第百九十五話 ゼークトの組織論におけるヤバい人
他の種族から比べるとエルフは魔神ラヴァルが来るまでは、とても恵まれた環境にいたのは事実だろう。自からの努力で力を付けたのと違い、ティターニアさんの好意によるチートを受けていた状態なのだから、一方的な支配を受けていてもおかしくはなかった。
良かれと思ってしたことがまさかこんなに酷いことになるなんて、彼女も予想していなかったのだろうが、自分に力を貸しすぎるとまたバランスを崩すのではないか、と聞いたところ
―大丈夫です。あなたは明らかに劣勢で、このままだと間違いなく死にますから。
笑顔で死の宣告を受ける。何気に酷いなこの人。
―私も二度も惨劇の引き金を引くわけにはいかないので、各所に確認を取った上でこの子たちとも協議し、あなたに力を貸すことにしたのです。今度こそ大丈夫だと言う確信があります。
言い終えるとティターニアさんは両方の手を握り腕を立る。あれ、この人って実はかなりのポンコツで元凶なのではないか、と段々不安になってきた。
とりあえずこちらで頑張りますので、応援の方を宜しくお願いしますとやんわりお断りするも、全力で応援しますと返してくる。え、怖いんだけど。もしかして呪いの装備的な存在だったりする?
―先ほども申しましたように、各所にも問題ないと言われたので大丈夫です! あなたが目的を果たすために妖精族は全力応援していきますから!
一気に雲行きが怪しくなってきた。元エルフたちが住んでいた都市に行くのも、本当に大丈夫なのか不安になってくる。エリザベスたちに視線を向けると、皆素敵な笑顔でこちらを見ていた。
あー会社に勤めていた頃を思い出すなぁ。権力があって下にも優しいけど、やることなすこと良い方向に転がらない人。
ただ話を聞いた限りではエルフの時のような独断専行ではなく、周囲にも相談した上で協力してくれるらしいので、大丈夫だろうとは思うけど心配しかない。
―とりあえず今日はこの辺で。あなたはマナの木の騎士であり、妖精の騎士でもありますので森の中にいる限り、他の誰よりも有利であることは覚えておいてください。またお会いできるのを楽しみにしています。
そう言い終えるとティターニアさんは笑顔で手を振り、徐々に足元から光の粒子となって消えやがて見なくなる。
ーではコーイチ、今後ともよろしくお願いしますね。
見えなくなってすぐにエリザベスはそういった。こちらとしては色々聞きたかったものの、景色が揺らいでいき彼女たちが見えなくなる。ティターニアさんについて聞かれると察した上で、強制切断した気がする。
彼女たちからすれば上司だし、聞かれる可能性も考えればコメントできない、という気持ちは十分理解できたので諦めた。
「王! 大丈夫ですか!? お怪我はありませんか!?」
パルダスの大声で目が覚める。問題ないよと言いながら体を起こすも、寝ていてくださいと言いながら駆け寄ってきた。
もう十分寝たし仕事が山ほどあるからゆっくりしていられない、そう言うと押し黙る。そう遠くないうちにエルフの里を離れるのだから、パルダスも体を鍛えつつ仕事を頑張ってほしいと告げると、元気よく返事をして外へ出て行った。
彼に言ったように時間がないので、ルーティンが確立されたとはいえ、アインスさんが楽できる様に穴がないようにしておきたい。
特に商売の面ではミケたちが引継ぎできる人材がいるかどうか、という点が大きな問題である。エルフたちは俺には謙虚で礼儀正しいものの、他の世話になってない人間族に対しても、同じように出来るか不安があった。
時間があればそう言った面の修正をしたいが難しいだろう。瓦礫撤去の人員もまだ来ていない。出来れば瓦礫撤去をして販路を確立し、建築を始めるところまで出来ればいいなと思っている。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




