第9話「港、港だ」
厨房を抜け、従業員通路を抜ける。
ゾンビは思っていた通り、外に出ていったようだ。
それでも4~5体いる。
俺達はそいつらを倒しながら進んだ。
外へとつながる扉に着いた。
扉はすでに空いている。
トラックから荷物をスムーズに受け取れるように、地面から少し高い。
外には、ゾンビが複数いた。
こちらに気付いた。
ゆっくりとゾンビが迫ってくる。
ゾンビの恐ろしさは数の暴力だ。
集まってくる前に行動しなくてはならない。
「ミロス、ヴィクトリアを頼む」
ミロスはヴィクトリアを抱える。
「行くぞ」
俺は走り出した。
それを合図にミロスも走り出す。
ゾンビの真ん中は行かない。
ぐるりと回って、端を行く。
「先に行け」
ミロスを先に行かせる。
横からゾンビが迫る。
俺はそいつらを中華鍋で倒す。
しばらくして、大通りに出る。
人の往来は少ないようで、ゾンビはほとんどいなかった。
さて、どうしようか。
あの時と同じく、軍に救助されるのが良いだろう。
ここは大都市、ゾンビパニックには最悪だ。
軍が防衛できる場所がいい。
どこかいい場所はあるか?
沿岸都市にあるが人が少なく、柵がある。
あの時と同じ、刑務所か?
俺は携帯端末で刑務所を探す。
内陸部の中心地にあった。
ここはだめだ。
ここはかつて中華人民共和国。
効率の良い官僚制で人民統制が激しかった社会主義国。
だが、一部地域は資本主義が導入されていた。
資本、売買、取引、貿易、港だ。
中華人民共和国であった地域なら、資本はある程度管理されているはず。
つまり鉄柵があるはず。
そしてコンテナ港は人が少ない。
そして敷地がある。
軍隊が防衛する敷地にはもってこいだ。
「港、港だ」
俺は携帯端末で港を調べた。
出てきた。
上海港。
世界最大のコンテナ港で、ここから北にある。
徒歩だと6時間ほどだ。
車が欲しい。
だが、ほとんど鍵がかかっているだろう。
バイクも同じだ。
自転車が可能性としてある。
だが、それだと徒歩の半分ほど、3時間だ。
それに、ヴィクトリアは自転車に乗れない。
エンジン音が聞こえる。
音がする方を見ると、遠くに車があった。
青い車だ。
「あの車を止めるぞ、広がれ」
中央を俺にして、左右に広がる。
そして腕を広げる。
これは賭けだ。
車が俺達の前で止まれない速度なら、すぐさま横に回避する。
あの車はおよそ40キロメートル毎時で走っている。
この片側1車線道路ではそのくらいになるだろう。
晴れ、道路はアスファルト、停止距離は25メートルよりちょっと弱いくらいほど。
「ミロス、地面の点線が7個になったら逃げろ!ヴィクトリアは怖くなったら逃げろ」
車が来る。




