第百二十八話 勇者の休日
イリスの親ではないが、一緒にいる間は彼女にとって一番良い選択をしたい。出来れば一つでも多く良い思い出を持って家に帰って欲しい。
恐らく旅が終わればもう会うことは難しいだろうが、振り返った時に楽しいことが多かったなと思える、苦しい時に少しでも足しになる旅で締めくくりたかった。
「やっちまったなぁ……」
「そんなにしょげないでよ、こっちまで辛気臭くなるじゃないの」
「コーイチは変だし強いけど完璧ではないぞ?」
「そりゃ完璧じゃないだろうね」
「ヴァルドバ違うのよ。コーイチはね、可愛い可愛いイリスちゃまに良い恰好したいだけなのよ。どうせ何十年か経って話す時があったら、良き旅でしたねとか言われたいなとか考えてるだけ」
「そうなのか!?」
「うっせぇわ!」
エイレアのとても的確な指摘にうっせぇわとしか返せない。子供にとって信じられる大人、頼りになる大人で居たいなという願いみたいなものを、イリスに押し付けてしまっているのかな、とか指摘された今思ったりする。
ただそれをそのままイリスに言ったり聞いたりするのも違う。ここからはそう長くない道程だけど、そういったところを少しでも改善すべきじゃないだろうか。
「とか考えていつも変なのに、輪をかけて変な動きをしそうな顔をしてるわ」
「改善というか改悪だなそれ」
「俺の心を読むんじゃありません!」
大して長い付き合いでもないエイレアに読まれるとは、修行が足りないというかなんというかだ。まぁ転生して急に格好良くなれる訳でもないし、なるべく自然体で変なおじさんが悪化しないよう気をつけよう。
堅くそう心に誓っているとエオルさんが戻って来て、今日は御馳走を用意するので楽しみにして欲しいと言われる。無理はしないでくださいというも、どうやらウォルフガングさんの身内の人たちが、腕によりをかけて料理を作ってくれるそうだ。
なんでそんなことになったのか聞こうとしたが、直ぐに扉が開いて大勢の人が入って来た。先頭にいた二人の女性はエオルさんの義理の母と祖母だと言われ、急いで立ち上がり挨拶をする。
「あなたが寝間着のコーイチさんね! うちの息子たちがお世話になりました」
「孫たちはこんなことになるまで言わなかったんだよ? 失礼だよねごめんなさいね寝間着さん」
寝間着を定着させないで欲しいなと思いつつ、こちらこそお世話になっておりますと大人として対応した。奥にいたエルザとイリスも出て来て挨拶をする。
近くに住んでいるが久し振りだったらしく、エルザを祖母と曾祖母はしばらく抱擁していた。イリスはそれを何も言わずに見ていたので、もう直ぐお母さんに会えるから、その時はうんと甘えると良いと言うと何故か叩かれる。
落ち込みかけたところで抱擁が終わり、イリスちゃんもおいでとエルザの祖母と曾祖母に連れられ、奥の部屋へ足早に移動した。その他のウォルフガングさんに似たゴツイ人たちは、宿の一階を整えたりテーブルや椅子を入れこんだりし始める。
手伝いますと言うも主賓は黙って座ってろと言われ、無理に手伝わずお任せし皆で二階に行き昼寝をした。
部屋にイリスとエルザが呼び来た時には外はすっかり夜になっており、寝過ぎたと思いながら二人と共に部屋を出て、一階へ降りる階段まで移動する。下を見ると準備を終えた一階には、豪華な料理がテーブルに所狭しと並び、多くの人がそれを囲んでこちらを見ていた。
お待たせしてしまったようだと焦り、しゃがんで二人を抱え急いで一回まで降りる。空いている席に二人を座らせ自分も席に着くと、エオルさんが乾杯の音頭を取ると立ち上がった。
「えー皆様、グラスの準備は出来ましたでしょうか? コーイチ殿やエルザとイリス様にも……はい、では準備が出来たようなので僭越ながら、私エオルが乾杯の音頭を取らせて頂きます。こちらのコーイチ殿には私の病を治して頂いただけでなく、ハクロの町を竜から護って頂くという、とんでもなくお世話になった恩人であります。本来であれば町を挙げて」
「おいエオル長いぞ! 恩人であることはウォルフガングから聞いているから乾杯を!」
「あ、はい……では乾杯!」
笑い声に包まれながら乾杯をし、この日はいろんな話を聞きながら美味しい食べ物を食べ、頭も心も胃満たされて眠りに就いた。
冒険者ランク:シルバー級?
職業:二刀流剣士(初級)?
称号:マナの木の騎士
魔法:生命力変換Lv.5
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.5
魂斬り (ソウルスラッシュ)Lv.5
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
士元勇太(元黒騎士)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
騎乗時の武器:鉄の棒
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
皆とおそろいの裁縫セット(緑)
所持金:十三ゴールド




