第二百七話 パルダス、部下を持つ
「さすがコーイチ殿……相手の大将を殺さないとは」
「おいエルフども……コーイチ殿などと言葉遣いがなっていないようだな。お前たちの主人であるぞ!?」
エルフの兵士たちの賞賛の言葉に対し、敬称が間違っているとパルダスが一括すると押し黙る。今すぐ臣下の礼を取るのは厳しいだろうというも、心がけの問題ですとたしなめられた。
「良いかよく聞けお前たち。分かっているだろうが陛下がお前たち全員を殺すなど、片手で数える程度ですら必要ない。それを助けて頂いたのに、殿だと……? 命の価値はそれほど軽いのか?」
やだパルダスくんめっちゃ怒ってる! と思い慌ててなだめようとしたが、下ったからには即心を入れ替えるくらいの姿勢は見せて欲しい、そう考えているであろう彼を尊重し見守ることにする。
「おっしゃる通りです、大変失礼いたしました。陛下とお呼びすれば宜しいでしょうか」
「宜しい。ここから先は粉骨砕身、陛下のために尽くすように。お前たちは運が良いぞ? 何しろ今から直ぐに陛下の御為に働く機会がある。手柄を立てればよく取り立ててくれようぞ」
パルダスの言葉を聞いてエルフたちは盛り上がり、我先にと武器を取って馬に跨った。
「よろしい! 陛下、下知をくださいますようお願い申し上げます!」
そう頭を下げながらパルダスが言うと、エルフたちも頭を下げる。なんだか少し前の彼とは思えない立派な姿に感激しつつ、ならばとパルダスに対し彼らを部下としてまとめ上げるよう、そしてエルフの里へ進軍するよう指示を出した。
「……わ、私がですか?」
一瞬完全に停止したパルダスだったが、すぐに気を取り直し姿勢を正し聞き返してくる。もちろんだと答えさらに強い親衛隊に育てて欲しいと依頼すると、彼は面食らったような顔をした後で少し間があってから空を見上げ
「は、は! この命に代えましても!」
そう叫んだ。嗚咽を堪えていたパルダスだったが、涙が顎までこぼれてくる。よほど部下が持てて嬉しかったんだろうなと思いながらも彼の言葉に対し、命に代えられたら困る、誰よりも生きて長く支えてくれよというと
「う……おお……もったいなきお言葉! このパルダス、陛下のためにこの命すべて捧げる覚悟でございます!」
堪えきれずに涙を流しながら跪いた。アライアスの父親は荷台に乗せ、エルフの里へ急いで戻ると告げて走り出す。
「皆の者、陛下に後れを取るな! だが馬たちの具合に気を付けろ!」
後ろで大きな声を出すパルダスに頑張れと言いつつ先頭を走る。
「コーイチ」
すぐに勇太がこちらの横に来て声をかけた。恐らく彼も何となく気付いている……いや、元あの鎧を着ていた者、彼女と心を通わせた者として気付いているのだろう。
目的としてはエルフの里を滅ぼし、こちらもクロウ教徒と共に殺すことだろう。ならば勇太はこちらの傍にいる方が出会いやすいに違いない。彼女の対処を任せようと思っているが、会話をしながら状態を確認しつつ行けそうなら任せることにする。
「ミーファは来ているだろうな」
「ああ間違いなく。エルフが嫌いというよりは、今の里の連中が気に食わないのだろう。そしてクロウ教徒の力を借りたのであれば、その借りを返すためにお前を殺しに来るはずだ」
「あんな鎧を作るくらいだから、魔法に長けているのだろうな」
「あの当時でも里では髄一の使い手だった。彼女がいた時代の者たちは魔神ラヴァルに殺されたし、今は一番だろう。だがさっきの奴の様子を見る限り、魔法は使えないのではないか?」
「それなら問題なく使ってくるだろう」
「なぜだ?」
「俺たちが魔神ラヴァルと戦っている時に傍観し、力を蓄えていた人物がミーファの傍にいるはずだ。可笑しいと思ったんだ、大賢者で魔神ラヴァルを一度は封じた男が何もできないというのは」
「なるほど了解した。彼女のことは俺に任せてくれ」
話している感じからして気負っているとは思えないし、言い方は悪いがこれまでで一番まっすぐで迷いのない、綺麗な状態の勇太だったので大丈夫だと判断し任せることにした。
「もちろんそのつもりだ。ミーファとの戦いに関することは一任するから頼む。こちらはそれ以外を抑える」
「頼む」
そう言って勇太は後ろに下がっていった。彼も大賢者のことは知っているようなので、話が早くて助かる。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




