第二百四話 代理総督の終わり
「貴様ら静かにせんか! さもなくば反乱と見做し攻撃を加えるぞ!?」
「やれるもんならやってみろ……俺たちが受けて立つぞ?」
勇太は俺の後ろに回ってそう告げる。他の皆も此方を隠すように動き立ちはだかってくれた。エルフの皆にはどうか元気でと伝えた後で手を天にかざし、魔神の三又槍を呼ぶ。
「皆落ち着いてー? もう別れは済んだからさ」
皆の隙間から槍を通しそう言ながら、前にいる兵士に突き出す。勇太たちが道を開けてくれたので前に出て兵士たちに告げる。
殺さずのコーイチはたった今返上する、次に会う時は仲間を守るため皆殺しのコーイチとして、お前たちの前に立ちはだかるぞと睨みながら気を入れて言った。
こちらのセリフを想像してなかったのか、思った以上に迫力があったのかは知らないがあわあわし、何も言わずに動かないので切っ先で兜を突くと、先頭の兵士が気を失って倒れる。
「う、うわぁ! イーオがやられた! 殺さずのコーイチにやたれたぞ! 逃げろ!」
少し間があった後で後ろの兵士の一人が叫ぶと、半狂乱状態になり馬を置いて走って逃げだした。全員いなくなったその場には、ただ風に揺られてる葉の音だけが響いており、誰も何も言ってくれなくて怖くなる。
なんとか空気を換えようと馬がタダで手に入ってラッキーだね! とか言ってみたが、無反応のままだった。何これどうしたの?
「総督業ばかりで雰囲気も穏やかになっていたと思っておりましたが、いざとなればさすがですね陛下は」
「本当だ。初めて会った頃にはなかった、凄い気で圧倒された」
「まぁこれくらい出来てくれなくては、先にいる敵とも戦えないだろうよ」
やっとしゃべったかと思ったら、こちらの発した気に驚いていたらしい。ただちょっと凄んでみただけなのに、なんか大魔王が発するオーラを出してました、みたいな雰囲気を醸し出すのをやめてもらいたい。
心の中でそう叫んでいたものの皆がそう感じたのは事実らしく、さすがにそれを言えるほど空気読めない感じではないので、リアクションに困る。
勇太に気合を入れてもらった日から、なるべく筋トレや槍や剣の鍛錬はしていたものの、それ以外に思い当たることと言えば……。
―森では無敵です!
弾んだ声が頭で響く。ああそうか、これはあのお方のせいに違いない。色々経験して人間としてレベルアップしたかもしれないが、それが微々たるものだとしても森では倍増される、そんな気がしてならなかった。
きっと森を出たら弱体化するに違いない。がっかりさせてはいけないと考え慌てて勇太たちに、先ほども言ったが森の加護があるからだと反論したところ、エルフたちから大きな歓声の声が上がる。
「やはりコーイチ様は森の守護者だ!」
「いや守護神だ!」
これは失敗したのではないだろうか。慌ててやることは良いことはないなと思った。近くにいたアインスさんを手招きして呼び、コーイチたちは西に行ったとだけ伝えてください、そうお願いし倒れた兵士をサジーへ乗せ跨り足早にその場を後にする。
「陛下、私が先導いたします」
逃げた兵士が置き去りにしたと思われる馬に跨り、後ろから来たジンネさんがそういってくれたので、お任せして周囲を警戒しつつ進む。
皆の速度に合わせて調整するも、転生前の影響で高いと思われる騎乗スキルの関係からか、サジーの最低速度が速く逆に疲れてしまうため、殿に移動し皆に付いていくことにした。
「陛下、私たちのことはお気になさらずお先へどうぞ」
殿近くにいた馬に乗りなれないダークエルフの子からそう言われ、慌てなくていいからゆっくり進んでと笑顔で返す。
エルフは動物に強いものという先入観から、ダークエルフの子たちに乗馬の訓練を怠ったトップのミスである。
元エルフの里を奪取したら乗馬の訓練をしようと固く心に決め、走りながらその子には自分がわかる範囲で手解きをしていく。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




