第二百八話 エルフの里へ急げ!
たしかにエルフたちがダークエルフにした所業は、大賢者を絶望させ生きる価値無しと断罪するに余りある行為だ。
魔神に襲われた時に種族の滅亡を防ぐため、勇者クロウと共に命がけで倒したのに、未来では魔神に勝るとも劣らないことをしていたと知れば、自分がその立場なら同じく冷静ではいられないだろう。
恐らく恨みや憎しみでなく、自らの過ちによる尻拭いをしたいんだろうが、もうそんなものは勇太率いるダークエルフによってとっくに終わっている。
エルフはマナの木からの援助も切られ、ダークエルフは我が国に居場所を求め自由になっていた。それでも尚許せないというなら、戦うほかない。
過去のエルフについては知らないが、今のエルフはこちらが懸命に動いて復興した里に住む者たちである。鬼畜の所業をした者たちはもう里にはいないだろうし、いたとしても復権は難しい気がした。
何よりエルフ族の皆がそれを許さないだろう。元々エレクトラ王妃誕生から人間族だけでなく、エルフ側からも戦いを回避しようという流れはあったし、手前味噌だが俺の魔神討伐でそれは主流派になったように感じる。
皆と過ごした短くとも濃い日々において、彼らから嫌な思いをさせられたことも、嫌な視線を向けられて事もなかった。以前よりも生きるために必死で視線はまっすぐ前を向き、地に足がちゃんとついている。
これからの動きにもよるだろうけど、近い距離に住んでいるのだから、また間違ったら元の位置に戻るよう声掛けくらいはしたい。
アライアスの中にいるのであれば自分で正していけばいいのに、それをしないで魔神の好きにさせていたことからして、絶望の深さを感じた。
「わかっちゃいるけどやりきれないってか?」
サジーを走らせながら呟く。里を爆破するなどという行為は、この時代においては魔法を使用するしか思い当たらなかった。
自分の得意な技を同胞に向けるのくらいだから、悪の根の根絶とかいう絶望的な方向に行ってる気がする。
普通に会話したところで互いの主張は相いれないからこそ、相手は戦いを仕掛けてきたのだから、きっちり終わらせる以外今のところ道はいない。
今回の本丸は自分は大賢者アリエル、勇太はミーファだ。それ以外のクロウ教徒には悪いけど、早々にご退場願うためさっさと片付けさせてもらう。
色々思惑とか思い入れとかある相手ではあるんだけど、森の中で爆発を起こしたり襲撃なんてしたら、オベロンさんやティターニアさんは激おこだろうし、俺は自分が人間でいられるよう祈るしかなかった。
「コーイチだ! コーイチがいたぞ!」
先ほどと同じような声が前の方から聞こえてくる。正直このまま置き去りにして突っ込みたいところだが、エイレアとエイミーがいる以上放って進むわけにはいかない。
声のした方へサジーを走らせ近づくと、数十人の兵士たちが武器を構えて待っていた。エルフの里に解任を伝えに来た兵士たちと違い、信仰心が篤いのか彼らは動じていないように見える。
「悪いが恨むなら自分たちを恨んでくれ」
そう告げてこちらから突っ込むと扇形に広がった。訓練された良い兵だなと思いつつも、お構いなしに一人一人素早く突きや薙ぎを浴びせ吹き飛ばしていく。
「ば、化け物め!」
「恨むなら自分たちを恨むが良い。森を燃やすような馬鹿な真似をしたせいで、俺に森の加護が集中してしまった。もはやどうにもならんぞ?」
「ほほう、それはどんなものか見せてもらいたいものだな、コーイチ!」
半分くらいを吹き飛ばしたところで兵の後方から声が聞こえ、彼らの間を縫うように巨大な斧が飛んでくる。
森の守護者夫婦が激おこ状態でなければ冷や汗の一つも掻いただろうが、しっかり軌道は見えており、慌てることなく三又の槍の間に斧の刃を当て上へ軌道を変えさせた。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




