第百九十三話 心の復興の兆し
慌てて彼女が駆け寄ってくれ肩を貸してくれた。心臓の鼓動が大きいものの、なんとか平静を装い感謝を告げつつアルヴとも合流する。
「何をしたかは分からないが、少しだけ私の恐怖心が軽くなった気がする」
神妙な面持ちでそういうアルヴに対し、それはきっと気のせいだと言った。トラウマなんて生易しいレベルのものじゃない、人としての道に外れる行為を受けた場所なのに、そんなに簡単に解消されることはない。
アルヴほどじゃない自分ですら未だに抱えているのだから、無理はしないでくれとも付け加える。
「確かにそうかもしれないが、ここに居ることが少しでも軽くなったことは、私以外の者たちにもいい影響が出るだろう。これまでは復讐心から復興をしていたが、これからはあなたのために復興を頑張ろう、そう私は思えるくらいにはなった」
本人がそういうならそうなのかもしれないなと思いつつ、くれぐれも無理だけはしないようにと念を押し、仕事に戻ろうと二人に言って歩き出した。が、数歩歩いたところで力が入らずバランスを崩してしまう。
肩を貸してくれているエイレアが危ないと感じ、急いで剣を引き抜き地面に切っ先を向け、その柄頭に肘を置いて倒れるのを防いだ。
「総督、その感じからして魔法を使ったのではないか?」
アルヴも慌てて駆け寄り肩を貸してくれ、地面から剣を引き抜き鞘に入れつつそう聞いてくる。二人に隠しておくことはないと考え、実はマナの木からの依頼で魔法を使い、この施設を浄化したんだと答えた。
「そんな凄いことをしたんだからこうなって当然よ」
「そういうことだ。総督、あなたは総督なのだから、無理して倒れられては復興が止まってしまう。くれぐれもあなたこそ無理しすぎないで欲しい」
心配したこちらが逆に心配されると言う、ミイラ取りがミイラになったみたいな状態になってしまい、申し訳なさと気恥ずかしさでいたたまれなくなる。
だが元々自分はそんなもんだと受け入れつつ、二人には改めて感謝の言葉を伝え頭を下げた。二人に運ばれ里の中央広場に着くとなぜか大騒ぎになってしまい、アインスさんの家に逆戻りし休憩することになる。
「……ひょっとしてお邪魔だったりするのか?」
エイレアとアルヴにベッドに寝かせてもらい、少し間があった後でそう言われエイレアと共に慌てて否定した。
「いや、その、良いんだ別に……そういうことがあるのが普通だ、と思う。で、二人はその、どういう感じでそうなったのだ?」
デジャヴのような質問に驚きながらも、エイレアと見合いながらどういったらいいか苦慮する。彼女に言わせるのはなんなので、勇太に説明したようにするとアルヴは真面目な顔で聞き入った。
「そうか……わかったありがとう。参考にさせてもらう」
「こっちも聞いちゃうけどさ、相手は誰なの?」
もじもじしながらエイレアのそう聞かれ、伝染したのかアルヴも動きが可笑しくなり、こちらをちらちら見る。恐らく話し辛いのだろうなと思い、エイレアに彼女の相談に乗ってあげて欲しいと頼む。
「いや、別に良いんだ」
慌てて言うがまったく良くないように見えたので、エイレアに目配せすると頷き二人で外へ出て行った。女性陣は恋バナとか好きだとテレビで見たことがある。
これまで忙しすぎてそれどころじゃなかったし、色々ルーティーンが回り始めたことや施設の浄化が行われ、皆気持ちが落ち着いてきた証拠だろうと思った。
何にしても荒廃した里から改善され雰囲気が良くなるのは良い事だ。施設の浄化も完全では無いにしても出来たし、これならマナの木も遠くないうちに回復するだろう。
うとうとし始めてそう経たないうちに意識が遠のいていく。
ーコーイチ、施設の浄化ありがとうございました。
声が聞こえ目を開けて驚いたが、いつの間にかマナの木の枝の上に立っている。瞬間移動をしたのだろうかと思いつつ辺りを見回していたら、いつの間にか周りにエリザベスたちが現れていた。
職業:エルフの里代理総督
役職:エイレア(総督補佐官)
ヴァルドバ(食材調達班隊長)
士元勇太(モンスター討伐班隊長)
エイミー(総督補佐官)
ジンネ・ダーント・ミエナ(環境調査班)
ミケ・ザ・キャットとお供二人(資産運用班)
アルヴたちダークエルフ(モンスター討伐班)
パルダス(総督直轄兵)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
名産品:里の川魚の干物(予定)
人口:二百人
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント




