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勇者パーティ、聖女様以外ぜんぶ偽物でした~自分だけが偽物だと思っている遊び人たちの最強パーティ~  作者: 黒華レン


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金貨の使いみち

素材を売って金貨が手に入りました!

 金貨百二十枚。


 昨日までは、そんな大金を手にする日が来るなんて思ってもいなかった。


 それが今、俺の肩に掛けた収納鞄の中に入っている。


 いやあ、冒険者って夢があるなあ!


「ユウ、さっきから鞄ばっかり見てない?」


 隣を歩くサキが、呆れたように笑った。


「だって、あんなことがあったばかりですからね!今度こそ盗まれないようにしないと!」


「まあ、それはそうだけど。前ばっかり見てないで、ちゃんと歩きなさいよ」


「大丈夫ですよ!今日は絶対に気をつけます!」


 俺は胸を張って答えた。


 その直後、道端に置かれた木箱につまずきそうになった。


「おっとっと!」


「ほら、言ったそばから!」


「い、今のは大丈夫です!」


 危なかった。


 金貨百二十枚を守ろうとして転んだら、笑い話にもならない。


 ……いや、みんなには笑われそうだけど。


「それで、最初はどこへ行くんだ?」


 ガイが大斧を担ぎ直しながら尋ねた。


「そうですねえ。せっかくですから、装備を見に行きませんか?」


「いいわね!私も新しい剣を見たいと思ってたの!」


 サキが嬉しそうに頷いた。


「私は防具を見てみたいです。皆さんと一緒に戦う機会も増えましたから」


 アステリアがそう言うと、ソフィアさんも元気よく手を上げた。


「私も賛成です!装備品なら鑑定できますから、お買い物のお手伝いもできますよ!」


「おおっ!それは頼もしいですね!」


 こうして、俺たちは王都の武具店へ向かうことになった。


 王都の商業区には、さまざまな店が軒を連ねている。


 食料品店に衣服店、宝石店、魔道具店。


 中でも武具店が集まる一角は、冒険者たちで賑わっていた。


 店先には剣や槍が並び、鎧を着た客が店主と値段交渉をしている。


「へえ、いろんな武器がありますね!」


 俺は通りを見渡した。


「こっちの店なんか、ずいぶん大きいわよ!」


 サキが指さしたのは、二階建ての立派な武具店だった。


 入口には大きな盾が飾られ、その上に『鋼鉄の誇り』という店名が刻まれている。


「よし、入ってみましょう!」


 扉を開けると、金属と革の匂いが鼻をくすぐった。


 店内には剣、斧、槍、弓、盾などが整然と並べられている。


 奥には鎧やローブも置かれていた。


「いらっしゃい!好きに見ていってくれ!」


 カウンターの向こうから、がっしりした体格の店主が声をかけてきた。


「ありがとうございます!」


 俺たちはそれぞれ興味のある棚へ向かった。


 サキは片手剣の並ぶ場所へ。


 ガイは大斧のコーナーへ。


 アステリアは防具を見に行き、ソフィアさんは店内の魔道具を興味深そうに眺めている。


 俺も剣を見て回ることにした。


「おおっ!これ、格好いいですね!」


 目に留まったのは、銀色の刀身に青い装飾が施された長剣だった。


 柄には小さな魔石が埋め込まれている。


 いかにも勇者が持っていそうな剣だ。


「おっ、兄ちゃん!いいところに目をつけたな!」


 店主が近づいてきた。


「そいつは魔力伝導に優れた剣でな。魔力を流すと斬れ味が増すんだ」


「へえ!すごいですね!」


「値段は金貨十八枚だ」


「……十八枚!?」


 俺は思わず剣から手を離した。


 た、高い!


 いや、今なら買えなくもないけど!


「どうした?予算が足りないか?」


「いえ!そういうわけではないんですけど……!」


 俺は収納鞄をちらりと見た。


 確かに金貨百二十枚ある。


 でも、ここで十八枚も使っていいものだろうか。


 それに、今使っている剣だって、まだ十分に使える。


「うーん……」


 俺が悩んでいると、ソフィアさんが隣へやってきた。


「ユウさん、その剣が気になるんですか?」


「はい!格好いいなと思いまして!」


「ちょっと見てもいいですか?」


「もちろんです!」


 ソフィアさんは剣を手に取り、刀身をじっくり眺めた。


 そして、目を細める。


「……あれ?」


「どうしました?」


「この剣、魔石の取り付け方が少し変ですね」


 ソフィアさんは柄の部分を指さした。


「魔力を流すと斬れ味が増す仕組みなんですけど、この魔石だと効率があまりよくありません」


「えっ?」


 店主も驚いた顔をした。


「お嬢ちゃん、そんなことまで分かるのか?」


「はい!鑑定士の見習いなので!」


 ソフィアさんはにっこり笑った。


「剣そのものは悪くないですけど、金貨十八枚なら、もう少し性能のいいものが買えると思います!」


「な、なるほど……」


 俺は改めて剣を見た。


 格好いいだけで選んじゃ駄目なんだな。


「ありがとうございます、ソフィアさん!」


「えへへ!お役に立ててよかったです!」


 店主は感心したように頷いた。


「いやあ、若いのに大したもんだ。確かにそいつは、見た目に金をかけた剣だからな」


「そうなんですか!?」


「貴族の坊ちゃんなんかには人気なんだが、実戦向きなら別の剣を勧めるぜ」


 店主は奥の棚から、飾り気の少ない一本の剣を取り出した。


「こっちはどうだ?」


 差し出された剣は、先ほどのものより地味だった。


 だが、手に取ってみると驚くほど持ちやすい。


「おおっ!軽いですね!」


「重心を柄に寄せてあるからな。長時間振っても疲れにくい」


 俺は軽く構えてみた。


 確かに扱いやすそうだ。


「値段は金貨九枚だ」


「さっきの半分ですね!」


「ああ。見た目は地味だが、冒険者にはこっちの方が人気だぜ」


 ソフィアさんも頷いた。


「これならいいと思います!刀身の状態も良好ですし、魔力の通りも安定しています!」


「なるほど……」


 俺は少し考えた。


 今の剣も使えるけど、予備が一本あっても困らない。


 それに、これからもっと強い魔物と戦うことになるかもしれない。


「よし!これにします!」


「毎度あり!」


 店主が嬉しそうに笑った。


 俺は金貨九枚を支払い、新しい剣を手に入れた。


 いやあ、いい買い物をした!


 その頃、サキも気に入った片手剣を見つけていた。


「ねえ、ユウ!これどう思う?」


 サキが見せてくれたのは、細身の美しい剣だった。


 刀身には淡い赤色の模様が刻まれている。


「おおっ!サキさんに似合いそうですね!」


「でしょ!振りやすいし、気に入ったの!」


 ソフィアさんが鑑定すると、剣には微弱な炎属性の魔力が宿っているらしい。


「攻撃したときに、少しだけ炎の力が加わるみたいです!」


「へえ!いいじゃない!」


「ただし、強い炎が出るわけではありません。あくまで補助的な効果ですね」


「それでも十分よ!」


 サキは嬉しそうに剣を眺めた。


 値段は金貨十二枚。


「よし!これにするわ!」


 続いてガイが選んだのは、頑丈な刃を持つ大斧だった。


「こいつはいいな」


 ガイが満足そうに頷いた。


「今の斧より少し重いが、その分、威力がありそうだ」


 値段は金貨十五枚。


 ソフィアさんの鑑定でも、強度は申し分ないとのことだった。


「これなら大型の魔物相手でも安心ですね!」


「よし、決まりだ」


 ガイも購入を決めた。


 そして、アステリアが選んだのは、白銀色の軽い胸当てだった。


 聖女の服の上からでも装着できる、薄くて丈夫な防具らしい。


「これなら動きやすそうです」


 アステリアが試着すると、店主も頷いた。


「そいつは魔法使い向けの防具だ。重い鎧が苦手な者にも人気だぜ」


 値段は金貨八枚。


「アステリアさんにも似合ってますよ!」


「ありがとうございます!」


 アステリアは嬉しそうに微笑んだ。


 これで四人の装備が決まった。


「さて、ソフィアさんは何か欲しいものありませんか?」


 俺が尋ねると、ソフィアさんは少し考えた。


「うーん……私は今のところ、武器は必要ないかなと思います」


「そうなんですか?」


「はい!でも、魔道具のお店には行きたいです!」


「もちろんですよ!」


 俺たちは買った装備を収納鞄にしまい、武具店を後にした。


 次に向かったのは、魔道具店だった。


 店内には色とりどりの魔石や、不思議な形をした道具が並んでいる。


 光るランプ。


 水を生み出す小さな壺。


 温度を一定に保つ箱。


 魔力を流すと音が鳴る鈴。


「へえ!便利なものがいっぱいありますね!」


 俺は興味津々で店内を見回した。


「ユウさん!こっちに来てください!」


 ソフィアさんが嬉しそうに手を振っている。


 近づいてみると、彼女は小さな銀色の板を手にしていた。


「これ、携帯用の簡易鑑定板なんです!」


「鑑定板?」


「はい!素材を乗せると、魔力の反応を調べられるんです!」


「おおっ!便利そうですね!」


「ただ、詳しい鑑定はできませんけど、珍しい素材を見分ける補助にはなるんですよ!」


 ソフィアさんは目を輝かせている。


 よほど欲しいらしい。


「いくらなんですか?」


「金貨五枚です!」


「それなら買いましょう!」


「えっ!?」


 ソフィアさんが驚いた顔をした。


「い、いいんですか!?」


「もちろんですよ!今回の銀輝結晶だって、ソフィアさんが見つけてくれたんですから!」


「でも、金貨五枚もしますよ!?」


「大丈夫です!みんなで使う道具ですし!」


 俺がそう言うと、サキたちも頷いた。


「そうね!ソフィアが使えば、また珍しい素材が見つかるかもしれないし!」


「十分役に立つだろうな」


「私も賛成です!」


 ソフィアさんはしばらく俺たちを見つめていた。


 そして、嬉しそうに笑った。


「……ありがとうございます!大切に使いますね!」


 こうして、ソフィアさんの新しい鑑定道具も購入した。


 その後、俺たちは食料品店や衣服店を回り、必要なものを買い揃えた。


 サキは新しい服を何着か購入し、アステリアも普段着を選んでいた。


 ガイは保存食を大量に買い込んでいた。


「そんなに買うんですか!?」


「備えは大事だからな」


「確かにそうですね!」


 俺もつられて、干し肉やパンをいくつか購入した。


 買い物を終えた頃には、すっかり昼を過ぎていた。


「いやあ、たくさん買いましたね!」


 俺は収納鞄を見下ろした。


 新しい武器や防具、食料に魔道具。


 それなりに買い物をしたはずなのに、鞄の見た目はほとんど変わっていない。


 改めて便利な道具だなあ。


「それで、残りはいくらあるの?」


 サキが尋ねた。


「えーっと……」


 俺は頭の中で計算した。


 剣が九枚。


 サキの剣が十二枚。


 ガイの斧が十五枚。


 アステリアの防具が八枚。


 ソフィアさんの鑑定板が五枚。


 それから服や食料が……。


「……あれ?」


「どうしたの?」


「すみません、途中から分からなくなりました!」


「ちょっと!」


 サキが呆れたように笑った。


 すると、ソフィアさんが小さな帳面を取り出した。


「大丈夫ですよ!私がちゃんと記録してあります!」


「おおっ!さすがソフィアさん!」


 ソフィアさんは帳面を開き、買い物の金額を確認した。


「武器と防具と鑑定板で金貨四十九枚ですね。それから服と食料、雑貨を合わせて金貨六枚と銀貨四十枚です!」


「ということは……?」


「残りは金貨六十四枚と銀貨六十枚です!」


「おおおっ!」


 俺は思わず歓声を上げた。


「まだそんなに残ってるんですか!」


「十分すぎるくらいね!」


 サキも嬉しそうだ。


「これなら、しばらくは安心して冒険できるな」


 ガイが頷いた。


「でも、油断は禁物ですよ!」


 ソフィアさんが人差し指を立てた。


「装備の修理費や宿泊費も必要ですし、依頼によっては準備にお金がかかりますから!」


「なるほど……」


 確かに、稼いだからといって全部使ってしまうわけにはいかない。


「それじゃあ、残りは大切に取っておきましょう!」


「賛成!」


 みんなが頷いた。


 俺たちは近くの食堂に入り、少し遅めの昼食を取ることにした。


 新しい装備を手に入れたおかげか、みんなの表情は明るい。


「明日からの依頼が楽しみね!」


 サキが嬉しそうに言った。


「そうですね!せっかく新しい剣を買いましたし、早く使ってみたいです!」


「俺も新しい斧を試したいな」


 ガイが頷いた。


「でも、いきなり危険な依頼を受けるのはやめましょうね」


 アステリアが微笑んだ。


「もちろんですよ!」


 俺は元気よく答えた。


 ……まあ、これまでだって危険な依頼を受けようと思って受けたわけじゃないんだけど。


 なぜか毎回、いろんなことが起きるんだよなあ。


「そういえば、ユウさん!」


 ソフィアさんが思い出したように顔を上げた。


「明日、ギルドに行ったら、新しい依頼を探してみませんか?」


「もちろんです!」


「私、この鑑定板を使ってみたいんです!」


 ソフィアさんは嬉しそうに、新しく買った道具を見せてくれた。


「いいですね!それじゃあ、素材採集の依頼なんかどうでしょう?」


「賛成です!」


 こうして、俺たちの次の冒険の予定も決まった。


 いやあ、今日は本当にいい買い物ができた。


 新しい剣も手に入ったし、みんなの装備も整った。


 お金もまだ十分に残っている。


 これなら、これからの冒険も安心だ。


 俺は満足しながら、食後のお茶を飲んだ。


 そのとき、ソフィアさんが何気なく言った。


「そういえば、収納鞄の防犯魔法も、そろそろ一度確認しておいた方がいいですね」


「そうなんですか?」


「はい!魔法自体は問題ないと思いますけど、念のためです!」


「なるほど!お願いします!」


「それと、もう一つもしもの時に……」


「へえ!どんな機能ですか!?」


 俺が尋ねた、そのとき。


「ねえユウ!明日の依頼、どんな魔物が出るかしら?」


 サキが話しかけてきた。


「そうですねえ!せっかく新しい剣を買ったんですから、ちょっと強そうな魔物でもいいですね!」


「俺も試し斬りが楽しみだ」


 ガイも会話に加わった。


「でも、無理はしないでくださいね」


 アステリアが笑った。


「分かってますよ!」


 俺たちは明日の冒険の話で盛り上がった。


 あれ、さっにソフィアさんが何か説明していたような気もするけど……


 まあ、きっと大丈夫だろう!


 こうして、俺たちの楽しい買い物の一日は終わった。


 明日はどんな冒険が待っているんだろうか。


 今から楽しみだ!

いつも読んで頂きありがとうございます!


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よろしくお願い致します。

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