第二百二十五話 人がいてこそ国
手を組みながら目を閉じ、恍惚の表情を浮かべながらアヤメさんは言う。強調された部分を自分の中で折り合いをつけたんだなと少し呆れたが、死なないというならそれに越したことはない。
今回の件では子供も死んでいるので、とても死んで許されるほど軽くはない。生きて死んだ者たちの分も働いてまっすぐ生きるべきだと提案した。
「生意気な……とは言えませんね。あなたは主が信頼を置く人物です。これからは私もあなたにそれなりに従いましょう」
どうやら向こうへは帰らずに、ここに居る覚悟を決めたようである。居てくれればそれなりに戦力として期待したいが、元が元だけに完全に信用できない。
裏切るそぶりを見せた瞬間、それなりの対応をさせてもらうと言うと
「残念ながら主とその従者であるあなた、対する今この星に生きている人間では、私の中で比重が違いすぎるのでありません。例え親兄弟だろうとあなたと敵対するのであれば潰します」
俺を裏切ることは神を裏切ることと同じだ、という宣言と覚悟を聞き唖然とした。彼女が死ななかったことはクロウに感謝するけど、別の問題で頭が痛くなる。
少し間があった後でクロウの従者と言う言葉に気付き、従者になった覚えはないと否定するも手に鎖をぶら下げられ
「こんなものは神の従者以外使えません。あなたと私は他人には見えないもので繋がっている」
素敵な笑みで恐ろしいことを言われ身震いした。正直星とか要らないけどあの宗教亡ぼそうかなと、この時ほど真剣に考えたことはない。
「服従する訳ではないのでそこは勘違いしないように。生きているこの星の人間の中で、優先順位が一番になっただけですから」
……どう聞いても正しい解釈が難しいようなので、ここは考えるのを止めみんなに紹介するというと、出来れば衣装を変えたいので後日でと言い、あっという間に去って行った。
追いかけても仕方ないので、無事帰って来てくれるよう祈り元の場所に戻る。夕食後の動きは前までと同じで就寝もマナの木の麓で寝袋に入り、この日はそのまま終わった。
翌朝、目が覚めいつも通りのルーティンを終えるとミケたちを呼び、里の交渉人たちとしばらく留守にする間の打ち合わせをしてもらい、一緒に援助の申し出をしに行ってもらった後で、彼らの親族に会う旅へ出てもらう話をする。
里の交渉人たちにエルザを加え、皆朝食後には旅立っていった。ヴァルドバも同じように引継ぎを済ませた後で、名残惜しそうに里から旅立っていく。
皆を見送った後で引継ぎされた食料調達班は調達に、勇太たちモンスター討伐班は討伐に、パルダス隊は村の警護を分担して行ってもらう。
ジンネさんたちには崩壊した場所のおおよその大きさと、元エルフの里に変なのがいついてないか見てもらう、という仕事をここから先してもらうことにする。
「いやぁ大変ですね総督……じゃなかった、コーイチ陛下も」
リキさんたち職人が瓦礫撤去前に来てくれ、今後ともよろしくと挨拶しつつそういった。皆にも苦労を掛けるけどよろしくお願いしますと返すと、仕事だし給金も貰っているので頑張りますと元気よく言ってくれ、作業を開始してくれる。
エルフ族はほとんどが怪我をしており、今は治療に専念するため動けない。動けるメンバーで食料調達やモンスターを寄せ付けない動き、盗人などの犯罪者から身を守る警備をしたりと、里を維持するだけでも大変だなと感じていた。
人があってこそ国だし、戦国時代の偉い人が、人は石垣、人は城、人は堀、と言った言葉を今身にしみて感じている。
ゼロから国を作った人は本当にすごいなと感心しつつ、各隊の報告や作業進捗を確認し、怪我人の治療やその様子を見て回った。
夜にはハクロへ行った隊が戻ってきて、マルコさんが援助を引き受けてくれることに決まり、明日以降審査してオッケーが出た者を、順次送ってくると報告を受ける。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




