プロローグ裏設定
裏設定なので初投稿です。
<フィリアを拾った老夫婦について>
名前:クララ
年齢:69歳
穏やかで世話好きな女性。
記憶を失い、不安そうにしていた少女へ
「フィリア」という名前を与えた人。
フィリアにとっての名付け親である。
名前:マルクス
年齢:72歳
村でも腕の良い農夫として知られていた老人。
口は悪く不器用だが面倒見が良い。
ただし照れくさいので、自分から認めることはない。
フィリアのことは本当の孫のように思っていた。
<夫婦の過去>
夫婦には一人娘がいた。娘の名前はルチア。
しかし、産後の肥立ちが悪く、それ以来子どもを授かることができなくなった。
夫婦は娘をとても大切に育てた。
娘は夫婦の宝だった。
農場を手伝い、家族三人で食卓を囲み、笑い合いながら暮らしていた。
しかし、娘が十七歳になった年。
冬に差し掛かった頃、急に体調を崩した。
最初は風邪だと思われていた。
だが身体は日に日に弱り、やがて起き上がることもできなくなった。
食事も取れなくなり、痩せ細っていった。
二人は必死に看病したが、助けることはできなかった。
娘は春を迎えられず十七歳のまま亡くなった。
それ以来、マルクスもクララも娘の話をほとんどしなくなった。
娘の部屋だけは片付けられないまま残されていた。
しかし、埃を被ることはなかった。
クララが定期的に掃除をしていたからである。
フィリアが老夫婦の元で暮らしていた部屋は、その娘の部屋である。
フィリアはそのことを知ることはなかった。
<フィリアという名前>
「フィリア」はラテン語で「娘」を意味する言葉。
クララは特別な知識があって名付けたわけではない。
ただ、名前のない少女を見ているうちに、どこか亡くなった娘を思い出してしまった。
だから無意識のうちに、少女へ「娘」という意味の名前を付けた。
クララはそのことに気付いていない。
マルクスも気付いていない。
そしてフィリアもまた、その名前に込められた意味を知らない。
<クララの病気>
クララが患ったのは重度の肺感染症であり、敗血症まで進行していた。
高熱と咳が止まらず、すでに肺へ大きなダメージが及んでいた。
この世界の医療水準では回復は極めて困難であり、村の医師も助からないだろうと考えていた。
フィリアが力を使わなければ、数日以内に亡くなっていた可能性が高い。
<フィリアの容姿>
フィリアは十六歳前後に見える少女。
身長は155cmほど。
体格は細身で、あまり肉付きは良くない。
人を救う力の代償として記憶だけでなく体力も消耗するため、どこか儚い印象を与える。
髪は淡い銀色。
腰の少し上まで届く長い髪をしている。
普段は邪魔にならないよう後ろで緩くまとめていることが多い。
手入れは得意ではないが、不思議と痛みにくい。
本人はその理由を知らない。
瞳は澄んだ蒼色。
水面のような静かな色をしている。
怒ることが少ないため、初対面では大人しく優しい印象を持たれる。
一方で誰かを助けようと決意した時だけは、不思議な強さを宿す。
顔立ちは整っている。
ただし本人はまったく自覚していない。
むしろ自分の容姿については無頓着。
身だしなみには気を遣うが、それは他人に失礼にならないためであって、自分を綺麗に見せたいからではない。
一目見て絶世の美女と思われるタイプではなく、「あれ、あの子すごく可愛くない?」と後から気付くタイプ。
笑うと一気に親しみやすくなる。
クラスで「あの子の良さを知ってるのは自分だけだな」と10人中10人に思われているタイプ。
肌は白い。
旅人としては不自然なほど傷が少ない。
小さな傷であれば眠っている間に消えてしまう。
本人は「治りやすい体質なのだろう」と考えている。
服装は非常に質素。
白いブラウスに茶色のスカート。
服は老夫婦の娘のおさがりである。
旅用のブーツ。マント一枚。
目立つ装飾品は持たない。老夫婦の家を旅立つ前に買った小さな手帳を肌身離さず持っている。
多くの人はフィリアを見て、「どこにでもいそうな、優しそうな少女」という印象を抱く。
フィリアは美人というより、優しいが先に来る。
道端で困っている人を見ると、話しかける前から手を貸しそうな顔。
警戒心より心配が先に来そうな顔。
そして、彼女の奇跡を目にしたとき目の前にいた少女が誰なのかを忘れてしまう。
フィリアの容姿で重要なのは「美少女」であることではない。
どこにでもいそうな少女であり、誰かの娘であり、誰かの隣人であり、誰かの家族になれたかもしれない少女。
だからこそ、彼女の名前は「フィリア」なのである。




