意見は割れていた。




「シャ――――!!」


「ガルルルル!!」




――、


「さて、お次は♪」


パラァと、セルジュは神殿のマップを開いた。


「ココが大広間、第三、第四、第五の部屋につながってるよ♪ この扉を開けると、大広間に辿り着く」


セルジュは持っている杖で第二の部屋の奥にある扉を指し示した。


「また何か待ち受けているのか?」


タクヤの問いに、首を横に振ってセルジュは答えた。


「大広間には、宝箱があったり、セーブポイントがあったりするよ♪ 敵はいない。結構みんなプレイし通しだから、ここで一旦解散する?」


「は、ハイ!!」


威勢よくノノが左手を上げた。


「私、ちょっと疲れてきたのと、土曜日に予定があるから、休憩したいです!!」


「土曜日の予定って、何?」


「y〇utubeの……投稿を……」




((根暗か……!))




タクヤの問いに対する、ノノの回答が余りにもインドアなモノだった為、一同は思わず突っ込んだ。




「しゃーねぇな」


「だな!」


「じゃあ、この後解散で♪」




「ゴゴゴゴゴゴゴ!」




『一同は大広間への扉を開いた』




「おお! 宝箱が3つも!!」


「まぁ、初見じゃあ驚くよな?」


「ですね」


「はーい、ストップ♪」




「!?」




宝箱へまっしぐらのタクヤを、セルジュが制止させた。


「何だよ? セルジュ」


「んー、あそこにセーブポイントがあるでしょ? あそこでセーブして、解散。宝箱は、次回再開の時の、お楽しみ♪」


「えー!? 今で良いだろ?」


「お楽しみとセルジュは言っていたが、これには他に意味もあるんだぜ?」


「!」


タケヒコが、タクヤとセルジュの間に入って言う。


「セーブした後に宝箱をあさる……これに意味があるんだ」


「!? まさか……」


「そう、そのまさかだ……!」


「宝箱を開けた後にセーブするのを忘れるとか思ってんな!?」


「ズコー」


タケヒコはずっこけた。


「あほか! お前全然ゲームしないのな? リセマラとか、RPGの基本だぜ?」


「リセマラ? あ……」


ハァーとノノはため息をつき、タケヒコは両手を上げて、手のひらを見せた。セルジュは愛想笑いを浮かべていたが、目が笑っていない。次いで、口を開いた。


「宝箱の中身は、開ける瞬間にランダムで決まるんだよー♪ だから、しょぼいアイテムが出た時にリセットできるよう、まずセーブしておくの。分かった?」


「ご丁寧に、そこまで言われなくても分かっとるわ。“リセマラ”って聞いた瞬間に理解したわ! でも俺はその作戦、反対だな」




「!」


「!?」


「!!」




タクヤの発言に三人は驚愕した。


「日本男児たるもの、二言はご法度! リセットせずに、始めに出たアイテムを採用するぜ!!」


「おいおい、リーダー……」


「私は女なんですけどー……」


乗り気でないタケヒコとノノだった。しかし――、


「いいねぇ、ソレ。面白い♪」




「!」


「!?」




セルジュはタクヤの意見に賛同した。


「! ――、お前らなぁ……」


「貧弱アイテム出たらどーするんですかぁ!?」


「そん時はそん時だ!」


「ね♪」


タケヒコとノノの意見を、全く意に介さないタクヤとセルジュだった。


ポリポリと頭を掻いたタケヒコは言う。


「全く……。しょーがねぇ奴らだな」


「ハァー、そうなりますか」


ノノも観念した様だった。


「じゃあ、決まりだな!」


「うん♪」


タクヤとセルジュは意気揚々としていた。


――、


「まずは、真ん中の宝箱から!」


ゴクリと、一同は息を呑んだ。


「キィ……パァー」


宝箱を開けると、中から輝く光が辺りを包んだ。


「これは……」




『銀のグローブを手に入れた!』




「……何だ?」


「ズコー」


タケヒコ、ノノ、セルジュはずっこけた。




「あ! の! なぁ!!」


「コレ知らないって、説明書読んでないでしょ!?」


「やれやれ……」




三人は呆れ返っていた。


「これ、そんな有名なアイテムなの?」


タクヤはハテナ顔だった。仕方ないのでタケヒコはタクヤに分かるように銀のグローブについて教えてやった。


「ソレ、終盤まで使える重要アイテム。主に肉弾戦で戦う役職じゃなきゃ意味ないけどな」


「おー! スゲーじゃん!! 早速俺が装備してやるぜー!!」




『タクヤの力が2倍になった』




「!!?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ