第二百三十三話 家無しコーイチとエリザベス
「着てる物も鎧じゃなく布の上下に革靴を履き、マントを羽織るという質素なスタイル。しかも武器も普段は腰に佩いた剣、食べ物も自分で作って皆に振る舞い一緒に食べ、寝る時は外で寝袋」
「他の人間が聞いたら崇拝されているとは思えない扱いよね」
エイレアとエイミーの意見に大きく頷く。こんな扱いで崇め奉られるなんておかしいのである。今すぐオベロンさんなりマナの木なりに変更してもらいたい、と賛同者が増えたので強気に出てみた。
「だからこそ良いんじゃねぇか! 身近で親しみやすい最強なんて、まさに守護神に相応しい!」
「そうですよ! 実のところ皆陛下には早く家に住んでもらいたいけど、最近は話しかける暇すらなかったんで、言えずにいたんですよ!?」
いまいちな反論を受けたが、家に住んで欲しかったという言葉は重く、確かに上の人が野宿してたら嫌だなと思ってそこは反省する。
「やはりここはあれでしょうな、エルフの民のためにもここに邸宅を設けた方が良いかと」
「確かにしばらくはそれで良いでしょうが、何れはやはり全体を見て観光施設のある中部に鎮座してもらう、その方が宜しいかと」
「アインス殿にそう言って頂けるなら有難い。中部建築部としては迎賓館とは別に、エオル氏自慢の設計である森の城を作ろうと思っております」
エオルさんが設計するならきっと面白いに違いないと考え、その完成を楽しみにしてると告げて先に家を出た。今日から数週間は刑法、民法の議論が続く。
体制として絶対君主制ではあるものの、基本的に皆で話してそれを挙げてもらい可否を判断する、という最終決定権を有する状態にする。
王様っていうのはもう少し楽なのかと思っていたが、とんでもない激務で転生者じゃなきゃ倒れてたと思う。
タウマス王やリオン王は、うちとは比べ物にならない規模の国を運営しており、始まりは違えど維持しているのだから尊敬しかない。
―コーイチ、毎日ご苦労様です。
マナの木の麓に戻り座って空を見上げていると、エリザベスが労ってくれた。木に向き直りこちらこそいつも見守ってくれてありがとう、そう感謝の言葉を伝え頭を下げる。
私はただ見守っているだけですからというので、それがあるから頑張れる面もあるよと返す。エリザベスたちが犠牲になったような事件を起こさないよう、そしてなによりマナの木を皆が愛し守れる場所にするため、そう思うと疲れてもいられないと踏ん張ることが出来た。
ーさすがマナの木の騎士ですね!
おどけたように可愛らしく言うエリザベスの声を聞き、初めて会った頃よりも明るくなったねというと、周りにいる人たちがめげずに頑張っているからだという。
―見守ることしか出来なくて悔しい時もあるんですよ? でもそれでもあなたがきっと何とかしてくれる、そう信じることが出来るので私も楽です。
君に信じてもらえているなら、今後も期待に沿えるよう頑張ると答える。
―ありがとうコーイチ。あなたが来てくれて本当に良かった。さぁ夕食を呼びに来た子が待っていますから、行ってあげてください。
そう言われ後ろを見るとエルザが身構えていて、目が合うとなぜか彼女が驚きの声を上げた。どうしたのかと聞くと何で気付いたんですか? 音をたてないように近づいたのにと言われ、さすがにエリザベスに教えてもらったとはいえず、勘かなとだけ答えつつ立ち上がる。
「お夕食の時間です! 今日は私が皆さんの先頭に立って準備してみました!」
胸を張って言うエルザに対し、よっ! エルザ料理長! と持ち上げてみると嬉しいのか、彼女は得意げな顔をした。
じゃあエルザ料理長の夕飯を頂きに行きますか、と言って先に行くと彼女も慌てて追ってきて、共に里の中央広場まで歩く。
道中で今日はこんなことをしたとか、宿屋のメニューを一部今日は作ってみたとか、楽しそうに話す彼女からエネルギーを貰ったおかげで、疲れが少し取れた気がする。
夕食後はいつも通りのルーティンを過ごし、後は何もなくこの日は終わった。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




