第百九十六話 ミケと里の交渉役後任について話す
何にしても動いて仕事をしなければ先に進みようもないので、頑張っていこうと気合を入れてベッドから出て外に出る。
「え、本当に!? あのコーイチが!?」
外に出ると真ん前で女子三人が固まって井戸端会議をしていた。聞こえないふりをして横を素通りするも、なぜかこちらの真横で井戸端会議を続ける。
「ただの朴念仁だと思っていたのに、意外ですねコーイチ総督」
「参ったなぁエイレアに先を越されちゃったわ」
「え、べ、別にいいじゃない王様なら奥さんが何人いても!」
「エイレア的にはいいの?」
「ま、まぁ……」
なぜかエイレアが抓ってきたので優しく手を離させ、笑顔で押し返すも執拗に抓ろうとしてきた。何もしてないのになぜこんな目にと思いつつ、小さな攻防を繰り返す。
色々ありすぎた今日はその後特に波風もなく過ぎて行き、夜遅くにはミケたちが戻ってくる。エルフたちの商人候補はいるかと報告を終えたミケに聞くと、以前人間族と取引をしていた者がおり、マイナも知っているという。
一瞬喜んだものの、取引の有無ではなく評判の方はどうかと聞いたところ、すぐに言葉が返ってこなかった。答えとして受け取り、新しく任命するとしたらその対象はいるか、という問いに対してはいると答える。
「元々人間族への加害に反対していたもので、マイナ殿への態度も良かったものが一人おります。ですがそのものを任命すると言うことは、元の担当者と変えるということになりますが」
言い辛そうにするミケに対し、未来を考えれば今までのように上からでは、何れ人間族から相手にされずエルフの未来に何一ついいことはない、そうはっきり言い直接自分が言うので連れてきて欲しいと頼んだ。
「総督、お呼びでしょうか」
前任者は神経質そうな細身で肩まで長い髪をした、仕立ての良い服を着ているエルフの男性だった。今接している感じは恐縮しているが、それは魔神を倒した者に対する畏怖からだろう。
ミケたちが今変わってマイナさんと交渉しているけど、報告からして良くない態度を取り続けていたのだろう、というのは分かる。
現在里の代理とはいえ、代表としてミケを交渉役として任命しており、そんな彼らに推されないのであれば引き続き担当はさせられない。
とはいえそのまま言うとミケたちが恨みを買うので、環境を変えるために新しい担当者を選び、里の交渉役を担ってもらう旨を伝える。
「わ、私ではその担当にふさわしくないのでしょうか。これまで里の交渉役として長年勤めてきましたのに」
出来ればいずれ返り咲いてみせる、くらいの気合を見たかったが問われてしまい、一瞬言葉に困った。理由として挙げるなら、長年交渉役を務めてきたのに相手から指名されなかった、という点だと伝えると押し黙る。
彼で良いのであればマイナさんもそう言ってくるだろう、そう思った。商売として得をしたいから手強い相手を変えたい、ということも別件ではあるにしても、話した感じからして彼らはこちらとの未来を見ている。
担当がそのままでも里に利益があるのであれば、後々の取引相手のこちらのことを考えて彼を指名したはずだ。
個人的にはこれ以上言えば傷つけてしまうと考え、今後奮起して担当に返り咲くくらいの頑張りに期待する、そう告げると生返事で肩を落として去っていった。
会社の社長に対してあんな態度を取れば、出世どころか在籍すら危ういのになと思いつつ、エルフの里のこれからが心配になってくる。
マナの木を盾にした商売の方法で今まで成り立ってきた、ということを自覚してないのかマヒしてるのかしらないが、何にしても改めてもらわないと困る。
今取引しているのはマナの木からのものではなく、森の恵みによるものだ。言えば人間族も獣族も、取ろうと思えば自分で何とか出来る物だろう。
それを取引してもらえるということがどういうことか、これが分からないのでは離れてしばらくしたら、里は魔神時代より前に逆戻りしてしまう気がした。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




