第10話「え?あなたもクローンなの?」
そして車は、俺体の目の前で止まった。
「邪魔だ!どいてくれないか!」
車からアジア人男性が顔を出す。
「どこに行く?」
俺は男の目を見る。
「外高橋港ですが・・・」
俺は答えた。
「俺もだ」
男はしばらく考える。
「リターンは何でしょうか?」
俺は自信をもって答えた。
「護衛する。俺達はメインの生き残りだ」
「メインの生き残り?まさか、メイン事件でしょうか?」
「そうだ」
「どうやって生き残りました?」
「実力だ。今だってそこの遊園地から逃げてきたんだ」
「へえ、上海のは世界でも有数の人口密度。実力はあるようですね」
男はしばらく考える。
「いいでしょう。どうぞ」
俺達は車に乗った。
そして、車が発進する。
「メイン事件といえば、クローンが有名ですよね」
「ん?ああ、そうだな」
「私もあの事件で自分がクローンだと知ったんです」
「え?あなたもクローンなの?」
「もしかして彼女もですか?」
「いや、クローンは俺だ。妻は普通の人間だ」
「そうなんですか。同じクローン人に会って安心しました」
俺と男は握手をした。
「ねえ、クローンって何?」
そうだった、ヴィクトリアには自分がクローンであることを伝えていないし、クローンが何か知らない
「そうね・・・」
「お嬢さん、遺伝子をコピーして作られた生命のことだよ」
「ん?遺伝子?」
「ああ、遺伝子は生き物の情報が詰まっているものだ」
「生き物の情報?例えば?」
「基本的に人間は手が2本、足が2本ある。もっと細かい情報だってある。とある人は早く走れるが、とある人は遅い。そんないろんな情報が詰まっているのが遺伝子だ」
「ふーん?お父さんはクローンなの?」
「そうだ」
「だと何になるの?」
「まあ、何にもならないよ。似ている人が他人より多いだけだ」
ヴィクトリアは満足したように、その後質問はなかった。
車は片側4車線の道路を進む。
だが、違和感があった。
車がやけに少ない。
「なあ、車が少なくないか?」
「ええ、この道路は世界危機以前に作られた道路です。人口が減る前に作られたんです」
「なるほど、だからこんなに車な少ないのか」
これは俺がメイン事件半年後に家を購入でき、バーを再開できた理由でもある。
人口の8割が一度に減った。
不動産の需要は減り、供給が上がる。
その結果、不動産の価値は真っ逆さまになった。
20分ほどしたところだろうか。
ついに渋滞にぶつかった。
「降りるぞ」
俺は携帯端末を取り出し、現在位置を確認する。
外高橋港はここから歩いて1時間ほどだ。
俺は車を降り、あたりを見回す。
最悪だ。
ゾンビの群れに、土地勘のない場所。
俺は眉唾を飲み込んだ。




