第二百三十二話 名前は大事
ライエンの宣言通り翌日から朝は食事をとりに朝にこちらに来て、皆で法律やその他の決まりごとの会議が始まる。
座長としてまずは一旦すべての案を出して、そこから選んで決めたり修正を加えようと提案し、了承を得て作業に入った。
最初に決めた通り信賞必罰、凶悪な犯罪においては捜査の結果間違いなければ極刑、これには全員が同意してくれたものの、捜査機関をどうするかという点が問題である。
個人的には勇太とダークエルフ隊を初期メンバーとして当てたい、と提案すると理由を聞かれたので、彼らは犯罪の被害者でありその苦しみを理解し、免罪にも気を使ってくれると思ったからだと答えた。
「まぁ何もない者よりは良いでしょう」
「問題は捜査方法だな。マナの木のご機嫌が回復すりゃあ魔法を使って完璧な捜査をやりてぇ。魔法さえ使えりゃ免罪なんて出ないだろうし」
「なんでも魔法を使えば良いというのは反対です。堕落への一歩です!」
「そりゃ魔法を使わないで免罪を防げりゃそれが理想だよ。だがな、そんな良い方法がどこにあるんだ? 他人の人生が掛かっている問題に、堕落も糞もねぇだろ?」
ライエンの主張のツクヨミさんは悔しそうな顔をして押し黙る。人間の可能性を信じたい気持ちは分かるが、確かにライエンの言う通り他人の人生が掛かっている問題に、魔法を使いたくないという理由で使用を禁ずるのは無理があった。
ツクヨミさんをフォローしつつも説得すると、渋々了承してくれ次の議題に移ることになるが、今度はこちらが沈みたくな議題になる。
「コーイチに関する問題と国教に関するものだ。エルフの皆がコーイチを神格化するのは仕方ないとしても、後の世の指導者までもが神格化されるのは防ぎたい。恐らく最初は新王国生まれはすくないだろうからこちらで指導者を決め、その後は各有力者で相談の上ってことでどうだろうか」
ライエンの提案に対しアインスさんが、マナの木やオベロンさんたちも崇拝対象にしてはどうか、と提案しメインはコーイチだがそれを見守る神々ってのでどうか、と言い出した。
まだ自分は生きてるのに、信仰の対象に祭り上げられた方々の心境に寄り添えるなんて、異世界転生して色々あったが最大級の異常事態である。
「それは中々良いですね。何しろコーイチは戦っても命も奪わず物持たず、総督を命令に従い即降りたりと欲の無さは凄いですからね。人間族の姫を助け竜を倒した者は生きてる人間には居ませんし、マナの木や妖精王たちの加護を受けて勝った、となればおとぎ話にもなりましょうし」
めっちゃ早口でツクヨミさんが目を輝かせて話し、皆は若干引きつつ確かにと頷いていた。他人事だと思ってと恨めしい気持ちでいたものの、このままだと名前までコーイチ教とかいう、常軌を逸した名前にされてしまうと思い、咄嗟に思いついたマナ教はどうだろうかと口にしてみる。
「うーん悔しいけどコーイチ教よりはいいわ」
「そうよねなんかこう有難味ありそう」
「コーイチ教よりご婦人受けも良さそうな気がするよな」
どうやらコーイチ教は免れるらしいが、名前が良くないという理由で却下されたのが納得いかない。抗議したいのは山々だけどすればコーイチ教にされかねないので、腕を組んで目を瞑り押し黙るしかなかった。
今日は草案として刑法に関するものとマナ教の体制や経典を出し、明日以降は民法の議論に入っていくとして会議は夕方近くに終わる。
「そういえばライエン殿、そちらの建設は如何ですかな?」
「おかげさまで順調ですよアインス殿。何か気になることでも?」
「いえ、陛下のご自宅をどうするかそろそろご相談しようかと思いまして」
「これはすっかり忘れておりました。コーイチ、お前さん自宅無いんだっけ? 今どこで寝てるんだ?」
マナの木の麓で寝袋と答えるとライエンは椅子から転げ落ちた。関西人なのかと思いつつ腕を掴んで立ち上がらせ、座りなおすと通りでと言う。何が通りでなのかと聞くと
「家無しコーイチ」
そうボソッと答える。……英雄と言えば皆にもてはやされるものかと思ったが、妙な二つ名を付けられることが増えるだけだった。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




