第百二十三話 おかえり! ただいま!
俺がここまで長い旅路をして魔神を倒したのも、イリスを助けるという目的の為だ。この世界で最初の大きな依頼をまだ果たしていない。
彼女をちゃんと両親のいる家に帰してこそ、本当に依頼が終わり旅が終わる。
「凄かったね! 勝ったね! おめでとうだね!」
「イリス!」
目の前にイリスは突然現れ、足元を走り回って喜んでくれた。こちらも喜びを爆発させたいところだが、おじさんなので落ち着いて手にしていた剣を置き、膝を折り手を広げる。
「おかえり!」
笑顔で助走をつけ思い切り胸の中に飛び込んで来てくれ、抱き着きイリスはそう言ってくれた。一番近くで聞きたかった言葉をやっと聞け、ほっとして涙腺が緩みそうになるのを堪える。
「ただいま。イリスもお帰り!」
「うん! ただいま!」
イリスの元気な声が胸に染みて、涙が目に溜まっていくのが分かる。前を見るとエリザベスたちが微笑んでいて気恥ずかしくなり、誤魔化すようにイリスを抱えて立ち上がった。
「エリザベス、皆さん、イリスがお世話になりました」
「ました!」
「いえいえ、イリスはとても良い子でしたし私たちも楽しかったです。また遊びましょうね、イリス」
「うん! また遊ぶ!」
マナの木の中にまた入れるのかなと思ったが、ラヴァルがエルフで魔法が使えない者は元々マナの木の巫女、そう言っていたのを思い出し交流は可能なのだろうと考えるに至る。
「では勇者コーイチ、またお会い致しましょう。あなたは私たちの勇者、この縁は切れることは無いのでこれからも見守っていきます。剣は二振りともこちらで預かっておきますので、クリスタルソードの件はエレクトラにもそう伝えてください」
「え? あ、ありがとう! 遠く離れても俺も皆のことを思っているよ」
感謝を述べそう返すもまた笑われてしまった。いったい何があるのだろうかと疑問に思い、聞こうとしたが場面がいきなり変わりエルフの里へ戻っている。
「マナの木との会話は済んだか? コーイチ」
隣にいた銀髪の男にそう言われ驚き後ずさった後で、それが黒騎士で会ったことを思い出し、よく分かったなと答えると鼻で笑われた。
「そんな話はどうでもいい。お前はこれからどうするんだ?」
「俺はイリスを両親の元へ送り届けて、その後で俺の国を作るために旅に出るつもりだ」
「え!? そうなの!?」
抱きかかえていたイリスが驚きの声をあげる。そういえばその話をしていた時、イリスは王妃様の膝の上で寝ていたなと思いそうだと答えた。
「その夢が叶うと良いな」
「応援してくれてありがとう。出来れば手伝ってくれれば助かるよ、人手が無いんだ。面子は俺とヴァルドバだけだし」
「ふん、手伝ってやろう」
あまりにも意外な答えを即答したので、一瞬止まった後でどういうことと尋ねたところ、お前がいると間違いなく戦いが生まれるからだと返される。
魔神のことなら俺が原因ではないだろうというも、また鼻で笑われた。癖なのかなコイツの。
「恐らくその子供も何となくわかっているかもしれんぞ?」
「何が?」
「よく考えてもみろ。魔神を倒した男など放っておいて良いことがあると思うか? お前の国を作るということは王になるというのだろうから聞くが、お前なら放っておくか?」
黒騎士の言葉に反論しようとするも、確かに自分でもと思ってしまい返す言葉もない。が、タウマス王は尽力を約束してくれたわけだし、さすがにそれを反故にするのはないでしょうと言うも、また鼻で笑われる。
「まぁ何でもいい。協力はしてやるし俺はエルフの里にダークエルフたちと残り、お前が戻ってくるのを待っているから、さっさとそのガキを返してこい」
「ガキじゃないもん! イリスだよ!」
「うるさい。俺には関係無い生き物の名前など覚える気はない」
「いや、俺はここに戻ってくる予定は今のところ無いんだけど」
「良いから返してこい。話はそれからだ。俺の力が要らんのか?」
鬱陶しいみたいな顔をしながら言われた。取りつく島も無さそうだと考え言ってくると告げて、その場を後にしてエルフの里の入口を目指す。
冒険者ランク:シルバー級?
職業:二刀流剣士(初級)?
魔法:生命力変換Lv.2→5
冥府渡り(デッド・オア・ダイブ)Lv.2→5
魂斬り (ソウルスラッシュ)Lv.2→5
仲間:エイレア(エレクトラ王妃の妹のエルフ族)
ヴァルドバ(ワーウルフ)
士元勇太(元黒騎士)
騎乗馬:サジー(白毛の小さめの馬)
所持品
メイン武器:ソードブレイカー・右
サブ武器:ソードブレイカー・左
魔神の三又槍
騎乗時の武器:鉄の棒
防具:布の服・ズボン・革の靴(初期装備)
エルフのマント(裏面に魔法陣が隙間なく掛かれ、表はど真ん中にウロボロスのマークが入ったマント)
アイテム:エリナから貰ったリュック
(非常食各種、水、身分証、支援金五十ゴールド、地図、治療セット箱)
キャンプ用品一式
水晶の荒粒
追憶のペンダント(エレクトラ王妃から借りた物。マナの木の持ち物?)
砥石一式
鉄くずの入った袋
メメリカ草(痺れ消し草の粉末一袋)
皆とおそろいの裁縫セット(緑)
所持金:十三ゴールド




