第百二十六話 エルフとの騎兵戦
「またエルフか……いったい俺たちに何の恨みがあるんだ?」
「うるさい人間族! お前たちのお陰で私たちの計画はめちゃくちゃだ!」
ヴァルドバの言う客というのは、馬に乗った道を塞ぐ複数のエルフたちだった。中には先ほどもいたアライアスたちもいる。エイレアに先頭にいるのは誰だか知っているかと聞いたところ、アインシュタット家の現当主でありアライアスの父親だという。
確かによく見るとアライアスに髭を生やし老けさせたような男で、よく言えば愛嬌のある顔をしていてげんなりした。名前のせいで空っぽだったのか疑問である。
「文句があるんだったら、自分たちで魔神ラヴァルを倒せば良かったじゃないか」
「出来なくなったから今お前を倒すのだ! 皆の者構えよ! ……撃て!」
右手をこちらに向け詠唱するも何も起こらず、これまた先ほど見た光景が繰り広げられた。アライアスが報連相しなかったんだろうなと思いつつ、彼らが飽きるまで再度待つことにする。
「コーイチ……」
「そうだな、もう良いか。エルフの皆さん方、もう満足して頂けましたか?」
「う、うるさい! ま、まさか貴様何かしたのか!?」
「俺が何かしたとして、それがエルフにどうにも出来ないとしたらどうします?」
「くぅ……こうなったら力尽くで行くぞ!」
勇ましい声をあげエルフの皆さんは馬を走らせ向かってくる。聞かれたから正直に答えただけなのになあと思いつつ、手に持っている鉄の棒で撃退しようと構えた。
接敵まで少しあったが、一人目の左肩を素早く突きバランスを崩させて落馬させ、二人目は振り上げ肩を思い切り強打し、そのまま顔へ動かして押し落馬させる。
相手の得物は木のレイピアであり、リーチは明らかにこちらが長く有利だった。斬れるような武器ではないので騎手のみを思い切り攻撃していく。
馬は騎手が落馬すると一目散に逃げていくので、エルフよりも賢くて助かる。エイレアも里から棒を持参したらしく、慣れないながらも懸命に戦っていた。
ヴァルドバの動きも見つつエイレアをフォローし、しばらく戦っていると敵の数が少なくなり敵の大将が見やすくなる。
「まだやるのか? もう人も減ったし飽きただろ?」
「お、お前はいったい何なんだ……? なぜ人間族が我ら以上に馬を器用に扱える!?」
「サジーとの相性が良いだけだよ。アンタも自分に合う馬を探したらどうだ? 見たところ馬は逃げたがっているようだが」
鉄の棒の先をアライアスの父親へ向けながら言う。馬は明らかにこちらに来るのを嫌がっており、棒を向けられた瞬間、足を高く上げて旋回しようとし始めた。
「クソッ……この駄馬め! 言うことを聞けっ!」
「見るに堪えないな……サジー、行くぞ!」
「「コーイチ、やっちゃえ!」」
前にいる小さな二人からもお許しが出たので、残りの敵を倒すことにする。サジーは長旅にも拘らず疲れを見せず、こちらの思う様に移動してくれた。
これまでの様子を見ていた残りの敵は、もはや戦意というものがなく攻撃を受けると即敗走し始める。アライアスたちも逃げようとしたが、素早く距離を詰め頭部を薙いで落としていく。
「おおアライアスよ! 何と情けない!」
「息子のことをそういうのだから、あなたは出来るのでしょうな?」
落馬し顔を抑える息子を見て嘆いていたが、明らかに及び腰でそれが馬にも伝わり、今にも逃げ出そうとしているアライアスの父に対し、棒の先を向けて問う。
「な、生意気で下賤な人間族め! 昔は貴様らを奴隷として飼ってやっていたのだぞ!?」
「……だから何なのです? 俺が勝ったらあなたを奴隷として飼えとおっしゃっているのですか? 申し訳ないですがそんな趣味はないのでお断りします」
「ち、ちくしょおおおおおお!」
馬の手綱を強引に引き足を上げさせ、下ろしたところでこちらに向かって来ようとしたので、素早く突きを繰り出し軽くおでこに当てて即引いてみせた。跡どころか赤くもなっていない額を擦り、覚えていろよと捨て台詞を吐いてアライアスの父は敗走していく。
こちらに倒された残されたエルフたちを見ながら、踏まないようにハクロを目指して移動を再開する。
「じゃあなアライアス、元気で暮らせよ」
短期間とは言え一時は共に過ごした仲間、声を掛けずに去るのは哀しいと思ったので、横を通る時にそう声を掛けて先を急ぐため走り出す。
冒険者ランク:シルバー級?
職業:二刀流剣士(初級)?
称号:マナの木の騎士
魔法:生命力変換Lv.5
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.5
魂斬り (ソウルスラッシュ)Lv.5
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
士元勇太(元黒騎士)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
騎乗時の武器:鉄の棒
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
皆とおそろいの裁縫セット(緑)
所持金:十三ゴールド




