第二百三話 風雲急を告げる事態
「ギリギリ人としての気を保っている……ですか」
都合よくこちらの陣営が全員近くにいたので集まるよう頼み、エリザベス……とは言えずマナの木から言われたことを告げるも、なぜだか皆反応が鈍かった。どういうこと?
「大変申し上げにくいのですが、陛下はすでに私たちと同じラインにいる気がしなかったので、そう言われてもピンとこないのですよ」
パルダスがそう言うと皆腕を組んで頷く。何を馬鹿なことをと思い、タウマス王みたいな人徳も率いる力もなく、武においても最強でもないと反論したが
「比べる相手として陛下御自身がタウマス王を出してる辺り、平均値として我々とはラインが違うのではないでしょうか」
そう冷静にパルダスに指摘されてしまい、たじろぐほかなかった。もはやこの件で議論してもらちが明かないと判断し、とにかく元エルフの里を奪還しに行くぞというも反応が薄い。
行く気がしないのかと問うもそうではなく、やっとかという感じだとエイミーは呆れたように言う。
「私たちとしては里の引継ぎとかも済んでるし、やる気満々なのにいつまでも指示を出さないから、コーイチの方が良く気がなくなったんじゃないかと思って……ねぇ?」
どうやらエイミーだけでなく、他の者たちも引継ぎを終えていたらしい。報連相しようぜというも、瓦礫撤去に夢中になっていて言い辛かったと言われ、非はこちらにあると気付き申し訳ありませんでしたと秒で謝罪する。
「なんにせようちの大将がやる気になったんであれば、この機会を逃す手はない。数日経つと別のことを始めかねないしな」
勇太の言葉に皆がまた大きく頷いた。別のことなんて始めないしと心の中で否定しつつ、勇太の機嫌が良さそうに見えたので何かあったか? と聞くとうるさいと怒鳴られる。理不尽だ。
「とにかくそうと決まれば準備を始めましょう……とはいえ私たちしかいないから準備も何もないんだけど」
「このまま行ってもいい。俺、本当の仕事は建築じゃない」
「それは俺たちも同じだ。モンスターを倒して金を作るのが仕事じゃないんでな。あいつらももう自立できるだろうし、今すぐ行くべきだ」
「勇太殿の言う通りであります。保存食などを確保してもう行きましょう。相手は準備万端待ち構えているやもしれませんが、遅くなればなるほど不利になりましょう」
皆の意見が一致したので出陣となり、アインスさんに後の指揮は任せ準備に入る。エイレアの言う様に大人数ではないため準備も早く済み、早速里を出ようとしたところ
「コーイチ殿はおられるか!」
里の入り口で初めて見る人間族の兵士に呼ばれた。相手は十人くらいで全員馬から降りていたが、柄に手を置きながら立っている。
何かあればやり合う覚悟があるのだろう。こちらも戦闘態勢にいつでも入れるように身構えながら、目の前にいたので私ですが何かと答えると
「陛下の命令を伝える。本日只今をもってエルフの里の代理総督の任を解き、エルフに返還するようにとのことである!」
兵士の言葉を聞き驚いた。水晶玉があるのに直接言ってこないということは、陛下側でも何かあったに違いない。いや、それとも誰かの独断専行で行っているのだろうか。
エイレアに目配せし水晶玉で通信をしてもらい、それを持ってきてくれ二人で見ていると文官が出ず、直接エレクトラ王妃が出てくれる。
どうやら陛下は今突然の病に倒れ、急病の場合は大臣や指揮官が代理で審議を行い決定する、そう教えてくれた。
エレクトラ王妃としては陛下が治るまで待つよう言ったものの、ミーファから規定に従うよう記したのは陛下だとされ、抵抗空しく決定されてしまったと言われる。
「すまないコーイチ殿。この借りはいずれ必ず……」
急病なら仕方ありませんと答えた後で、小さな声でイリスの傍にいるであろうパックに、王妃様の力になるよう俺が言っていたと伝えてください、そう頼んで通信を切る。
随分とタイミングの良いことでと思いながらも、断ればそれを理由に戦闘開始となりエルフたちも巻き添えになる、そう考え拝命仕ったと返事をした。
直ぐに後ろにいたエルフたちを向いて、短い間でしたがお世話になりましたと頭を下げる。エルフたちは感謝の言葉を一人一人が叫んでくれ、近い人とは握手を交わしつつありがとうと伝えた。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




