第一話裏設定
主人公:フィリア
年齢:見た目は16歳前後(本人も正確な年齢は不明)
旅を続ける少女。
人を死の淵から回復させられる常軌を逸した能力を持つが、その代償として人々から忘れられてしまう。
本人は大人しい性格だと思っているが、実際はかなりのお節介。
困っている人を見ると放っておけない。
本人もなぜそうなのかはよく分かっていない。
趣味は手帳に日記を書くこと。
もっとも、それは忘れてしまう自分のために記録を残すためでもある。
なお、人助けは日常であり、本人は趣味だと思っていない。
<春を待つ少女>
名前:エマ
年齢:10歳
海辺の村に住む少女。
船乗りの父を持つ。
父親が航海先から持ち帰る珍しい品を見るのが好き。
特に変な置物がお気に入り。
春になれば父親が帰ってくると信じている。
フィリアは名前を聞き忘れたため、手帳には『病気の少女』としか残らなかった。
名前:マリア
年齢:27歳
少女の母親。夫が長期航海に出ているため、一人で家を守っている。
娘の看病を続けていた。
気丈に振る舞っていたが、内心では娘が助からないと半ば覚悟していた。
フィリアへ感謝を伝えた数分後には、その顔も名前も思い出せなくなる。
名前:トーマス
年齢:29歳
少女の父親。遠洋航海を行う船乗り。
夏に出港し、現在は海のどこかにいる。
この世界では通信手段が発達していないため、現在地不明、連絡不可、手紙も届かないという状態。
エマとの約束は、「春になったら帰る」。その一言。
第一話では最後まで登場しない。
なお、春には無事帰還している。
病気だったエマの話を聞き、それ以降は以前ほど長期間家を空けなくなったという。
<町はずれの農家>
名前:ハンナ
年齢:60歳
町外れで夫と農場を営む女性。
行商人の紹介でフィリアを一晩泊めた。
慢性的な腰痛持ち。
翌朝には腰痛が改善しているが、なぜ改善したのかは覚えていられない。
フィリアの手帳には、『町のはずれの農家』としか残らない。
名前:ゲオルグ
年齢:62歳
ハンナの夫。
当時は町へ出ていたため作中には登場していない。
フィリアと入れ替わるように帰宅した際、「婆さん、今日は調子が良さそうだな」と不思議に思っていた。
<行商人一行>
名前:アルベルト
年齢:46歳
行商人の旦那。農家への紹介状を書いた人物。面倒見が良い。
娘と同じくらいの年齢のフィリアを放っておけなかった。
手帳には名前が残っているが、フィリアはもう顔を思い出せない。
名前:ソフィア
年齢:43歳
アルベルトの妻。馬車の中で食事を分けてくれた女性。話好き。
娘と同じくらいの年頃のフィリアが、あまり自分のことを話さなかったため少し心配していた。
フィリアのことは忘れてしまうが、「優しい子だった」という印象だけは何故か残っている。
名前:レオン
年齢:55歳
馬車の御者。腕っぷしが強く、行商人一家の護衛も兼ねている。
雪道で転倒し腕を骨折する。
フィリアに治療されるが、翌日には腕がなぜ治ったのか思い出せない。
ただ、「親切な旅の人がいた気がする」という感覚だけが残っている。
名前:ヨハン、セーラ
年齢:18歳、16歳
アルベルトとソフィアの息子と娘。
二人とも家業を手伝っており、今回の旅には同行していなかった。
帰宅した両親から旅の話を聞くが、不思議な違和感を抱く。
両親は確かに旅の途中で誰かと出会い、数日間を共に過ごしたと言う。
けれど、その人物の名前も顔も思い出せない。
それなのに、「優しい子だった」という話だけは何度も出てくる。
数日間も行動を共にした相手を忘れるなど普通ではない。
ヨハンはその異様さを密かに気にしており、セーラもまた、どこか寂しそうな両親の様子を不思議に思っている。
<エマの病気>
エマが罹っていたのは、肺炎と魔力症を併発した状態だった。
魔力症とは、この世界で稀に発生する原因不明の病である。
体内の魔力循環が乱れ、臓器へ大きな負担を与える。
症状は人によって異なるが、エマの場合は肺に症状が現れていた。
その結果、高熱、呼吸困難、慢性的な衰弱が続いていた。
村医者は肺炎の治療を試みたものの、根本原因である魔力症を治療できず、症状は悪化し続けていた。
この世界には魔法使いこそ存在する。
しかしその数は極めて少ない。
一国に十人いるかどうかと言われており、その半数以上は王国や貴族家に仕えている。
辺境の小さな村で本格的な治療魔法を受けることは、ほぼ不可能だった。
また、仮に水魔法の使い手がいたとしても、治療できるのは肺炎までである。
魔力症そのものを治癒する術は確認されていない。
そのため村では、「この冬は越せないだろう」と考えられていた。
フィリアの女神の如き力は、肺炎だけでなく魔力症そのものまで治癒したため、エマは完全に回復した。




