第百二十九話 何度目かのさよならを
翌朝、起きて受付まで降りようとしたところ、昨夜の皆がまた集まって朝食の支度をしているのが目に入る。慌てて駆け下り手伝おうとするも昨日と同じように追い払われた。
イリスはどこかと探して歩いたが、調理場でエルザと一緒に料理の手伝いをしている。ここもお邪魔しちゃ悪そうだと思い、大人しく部屋に戻って出来上がるのを待つことにした。
二度寝が始まりかけた頃、部屋のドアノブがゆっくりゆっくり回り扉もゆっくり開く。こちらを起こさないようにしているのかと思い、寝たふりをして薄目を観察する。
現れたのはニヤリとしているイリスと口を手で抑えたエルザだった。あの顔からしてこちらを起こさないようにしているのは、明らかに驚かそうとしているに違いない。
元から朝攻撃してくる悪戯小僧ではあるので、通常に戻ったと考えれば喜ばしいことである。大人としては黙って受けてやるべきだろうけど、何となくそれはつまらないのでここは一つ脅かすことにする。
「せーの……起きろー!」
「捕まえたぞ悪戯っ子たちめ!」
しばらくクスクスと小さな声で笑い合い、タイミングを合わせて飛び込んで来た二人を受け止め、そのまま布団でぐるぐる巻きにして布団に寝かせ勝ち誇ってみた。
きょとんとした顔で布団に撒かれていた二人は、少し経つと驚いた声をあげてからもう一回もう一回、と何故か興奮しつつアンコールをし始める。
もう一回も何も不意打ちからの布団巻きが面白いのであって、分かった状態でやっても面白くないのではないか、と言ってみるもヤダ! もう一回! と駄々をこねた。
「ちょっと、何してんの?」
七回目くらいのアンコール中に廊下からエレイアが顔を出し、怪訝そうな顔をしながらそう言ってくる。やっと終われると喜び息を切らしながら二人に終わりと言うも、なぜか飽きないらしくもう一回コールをして来た。
「いい加減にしなさい二人とも! もうご飯できたから食べるわよ!」
エイレアに一喝されるも驚きもせず、まだ遊ぶと二人は頬を膨らませ抗議する。言い合いの末埒が明かないと判断したエイレアは、二人を抱えて部屋を出て行った。
朝から重労働をしたお陰で今なら気持ち良く寝れそうだなと思うも、遅くなるとまた何かあったのかと心配させてしまうので、なんとか気合を入れてベッドから出る。
下の階ではすでにこちら待ちのようで、ヴァルドバなどはご飯が食べたすぎて口が開いたまま、テーブルの御馳走を呆然と見つめていた。
皆さんにお待たせしてすみませんと言うも、エイレアが説明してくれていたらしく、逆に遊んでくれてありがとうとエルザの祖母にお礼を言われてしまう。
自分も楽しかったのでつい二人と遊んでしまったと返すと、イリスとエルザは顔を見合って笑い楽しそうにしている。
穏やかな朝食会は昨夜と同じように楽しく進み、そろそろ終わろうとしていたところでエルザの祖母から、いつ立つのかと聞かれた。あの時のようにイリスに言わせまいと今日立ちますと答える。
「寂しいけど仕方ないわね。王や王妃をお待たせする訳にも行かないし、あまり長くいると離れがたくなるしね」
「はい。皆さんと出会えたことは幸運でした。こうして楽しく過ごせたことに感謝いたします」
そう言いながら席を立って頭を下げた。見るとイリスは椅子の上に立って皆に向かって頭を下げる。彼女の姿を見て大人たち全員が慌てて立ち恭しく頭を下げた。
人間族の姫が頭を下げるのを止めないからか、皆頭を上げずにいたのでこちらからでは出立の支度をします、と切り出し朝食会は終了を告げる。
名残惜しそうにエルザと共に片付けをするイリスを見て、何とも言えない気持ちになるが頭を振り、急いでここを経つ支度を進めた。
冒険者ランク:シルバー級?
職業:二刀流剣士(初級)?
称号:マナの木の騎士
魔法:生命力変換Lv.5
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.5
魂斬り (ソウルスラッシュ)Lv.5
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
士元勇太(元黒騎士)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
騎乗時の武器:鉄の棒
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
皆とおそろいの裁縫セット(緑)
所持金:十三ゴールド




