第二百二十三話 併呑と新しい国の動き
「皆今回のことで口癖のように言っております。閣下にずっといて欲しいと」
早くも提案されてしまったがエルフの立場になってみれば、襲ってきた化け物を退治し治療までしてくれる者を見れば、頼りになる存在だと分かるし頼りたくなる気持ちもわかる。
ただこちらはこちらで自分の国を持つという目標があるので、エルフのためにその目標を変えるつもりはないとはっきりつ伝えた。
「承知しております。ですので閣下……いえ、陛下の国の民としてのエルフ族となりたいのです」
アインスさんはエイレアのお父さんだから、こちらの考えだったり目標などは百も承知だろう。ひょっとしたらこちらが里を離れる前から、一つの案として皆に話していたのかもしれない。
とはいえはいそうですかと受ける訳にはいかなかった。先に話したように知識だけではあるが、返還騒動を知っているだけに、双方出来れば今のうちに最低限の条件だけでもいいので決め、返還に至った場合の書面を作成しておきたいと考える。
アインスさんにその話をしたところそれで受け入れてくれ、後日双方の条件を出し合い意見をすり合わせ、合意となった暁には国の民として受け入れることにした。
軽症者にも今日は休んでいてもらい、怪我がない者たちで瓦礫の撤去作業を始める。何にしてもまた一からやり直しであり、あの削れた地面の辺りもどうにかしなければならず、やることは山積みだった。
夜になりかけのところでヴァルドバたちが帰ってきたが、タイミングよくミケたちも帰ってくる。皆でそろって食事をするべく準備をしつつ、ミケたちから報告を受けた。
「マルコ殿からの支援の条件なのですが、陛下の国が出来た暁には商人ギルドを立ち上げさせて欲しい、ということでした」
現在経済に明るいのはミケたちしかおらず、彼らのみで経済を上手く構築していくには人が少ない。こちらとしては願ったりかなったりだが、本当にそれだけかと聞くとそうだという。
「まぁ新しい国、しかも噂のコーイチ陛下の国となれば、多くの人々の関心を引くのは間違いありません。そういう場所には投資が多く入るので、そこを期待してのギルド設立ではないかと」
海の者とも山の者とも分からない新興国に対し、そんなに投資が来るものかねというと、だからこそ博打を打つような気持でくるのはないかとミケは言った。
「それだけに陛下に対しては期待が多くのしかかるわけで」
投資してくれるのは有難いが絶対はないし、それでキレられても困るなぁと嘆くも、我々も同じような気持ちで付き従っております、とミケは商人らしく言ってくる。
「獣族においてはもう何をしようが我々猫族の地位は下のままです。それは私自身が体験したので間違いない事です。なのでリオン王は私たちに新天地へ行くよう勧めてくれました。ですので陛下、どうか皆の期待に応えて頂きたいです」
元は一介の冒険者だったのに陰謀に巻き込まれ続け、英雄どころか人ですら無くなりかけるほど期待を背負ったのだから、今更かと思い分かった頑張るよと答えるとミケたちは湧き上がる。
「出来ましたらそろそろ我が一族に手紙を出し、来てもらえる者は呼んでも宜しいでしょうか」
「あ、それなら俺も探しに行きたい! ワーウルフたちも役に立つ! 虐めないコーイチならきっと皆喜ぶ!」
ミケたちだけでなくヴァルドバまでそう言いだし、即答せず腕を組み考えた。うちは今の段階でも種族的にはバラバラだしそこはいいんだけど、ワーウルフのほうが倫理的な問題とかが心配ではある。
ヴァルドバにそこのところどうなのか聞いてみると、確かに暴れ者が多い気がするとしょんぼりしながらいう。
同じ種族で中には年上だったりするものからしたら、ヴァルドバに指示されたり指導されたりすると、かんしゃくを起こしかねない気がした。
そうなると要らぬ争いを持ち込んだとみられ、彼の立場が無くなってしまう可能性がある。最初から付き従ってくれた彼を失いたくはない。
どうしたものかと周囲を見た時、丁度こちらに来ようとしていたパルダスと目が合う。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




