第二百二十二話 併呑の難しさ
里のエルフたちはマナの木の助けもあって病状は大分良いが、今日の今日では精神的に動くのも厳しい。生きているからには食べなくてはいけないので、先ずは食糧問題を解決することにする。
里は魔神戦後の状態になってしまい、食べる物を貯めておく倉庫も半壊してダメになってしまった。ヴァルドバにパルダスたちを率いて食料確保をお願いし、ミケたちにはハクロへ行ってもらいマルコさんに事情を伝え、協力をしてもらえないか頼んでもらうことにする。
幸いマルコさんが派遣してくれた職人たちも軽症だったので、ミケたちと共に行ってもらうことにした。
「あの、コーイチ総督!」
見るとエルザが立っていてどうしたのか、と聞くと自分もハクロに行きたいという。きっとここに居ても今は手伝えることがないので、何か一つでも仕事がしたいんだろうなとは思ったが、勝手にそう思うのは問題なのでなぜか聞いてみる。
「私は小さいですが元々ハクロに居ましたし、町の皆さんとも知り合いなので助けてもらえないか、私からもお願いしてみたいんです」
小さく被害に遭ったにも拘らず、その日のうちに自分から何かしたいと言うほど逞しい彼女に対し、子供だから何もさせないのは失礼だと思いお願いした。
ハクロへ行く者たちを見送た後で、ヴァルドバたちも食料調達に出かける。やれやれまた総督業をしなくちゃダメかと思いながらも、エイレアを呼んで水晶玉で通信を試みてもらう。
昨日今日で陛下が良くなる訳はないが、このままでは命が狙われるかもしれないと考え、エレクトラ王妃様だけにでも連絡を取りたかった。
「コーイチか……この度は本当に済まない……」
憔悴しきった顔でエレクトラ王妃が出たので、何かあったのかと聞くと
「驚かせてすまんなコーイチ……私がさっき目を覚ましたので、エレクトラは安心した反動で泣いてしまい、泣きつかれているのだ」
王が横から顔を出してそういった。明らかに体調が良い顔ではなく、王妃が慌てて王に肩を貸して水晶玉の正面に座らせる。
互いを思い合う理想的な夫婦だなと感激しつつ、簡単に今回の件と命に気を付けて欲しいと伝えた。
「すまんなお前には何から何まで気にかけてもらって……。イリスやエレクトラからお前が私を助けてくれたとも聞いている。お前の忠告を疎かにすることなどない。即刻身辺警護は強化する。今回の件のお前に対する補償などは、私の状態が良くなったらで良いだろうか」
先ずは体調回復を第一に考えてください、よくなったらご連絡をお待ちしてますと返し、エイレアに通信を切ってもらう。どうやらパックが何とかしてくれたようでほっとする。
何度も言うが帰ってきたら本当によくやってくれたと褒めたい。遠く離れたところで一人頑張ってくれたパックには、感謝してもしきれなかった。
一息吐いて横にいるエイレアに大丈夫かと聞くと、私は元気が取り柄だからと言ってくれた。父親のアインスさんが軽症だったことは、彼女の前向きさに大きく貢献してくれたのだろう。
「閣下、少々お話があるのですが宜しいでしょうか」
丁度アインスさんがこちらに来て声をかけてくる。どうぞと言うとこれからの里の運営についてだという。個人的にはエルフ族の里なので、エルフたちで運営をというも難色を示された。
「薄々勘付いておいででしょうが、エルフ族は皆から好かれてはいない一族なのです。崩壊しても誰も占領したがらないほどにね」
歴史を考えればもっともなことではあるものの、種族を亡ぼされるまで行くのは子供たちもいるので、とうてい受け入れられないと話す。
流れ的には予想していた通り一旦併呑案なのかなと思うが、後で返還というのは言うほど簡単ではないと今は思っている。
元の世界の自分の国でも返還騒動があったし、その前後の出来事で色んな感情があると聞いていた。双方の思い通りの返還になどならないだろうし、どちらにも複雑な感情が残り続けるのであれば、出来れば彼らの自治のままで行きたかった。
なので提案された時ははっきりとこちらの目標があるので断る、そう伝えるつもりでいる。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




