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勇者パーティ、聖女様以外ぜんぶ偽物でした~自分だけが偽物だと思っている遊び人たちの最強パーティ~  作者: 黒華レン


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14/25

魔導人形ガーディアン

ガーディアンとの対決です

 ガーディアンの長剣が、再び俺に向かって振り下ろされた。


「うわっ!?」


 俺は慌てて横へ飛び、どうにか攻撃を避けた。


 直後、長剣が石床に叩きつけられ、激しい音とともに破片が飛び散る。


 あっぶな!


 あんなものをまともに食らったら、鎧ごと真っ二つにされそうだ。


「ユウ!大丈夫!?」


「はい!何とか!」


 サキに返事をしながら剣を構え直す。


 目の前のガーディアンは、全身を古びた金属鎧で覆った魔導人形だ。


 顔の部分には青白い光が二つ浮かび、右手には長剣、左手には大きな盾を持っている。


 さっきから何度も攻撃しているのに、ほとんど傷がついていない。


 しかも、こちらの攻撃を盾で防ぐだけでなく、隙を見て反撃までしてくる。


 思った以上に厄介な相手だ。


「ガイ!もう一度、俺が盾を引きつける!その間に側面を狙ってくれ!」


「分かった!」


 ガイが大斧を握り直した。


 その頼もしい返事を聞き、俺はガーディアンへ向かって駆け出す。


「こっちだ!」


 ガーディアンの青い目が俺を捉えた。


 長剣が横薙ぎに振るわれる。


 俺は身を低くして攻撃を避け、そのまま盾の前へ飛び込んだ。


「せいやっ!」


 剣を突き出す。


 ガキンッ!


 やっぱり盾に防がれた。


 けれど、それでいい。


「ガイさん今です!」


「おう!」


 ガイが横から飛び込み、大斧を振り下ろした。


 ガァァンッ!


 重い一撃がガーディアンの肩を直撃する。


 金属片が飛び散り、右肩の装甲に大きな亀裂が入った。


「よし!効いたぞ!」


 ガイが声を上げる。


 しかし、ガーディアンは怯まなかった。


 ぎこちない動きで体を捻り、長剣をガイへ向ける。


「危ない!」


 俺が叫んだ瞬間、サキが横から飛び込んだ。


「させないわ!」


 サキの剣が長剣を弾き、攻撃の軌道を逸らす。


 そのまま彼女は軽やかに後方へ跳び、ガイの隣に着地した。


「助かった!」


「どういたしまして!」


 サキが笑う。


 さすが剣聖。


 あんな重そうな剣を弾くなんて、やっぱりすごい。


 俺なんか、さっき受け止めただけで腕が痺れたというのに。


「皆さん!援護します!」


 アステリアが杖を掲げた。


「《ホーリー・ショット》!」


 光の弾がガーディアンへ向かって飛んでいく。


 しかし、ガーディアンは盾を構え、真正面から受け止めた。


 バシュンッ!


 光が弾け、盾の表面に青白い魔法陣が浮かび上がる。


「えっ!?」


 アステリアが驚いた。


「魔法が……!」


「リリアさんが言っていた魔法耐性か!」


 ガイが舌打ちする。


 どうやら、あの盾には魔法を防ぐ仕組みまで備わっているらしい。


「厄介ね。まずは盾をどうにかしないと」


 サキが剣を構え直した。


 そのときだった。


 ガーディアンの胸部が突然開き、内部から赤い光が漏れ始めた。


「……ん?」


 俺は思わず首を傾げた。


 何だ、あれ?


 胸の奥で赤い水晶のようなものが輝いている。


 次の瞬間、ガーディアンの周囲に複数の魔法陣が現れた。


「まずい!何か来るぞ!」


 ガイが叫ぶ。


 魔法陣から赤い光弾が放たれた。


「うわああっ!?」


 俺は慌てて身を伏せる。


 頭上を光弾が通り過ぎ、背後の壁で爆発した。


 ドォンッ!


 石片が降り注ぐ。


「きゃっ!」


 サキも横へ跳んで攻撃を避けた。


 ガイは大斧の腹で光弾を受け止めたものの、衝撃で後ろへ押し込まれる。


「ぐっ!魔法まで使うのかよ!」


 ガーディアンの胸部では、再び赤い光が集まり始めていた。


 まずい。


 このままじゃ、また撃ってくる!


「アステリアさん!何か防御魔法はありませんか!?」


「あります!でも、全員を守るには少し時間が……!」


 アステリアが杖を握りしめる。


 その瞬間、ガーディアンの魔法陣が一斉に輝いた。


「危ない!」


 俺は叫んだ。


 光弾が放たれる。


 そのうちの一つが、アステリアへ向かって一直線に飛んでいった。


「アステリアさん!」


「っ!」


 アステリアが咄嗟に杖を構えた、そのとき。


 彼女の左手首に嵌められた銀色の腕輪が輝いた。


 キィィン!


 透明な障壁が目の前に広がり、光弾を受け止める。


 ドォンッ!


 爆発が起きた。


 けれど、アステリアは無傷だった。


「……え?」


 本人も驚いたように腕輪を見つめている。


「あっ!守護の腕輪!」


 俺は思わず声を上げた。


 昨日、ミルドさんに鑑定してもらった魔道具だ。


 強い攻撃を受けたとき、魔力の障壁を生み出して装備者を守ってくれる。


「すごい!本当に守ってくれました!」


 アステリアが目を輝かせた。


「よかった!」


 俺は胸を撫で下ろした。


 やっぱり、アステリアさんに渡して正解だった。


 ただし、ミルドさんの話では連続して使うことはできない。


 次の攻撃も防げるとは限らない。


「アステリアさん!今のうちに下がってください!」


「はい!」


 アステリアが後方へ下がる。


 俺たちは再びガーディアンへ向き直った。


 どうやら、胸部の魔法陣が攻撃の中心になっているらしい。


 あそこを壊せば、魔法を止められるかもしれない。


「みなさん!胸の赤い部分を狙いましょう!」


「なるほど!あそこが弱点かもしれないわね!」


 サキが頷いた。


「だが、盾が邪魔だな」


 ガイが大斧を構える。


「俺が盾を押さえる。その間に攻撃してくれ!」


「分かりました!」


 俺たちは頷き合った。


 ガイが正面から突っ込む。


「うおおおっ!」


 大斧が振り下ろされ、ガーディアンの盾と激突した。


 ガァァンッ!


 激しい音が響く。


 ガーディアンは盾で受け止めたものの、ガイの力に押されてわずかに後退した。


「今だ!」


 俺とサキが左右から飛び込む。


 ところが、その瞬間。


「……あれ?」


 サキの動きが突然変わった。


 剣を振り上げようとした彼女が、なぜかくるりと一回転したのだ。


 そのまま片足を上げ、妙に優雅なポーズを取る。


「えっ!?」


 俺は思わず目を見開いた。


 何だ、今の!?


「サキ!?」


「だ、大丈夫よ!」


 サキはすぐに剣を構え直した。


「ちょっと足運びを変えただけだから!」


「なるほど!」


 俺は頷いた。


 剣聖ともなると間合いを測るのに足運びも重要なのだろう。


 すると、サキの周囲から淡い光が広がった。


 その光が俺たち全員を包み込む。


「……おおっ!?」


 体が急に軽くなった。


 それだけじゃない。


 剣を握る手に力が入り、視界まで妙にはっきりしている。


 これならどんな小さな隙間だろうと狙えそうだ。


「すごい!力が湧いてきます!」


 俺は思わず叫んだ。


「そ、そう?よかったわ!」


 サキが少し慌てたように笑った。


「さすが剣聖ですね!」


「もちろんよ、あ、ありがとう!」


 サキは頬を赤らめた。


 どうやら、今の動きには何か特別な効果があったらしい。


 なら、これを活かさない手はない!


「今です!一気に攻めましょう!」


「おう!」


 ガイが盾を押し返す。


 ガーディアンの体勢が崩れた。


 そこへサキが飛び込む。


「はあっ!」


 彼女の剣がガーディアンの左腕を斬りつけた。


 ガキィン!


 金属の装甲が砕け、盾を持つ腕が大きく下がる。


「よし!盾が下がった!」


 俺は胸の赤い水晶へ向かって駆け出した。


 しかし、ガーディアンも黙ってはいない。


 長剣を振り上げ、俺へ向かって斬りかかってくる。


「うわっ!?」


 まずい!


 避けきれない!


 そう思った瞬間、ガイが横から飛び込んできた。


「させるか!」


 大斧が長剣を弾き飛ばす。


 ガーディアンの右腕が大きく跳ね上がった。


「今だ、ユウ!」


「はい!」


 俺は剣を両手で握りしめた。


 狙うのは胸の赤い水晶。


 先ほどの効果で小さな水晶だろうが外す気がしない。必ず命中させてみせる。


「せいやああっ!」


 剣を突き出す。


 ガキィィン!


 刃が水晶に命中した。


 赤い光が激しく揺らぎ、ガーディアンの体が大きく震える。


「おおっ!効いてる!」


 俺はさらに力を込めた。


 パキンッ!


 水晶に亀裂が入った。


 次の瞬間、内部から赤い光が噴き出した。


「うわっ!?」


 俺は慌てて剣を引き抜き、後ろへ飛び退く。


 ガーディアンは数歩よろめき、そのまま片膝をついた。


「やったか!?」


 ガイが声を上げる。


 しかし、ガーディアンの青い目はまだ消えていなかった。


 胸の水晶が不規則に点滅し、周囲に小さな魔法陣が浮かび始める。


「まだ動くの!?」


 サキが驚いた。


 すると、ガーディアンは残った力を振り絞るように立ち上がった。


 そして、長剣を高く掲げる。


「……まずい!」


 俺は思わず身構えた。


 どうやら、最後の一撃を放とうとしているらしい。


 だが、そのときだった。


「……む?」


 ガイが突然、妙な動きを始めた。


 大斧を肩に担ぎ、片足を大きく踏み出す。


 そして、なぜか空いている手を腰に当て、胸を張った。


「…………」


 何だ?


 あの構えは?


 ガイはそのまま数秒間、まったく動かなかった。


「ガイさん!?」


 アステリアが驚いた声を上げる。


「うおおおおおー」


 ガイが突然雄叫びをあげる。


「……問題ない!」


 ガイが力強く答えた。


「今まさに……力を溜めているんだ!」


「なるほど!」


 俺は感心した。


 バトルマスターは戦闘中に力を溜め攻撃力をあげることができるのか。


 職業ってやっぱり奥が深いな。


 すると、ガイの体から金色の光が広がった。


 その光が俺たち全員を包み込む。


「……えっ!?」


 俺は目を見開いた。


 さっきよりも、さらに力が湧いてくる!


「すごい!また強くなった気がします!」


「私もです!」


 アステリアが嬉しそうに声を上げた。


「ガイさん、すごいですね!」


「……お、おう!」


 ガイが少し照れたように頷いた。


 自分の強化だけでなくパーティの強化まで!


 さすがはバトルマスター。


 頼もしすぎる。


「よし!今度こそ決めましょう!」


 俺は剣を構えた。


 ガーディアンが長剣を振り下ろす。


 しかし、今度はさっきまでとは違った。


 体が軽い。


 相手の動きが、妙にはっきり見える。


 俺は一歩横へ踏み出し、長剣をかわした。


 そして、そのまま懐へ飛び込む。


「今度こそ!」


 剣を振り上げる。


「せいやあああっ!」


 刃が胸の水晶を捉えた。


 パキィィン!


 水晶が粉々に砕け散る。


 ガーディアンの体から赤い光が噴き出し、全身の魔法文字が次々と消えていった。


 そして、今度こそついに。


 ガシャァァン!


 巨大な魔導人形が床へ崩れ落ちた。


「……やった!」


 俺は剣を掲げた。


「倒しました!」


「やったわね!」


 サキが笑顔で駆け寄ってくる。


「なかなか手強かったな」


 ガイも大斧を下ろした。


「皆さん、お疲れさまでしたー!」


 アステリアが嬉しそうに微笑んだ。


 俺たちは互いに顔を見合わせ、思わず笑った。


 いやあ、強かった。


 でも、何とか勝てた。


 これなら、第二階層の探索も続けられそうだ。


「さて……」


 俺は倒れたガーディアンへ目を向けた。


「何か落ちていませんかね?」


「ふふっ、ユウは本当に戦利品が好きね」


 サキが笑う。


「だって、古代の魔導人形ですよ!珍しい物が出るかもしれないじゃないですか!そりゃワクワクしますよー」


「確かにな」


 ガイも頷いた。


 俺たちはガーディアンの残骸を調べ始めた。


 すると、アステリアが何かを見つけた。


「あっ!皆さん、こちらを見てください!」


「どうしました?」


 俺たちは彼女のもとへ集まった。


 アステリアの手には、小さな青い魔石が握られていた。


「魔石ですね!」


「はい!でも、また普通の魔石とは少し違うみたいですよ」


 よく見ると、魔石の内部には細い金色の線が走っている。


 光にかざすと、その線がゆっくりと動いているように見えた。


「綺麗ですね……」


 俺は思わず呟いた。


「何に使う物なんでしょう?」


「さあ……でも、かなり珍しそうね。こんなの見たことない」


 サキが覗き込む。


「ミルドさんに見せてみましょう!」


「そうですね!」


 俺たちは魔石を丁寧に包み、鞄へ収めた。


 さらに残骸を調べると、ガイが別の物を見つけた。


「おい、これも見てみろ」


「何ですか?」


「金属板だ」


 ガイが持ち上げたのは、手のひらほどの大きさの薄い金属板だった。


 表面には古代魔法文字が刻まれ、端には小さな穴が開いている。


「魔導板……ではなさそうですね」


 俺は首を傾げた。


 前に見つけた二枚とは形が違う。


「何かの部品かしら?」


 サキが尋ねる。


「かもしれませんね」


 俺は金属板を受け取った。


 すると、鞄の中に入れていた二枚の魔導板が、かすかに光った。


「……ん?」


 俺は思わず鞄を開いた。


「どうしたの?」


「いや、今ちょっと光ったような……」


 俺は魔導板を取り出し、金属板へ近づけてみた。


 すると、三つの道具が淡い青色に輝き始めた。


「おおっ!?」


 俺たちは顔を見合わせた。


「これ、何か関係があるんじゃないですか!?」


「そうみたいね!」


 サキが目を輝かせる。


「もしかして、第三の魔導板?」


「でも、前の二枚とは形が違うぞ」


 ガイが首を振った。


「でも、何かの鍵かもしれないぞ」


「なるほど!」


 俺は頷いた。


 確かに、さっきの大きな扉にも何かを嵌め込むようなくぼみがあった。


 もしかすると、これが役に立つかもしれない。


「試してみましょう!」


「ええ!」


 俺たちは先ほどの大きな扉へ戻ることにした。


 ガーディアンを倒したおかげか、通路にはもう魔物の姿はなかった。


 しばらく歩き、再び金属製の大扉の前へ到着する。


「さて……」


 俺は鞄から金属板を取り出した。


 扉の中央には、三つの小さな光が浮かんでいる。


 二つは青。


 一つは赤。


「これを近づければ……」


 俺は金属板を扉へかざした。


 すると。


 キィィン!


 金属板が強く光り始めた。


「おおっ!」


 俺たちは身を乗り出した。


 しかし、扉は開かなかった。


 代わりに、表面の魔法文字が次々と浮かび上がり、空中に小さな文字列が現れた。


「……何でしょう?」


 アステリアが首を傾げる。


 俺はミルドさんからもらった古代魔法文字の対応表を取り出した。


「ええと……」


 文字を一つずつ照らし合わせる。


 読める部分は少ない。


 けれど、いくつかの単語が分かった。


「『認証』……『管理者』……それから……」


 俺は最後の文字を見つめた。


「『保管区画』?」


「保管区画?」


 サキが首を傾げた。


「何かを保管している場所ってことかしら」


「そうかもしれませんね」


 俺は金属板をもう一度見た。


 どうやら、これだけでは扉を開けられないらしい。


「でも、少し進展しましたね!」


「そうね。何か関係があるのは間違いなさそう」


 サキが頷く。


「第三の魔導板を探すしかないな」


 ガイが言った。


「よし!引き続き探索しましょう!」


 俺たちは再び通路を進み始めた。


 その後も、いくつかの部屋を調べて回った。


 古びた研究器具や魔石の欠片など、使えそうな物はいくつか見つかったものの、第三の魔導板らしき物は見つからなかった。


 やがて、アステリアが空腹を訴えた。


「皆さん、そろそろ休憩にしませんか?」


「そうですね!」


 俺は頷いた。


 気づけば、かなり長い時間歩き回っていた。


 戦闘も続いたし、少し休んだ方がよさそうだ。


 俺たちは近くの小部屋へ入り、扉を閉めた。


 中には壊れた机と椅子が残されていたので、比較的綺麗な場所を選んで腰を下ろす。


「ふぅ……」


 俺は鞄を下ろした。


 思った以上に重い。


「ずいぶん拾ったわね」


 サキが笑った。


「そうですね……」


 俺は鞄の中を覗いた。


 銀色の鱗。


 魔石。


 古代の研究器具。


 金属板。


 その他にも、用途の分からない部品がいくつも入っている。


「これ、全部持って帰るんですか?」


 アステリアが尋ねた。


「うーん……どうしましょう?」


 俺は腕を組んだ。


 どれが貴重な物なのか分からない以上、簡単には捨てられない。


「やっぱり鑑定士がいたら便利なんでしょうね」


「そうだな」


 ガイが頷いた。


「その場で価値が分かれば、いらない物を置いていける」


「でも、そんな都合よく鑑定士が見つかるかしら?」


 サキが笑う。


「そうですよねえ……」


 俺は苦笑した。


 ミルドさんみたいな人が一緒に来てくれたら助かるけれど、あのお爺さんが冒険に同行してくれるとは思えない。


「まあ、今は何とか持ち帰りましょう!」


「ええ。せっかく見つけた物ですものね」


 サキが頷いた。


 俺たちは携帯食料を取り出し、遅めの昼食を食べ始めた。


 硬いパンに干し肉。


 それから、水筒に入れた水。


 豪華とは言えないけれど、戦闘のあとだからか妙に美味しく感じる。


「そういえば……」


 アステリアがパンを食べながら言った。


「さっきのガーディアン、倒したあとに魔石を落としましたよね」


「そうですね!」


「リリアさんの資料にも書いてありましたけど、やっぱり古代の魔導人形には魔石が使われているんでしょうか?」


「そうかもしれませんね」


 俺は頷いた。


「だとしたら、あの青い魔石は動力源だったのかもしれません」


「なるほど……」


 アステリアが興味深そうに頷く。


「ミルドさんに見せるのが楽しみですね!」


「ええ!」


 俺は笑った。


 今度はどんな反応をするだろう。


 また驚いてくれるかもしれない。


 そんなことを考えていると、サキがふと天井を見上げた。


「……ねえ」


「どうしました?」


「この部屋、何だか変じゃない?」


「え?」


 俺たちは顔を上げた。


 天井には、ほかの部屋と同じように青白い結晶が埋め込まれている。


 ただ、その配置が少し違っていた。


 円を描くように並んだ結晶の中心に、一つだけ大きな水晶が嵌め込まれている。


「確かに……」


 俺は首を傾げた。


「何かの装置でしょうか?」


「さあ……」


 サキが立ち上がり、天井を見つめる。


 そのとき。


 ポトン。


 何かが俺の頭に落ちてきた。


「いてっ!?」


「ユウ!?」


 俺は慌てて頭を押さえた。


 足元を見ると、小さな金属片が転がっている。


「……何だこれ?」


 俺は拾い上げた。


 それは、手のひらほどの大きさの銀色の板だった。


 表面には細かな魔法文字が刻まれている。


「……あれ?」


 俺は目を瞬かせた。


 何だか、見覚えがある。


 俺は鞄を開き、二枚の魔導板を取り出した。


 そして、拾った銀色の板を並べてみる。


「…………」


 三枚とも、同じような模様が刻まれていた。


「……まさか」


 俺はゆっくりと顔を上げた。


「これ……第三の魔導板じゃないですか?」


「ええっ!?」


 三人が一斉に身を乗り出した。


 その瞬間。


 キィィィン!


 三枚の魔導板が、まばゆい光を放ち始めた。


「うわあっ!?」


 俺たちは思わず目を細めた。


 光は次第に強くなり、三枚の魔導板が宙へ浮かび上がる。


 そして、空中に複雑な魔法陣が描かれ始めた。


「す、すごい……!」


 アステリアが息を呑む。


 魔法陣の中心に、古代の文字が次々と浮かび上がった。


 やがて、光が収まる。


 三枚の魔導板はゆっくりと床へ降りてきた。


 俺は恐る恐る拾い上げた。


「……見つかっちゃいましたね」


「……ええ」


 サキが呆然と頷いた。


「また偶然……」


 ガイが苦笑する。


「本当に、どうなっているんだ?」


 俺は手の中の魔導板を見つめた。


 さっきまで、あれだけ探しても見つからなかったのに。


 まさか、休憩しているだけで頭の上に落ちてくるなんて。


「……運がいいですね!」


 俺が笑うと、三人もつられて笑った。


「ふふっ、本当にそうね!」


「わっはっは、まったくだ!」


「皆さんと一緒にいると、毎日驚くことばかりです!」


 アステリアが嬉しそうに微笑んだ。


 俺たちは残りの食事を済ませ、荷物をまとめた。


 第三の魔導板が手に入った。


 これで、あの大きな扉を開けられるかもしれない。


「よし!もう一度、あの扉へ行ってみましょう!」


「ええ!」


 俺たちは小部屋を出て、再び通路へ歩き出した。


 鞄の中では、三枚の魔導板が時折かすかな光を放っていた。

いつも読んで頂きありがとうございます!


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よろしくお願い致します。

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