第十三話 宝箱
「2倍って……」
フーと、ため息をついたタケヒコは、タクヤに言う。
「ほらな、重要アイテムだろ?」
「チートじゃねぇかああああ!!!!」
「良かったね、リーダー♪」
「色々突っ込みたいところはあるけど、この引きは……!」
セルジュ、ノノは口々に言った。
「次だ次、あっ。その前に、セーブを……」
「お前日本男児がどーとか言ってたじゃねーか!?」
思わずタケヒコが突っ込みを入れた。
「うるせぇーやーい! リセマラしなかったら、いいんだよー」
『セーブしました』
「次だ次、次はなんだ!? 右の宝箱を!!」
「キィ……パァー」
宝箱を開けると、また中から輝く光が辺りを包んだ。
「これは……」
『銀の盾を手に入れた!』
「またまた何だ?」
即座に、
「ありがとうリーダー、一生ついて行きます」
タケヒコがタクヤの両手を握った。
「? は?」
「説明するね♪」
セルジュが割って入る。
「この、『銀の盾』は、剣士やナイト系の役職が装備できるアイテムで、守りが1.5倍になるんだ。レアアイテムで、条件次第では最重要アイテムになるから、タケヒコ君にとってはスーパーラッキーだったね♪」
「セーブだ。セーブしよう(真顔)」
「さっきそれに突っ込んでたヤツはどこのどいつだ? しかも真顔でそれ言うな!」
タケヒコとタクヤのやり取りを見ながら、セルジュは呟いた。
「やっぱり、このパーティは強運だ。そして、面白い♪」
「フ――――!!」
「ガルルルル!!」
――、
タクヤは、左側にある宝箱の前に立った。
「……最後の宝箱だな」
「ああ……」
「ハイ……」
「♪」
三人はそれぞれ、返事をした。
「開けるぞ……!」
ゴクリと、四人は息を呑んだ。
「キィ……パァー」
宝箱を開けると、また再び、中から輝く光が辺りを包んだ。
「これは……本?」
謎の書物が、宝箱の中にはあった。
「ちょーっと待ってください!!」
ノノがいつになく食いついた。その様子を見て、タクヤは困惑した。
「? ……」
しかしノノは更に積極的に続ける。
「これは! わ! た! し! の! モ! ノ! で! す!!」
「どーゆーコトだ?」
タクヤはテロップを注視した。
『魔導書を手に入れた!』
「まどー……しょ?」
ハテナ顔のタクヤ。コトの重大さを理解していない。
「まさか……ここまでとは……」
セルジュはいつになく驚いた様子だった。
「どうした? セルジュらしくない……。いつもどこか冷めた感じでマイペースなお前が、ここまで驚くことなのか……?」
「とーぜんです!!」
「!?」
ノノが割って入った。
「このっ! 魔導書は!! 攻撃魔法か回復魔法の技のレベルを、一段階上げるモノです! 技の熟練度がカンストしない限り、魔法使いにとっては最重要アイテムなのです!! それで!」
「うん♪ ノノが使っていいよ」
「!? 本気ですか!!?」
何か言いかけたことがあったが、ノノはセルジュの一声で言うのを止めた。魔導書を使えるのがよっぽど嬉しいらしい。
――、
「行きますよ?」
『ノノは魔導書を読んだ』
ノノの身体はかッと輝いた。
そして――、
『ノノはサンダーを覚えた!』
「よーっし!」
「? 何だ? それ」
「サンダーは! 素の威力ではフルフレイムに負けていますが、クリティカルが出やすいんです! そうなればフルフレイムよりも威力が出ますし、MPも節約できます。序盤、このタイミングで覚えられたのは大きいですよ!」
「お、おう……」
“サンダー”について何も知らないタクヤに、食い気味に説明するノノ。余りの熱量にタクヤは圧倒されていた。
そこで――、
「いやー、ホントに運がいいパーティだ。これで皆バランスよくパワーアップできたね♪」
セルジュが仕切りだした。それに対し、タクヤは不満気に言う。
「おいおいセルジュ。何仕切っちゃってるの? リーダーは俺なんだけど……」
「まあまあ、これで全ての宝箱を開けたというコトで、セーブした後、いったん解散だね♪ 何時間後に再開する?」
「10時間後! 理由はテキトー!!」
「じゃあ、それで♪」
タクヤの一声で、10時間休憩したのち、ゲームを再開するコトが決まった。
『セーブしました』
「じゃあ、解散な!」
「おう!」
「ハイ!」
「ん♪」
「プツン」
タクヤは電源を切った。
タクヤの自室にて――、
「久々のリアルだぁー……。ってもう午前3時!? いや、ゲーム内ではもっと時間すぎたか……なんか、疲れてきた寝る……か……」
タクヤは深い眠りについた。
その頃タケヒコ(タカヒロ)は――、
「くはー、疲れた疲れた。汗かいてんじゃん、俺。ひとっ風呂浴びてくるか」
そのままタケヒコはシャワーを浴びに行くことにした。
一方でノノ(仮名)は――、
「今から動画撮って――、編集して、エンコードぉおお!! 間に合わないじゃん! どーしよ!? あのゲーム、するんじゃなかったかぁ? あー、乗り掛かった舟かぁ!! もうこうなったら全クリしてやる!!!!」
動画配信活動を犠牲にして、ゲーム『The battle begins on the farm』をクリアする覚悟を固めた様だった。
そのまた一方のセルジュ(仮名)は――、
「んー♪ 見ちゃダメ」
――。
ともあれ、3つの宝箱で最高のアイテムを引いたパーティ、束の間の休息の後、どの様な活躍を見せるのか!? 乞うご期待!




