第二百十話 現れるクロウ教の狂犬
そこにはリックさんが立っていた。この世界に来たばかりの頃に剣を教えてくれた師匠ではあったが、今は命を狙うために手段を択ばない暗殺者になってしまい、もはや悲しさ以外の感情はない。
「君を化け物にしてしまったのは俺だからな。きっちり後始末をしないとと思ってね」
今となって見れば対外的には記憶喪失で経験の無い男に、イリスという人間族の姫であり彼が敬愛する王の娘を預け、敵の的にしてあわよくば始末しようとした人間が、ずいぶんなことを言うなと思った。
今更その件に関して何か言うことはない。残念だが道は分かれ敵同士になったのだから、容赦する必要はないし忙しいのでさっさと吹き飛ばすことにする。
「幻影剣!」
こちらが動くと同時に応戦するべく、リックさんは技を発動させようと叫ぶも
「な、なぜだ!?」
増えるはずの影は無く彼は一人のままだった。推測になるがあれは人間族固有の技ではなく、彼がクロウ教徒だとなれば魔法による効果だと考えられる。
他所ならいざ知らず、ここは森で彼らは森を荒らしている者たちだったので、マナの木や妖精たちが快く思うはずもなく魔法も出る訳がなかった。
「お疲れさまでした」
そう告げてウォルフガングさんと同じように、彼の鳩尾を思い切り槍の柄頭で突く。鎧に当たった感触があったものの斧と同じように粉砕し、そのまま鳩尾へめり込んで吹き飛び見えなくなる。
これで邪魔者はある程度片付いたので、早く里へ向かおうとサジーを動かそうとしたものの、なぜか前方を見て動こうとしなかった。
何かあるのかと気配を探ってみたところ、あまりにも静かすぎて違和感を感じ、目を凝らしてみると景色の一部が若干揺らいでる。
アリエルはここにはいないはずなのに、どうやって魔法を使用しているのだろう。まさかクロウ教徒の中にクロウに直接会って、魔法の力を得た者がいるとかいう可能性があるのだろうか。
「……どうしたのですか? まるでお化けでもいるような気がしている顔をして」
あまり聞きたくない懐かしい人の声が聞こえ、今日は同窓会の様相を呈したイベントなのか、と毒を吐きたくなる。ゆっくりと足音も立てずにスゥッと景色の中から現れたのは、クロウ教徒でありリックさんの身内でもあった、シスターアヤメさんだった。
「お久しぶりですシスター、お元気そうで何よりです」
「ええとても元気ですよ。何しろ今日はあなたを殺してもいい、そうリックさんにも言われていますからね。こんなに嬉しいことはない。イリスを殺せなかった憂さ晴らしをさせてもらえますか?」
彼女の言葉を聞いて鼻で笑ってしまい、慌てて失礼しましたと謝罪する。イリスを殺すにはパックをなんとかしなきゃ無理だろうし、あの悪戯妖精をどうにかしようとする彼女たちを想像し、面白くて笑ってしまったのだ。
本当にあの子が味方としていてくれてよかった。帰ってきたら思う存分褒めようと決め、それには早く事件を終了させなければとサジーから一旦降りる。
「わざわざ降りたのは偉いですが、何が可笑しかったのです?」
「いえね、大分手間取った挙句、陛下を病気にするしかなかったというのを想像すると、面白くなってしまって」
正直に答えたこちらに対し、彼女は微笑みながら首を傾けた。少し間を開けてからおぞましい笑みを浮かべ、
「死ね」
そう言ってから攻撃を仕掛けてくる。恐らく彼女もそれなりに実践を重ねてきたのだろうが、濃さが全く違う上に森という場ではこちらが圧倒的に有利だった。
素手で殴り掛かってくると思ったら鉄の手甲を付けており、ほっとしつつ攻撃を避けながら槍で弾き、胴が空いた瞬間に突きを入れて距離を取らせる。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




