第二百十一話 怯える目
「なるほどさすが英雄様だ。私如きの攻撃などもはや捌けて当然と言ったところですか?」
「残念ながら少し違いますね。あなたたちが森を燃やすから、そのせいで妖精が怒り俺に加護が集中したんですよ」
こちらの能力も少しは上がっているだろうが、本来であればリックさんやウォルフガングさんを、あんなあっさり退けさせられない。オベロンさんたちの加護があってことだ。
あなたたちはクロウを神として崇め奉っているのに、なぜ他の神霊は信じないもしくはいないものとして行動したのか、そう聞いてみると今度は相手に鼻で笑われた。
「教徒でもないお前に何が分かる? クロウ教の教えに妖精に優しくしろエルフを敬え、などと言うものはない。虐げられ嬲り殺された同胞を思えば、連中など皆殺しにするべきだ。お前もタウマス王も何を考えているのか知らないが、あのクズのエルフどもを生かそうとしくさる」
歯をむき出しにし怒りをあらわにしながら、シスターはそう話す。怒り心頭と言ったところかと思いつつ、目を合わせたがなんだか怯えているように見えた。
一瞬、昔俺を虐めて殺そうとした奴の目と重なって見える。なぜ虐めている奴と同じ目なのかと考えた時、思い返せば俺以外の虐められっ子は早々に逃げ出したのに、俺は最後まで屈しなかったからではないか、と思った。
何度虐めても屈せず学校にも来続ける。相手からすれば得体のしれない者に思え、自分の世界から排除したかったのではないだろうか。
もちろんそんなものに同情する気はないし意味不明なのだが、アヤメさんたちの心情を理解するヒントにはなった。
「エルフが怖いから亡ぼすために、王を病気にしたのですか?」
「タウマス王が正常であれば許すはずがない。ミーファとかいう女の計画を聞き、エルフの言うことを聞くのは癪だが、この機を逃すわけにはいかなかったのだ。終われば連中も始末し王が回復する頃には全て終わっている、そういう段取りなのよ」
王が急病になったのは、イリスを殺せなかったことやこちらを殺すこと以外に、やはりエルフたちを殺すために必要だったらしい。
悲惨な歴史を鑑みれば確かに彼女の心情も少しわかるが、里のエルフを皆殺しにしても気分が晴れることはないだろう。次はイリスと王妃を殺すだろうし、果ては自分たちが奉戴するタウマス王をも殺す、というところまで行く気がした。
周囲に血が流れ続けそこからまた復讐者の芽が育ち、回りまわってすべての者が滅ぶまで行くのだろう。
思えばエルフの里を放置するのではなく占領すれば、少しは彼ら過激派の気持ちも少しは楽になった気がする。
今更ながらそういった負の面の歴史を、もう少し学ぶべきだったなと反省した。知っていれば陛下に対してもう少し違う提案が出来た気がする。
遅きに失した感があるものの、ここで彼らをたた退けただけでは終わらないだろう。彼らの矛先を収める何か良い方法はないものか、そう考えた時に占領ではなくいずれ何代か後に戻すが、今回の件をきっかけに自分の国に統合するという案を思いついた。
「今回の件でエルフの里は壊滅状態になるでしょう。人もどれだけ残っているか分からない。二度の災厄でエルフたちの心は疲弊を極め、恐らくは戻って来てくれと言われると思うんですが」
「ですが?」
「自分がしでかしたことの後始末をするために、手伝ってもらえませんか? こちらも国を作りながらやるので、一時統合し何代か先にエルフ族として独立させるんですけど」
彼女にそう打診すると目を見開き飛び掛かってきた。言葉のチョイスが悪かったのかと考えながら、攻撃を捌いては隙を突いて飛ばし、距離を取らせを繰り返す。
「なぜ私がエルフのために手伝わなければならんのだ!」
「このまま野放しにしてたらまた残虐なことをするかもしれない、そう思ったから今回のことをやったんでしょう?」
「知った風な口を」
「なら上に立って導けばいいだけの話です。そりゃ大変かもしれませんけど、正しい倫理観を形成し広く浸透させ、悪いことをしても良い許されるという世の中を変えればいい。何もしなかったらそのたびに殺すしかない。馬鹿なことだとは思わないんですか?」
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




