第二百五話 幻想的な新居を巡る戦い
距離があり且つ軍馬として調教されていたからか、時間が経つにつれて彼女たちも慣れてきて
「陛下! 里です!」
ジンネさんの知らせが来た頃には、なんとかスムーズに走らせられるようになっていた。人間族よりは基本的に適性が高いのだろうなと思いつつ、前に行くよと告げてサジーを走らせる。
「こ、コーイチだ! コーイチが来たぞ!」
「おお……」
敵の監視役が叫んでいたが、森を抜けて現れた元エルフの里の景色に美しさに、自然と声が漏れた。異世界に来たと文化の面とか人の面とかで感じたが、景色で圧倒されたのは初めてかもしれない。
先の方には海辺が見えゆっくりとした傾斜の先に、段々畑のように家が点在し一番上には大きな建物がある。
それらの間には水が流れており海へと入っていくという、幻想的な都市に息をのんだ。
「何をしている者ども! さっさとあいつらを始末せんか!」
せっかくの感動をぶち壊すように、聞き覚えのある怒鳴り声が聞こえてきた。視線を向けると入り口と思われる場所にアライアスの父親が見える。
皆が出ようとしたので素早く前に出て相手に対し切っ先を向け、また戦うつもりかと凄んでみせた。
「ああ戦うとも。ここは私たちに残された最後の居場所だからな。命を懸けて戦う!」
言葉は立派だがそう言った彼は徐々に後ろに下がっていく。前にいたエルフの兵士たちは頬がこけており、満足に食事にすらありつけていないように見える。
森の恵みを与えてくれているマナの木や、オベロンさんたちが怒っているのだから、無理もないことだと思った。
「皆の者、早く掛かれ! 今のうちにやつらを少しでも消耗させ、クロウ教徒どもが来た瞬間に打ち取れるようにするのだ!」
アライアスの父親の言葉に押されるように、エルフ兵たちは出てくる。どうやら彼らと繋がっているのは人間族ではなく、クロウ教徒だとご丁寧に教えてくれたことに感謝しつつ、ならば手短に済ませようとサジーと共に前に出た。
「陛下、ここは私が先陣を頂きますぞ!」
「俺だ! コーイチに一番初めに付き従ったんだから!」
パルダスとヴァルドバが競い合う様に全力で前に出ると
「いや、我々が貰おう! 一族の未来のために!」
「一族のことを言うなら我々だ! ダークエルフの未来のために!」
ジンネさんたちやアルヴたちも負けじと二人に続く。気合の入った皆に驚き先を越されてしまったが、負けていられないと追いかけようとしたが、エイレアとエイミーが前に出て来て道を遮られてしまう。
「皆にも手柄を立てさせてあげて頂戴」
「そうよ、なんでもかんでもコーイチがやってたら、皆後から来た人に追い抜かれちゃうじゃない」
そうたしなめられ確かにそれもそうだなと思い、二人と共に後方で待機する。一応近くの石を拾いこちらの兵が危ない時は投擲し、サポートを行いながら戦況を見守った。
勢いはこちらがある分押していたが、相手は戦い慣れているようで決定打を欠き、徐々に守りを固くされてしまい攻めあぐねている気がする。
「なんか変ね……」
「エイレアもそう思う?」
攻めあぐねてはいたがヴァルドバたちは負けじと押しまくり、あと一息で相手の戦意を完全に喪失させることが出来そうに見えたところで、二人はそう言い始めた。
言葉からして具体的な部分はわからないようなので、こちらも目を凝らしながら過去の彼らの陣営を思い出してみる。
「ああそうか」
口から言葉が先に出てしまった。二人が違和感を口にしてくれたおかげで、ある男が今この場にいないことに気付く。
この場だけの違和感ではなく、思えば最初に出てきた頃からずっと違和感がある。里が未曾有の危機にあるにもかかわらず、救わず最終決戦でも戦闘に参加せず後方にいるだけだった。
彼が噂通りの人物であれば、その力をもってしてある程度は何とかできたはずだ。何しろその男は一度は魔神ラヴァルを封じ込めたのだから。
気になるのはそれだけではない。彼は本当に何もわからず無理やりアライアスを生き延びさせるため、過去から引っ張られ蘇って子孫の命を救ったのだろうか。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




