第7話「もっと楽しみたかった」
従業員は5人ほどいた。
「皆様、こちらへ」
俺達を連れて通路を進む。
T時の通路の右から叫び声が聞こえる。
見ると、何人かの人間がこちらに迫っていた。
そしてその後ろには大勢のゾンビ。
そう、あの日見たゾンビだ。
いや、あの日よりひどい。
体の様々な箇所から血が流れている。
この数はおそらく海賊のアトラクション横に併設されたレストラン。
そこからの客だろう。
「早く!」
俺は叫んだ。
だが通路は進まなかった。
渋滞だ。
ここらの客が出口に集中し、渋滞が発生したのだ。
おそらく出口はトラックによる材料の搬入のため、地面と高低差がある。
そこで渋滞が発生しているのだろう。
だが、右はゾンビが来ている。
後ろに進めば、ただ悪夢に戻るだけ。
どうする?
「もっと楽しみたかった」
ヴィクトリアの声が聞こえる。
待て、アトラクションのゲートは閉じていなかったはずだ。
俺は後ろを向いた。
暗黒だが、扉っぽいものが空いている。
空きっぱなしだ。
「ああもっと楽しもう、ヴィクトリア。ミロス?」
「何でしょう?」
「行くぞ」
「ええ」
俺達は海賊のアトラクションの従業員ゲートへ向かった。
そして到着したら、その扉を閉める。
閉まった。
こちらから外開きだ。
圧力がよほどでもない限り外側からでは空かない。
逆に安全になった。
ふと足元を見る。
やんわり光っているパネルがある。
携帯端末を取り出し、光を向ける。
扉、消化器か。
俺は扉を開け、赤い消火器を取り出した。
少しずつ水に濡れないように進む。
「ヴィクトリア、水から離れるんだ。大丈夫だと思うが」
水の中には既にウイルスが入っているかもしれない。
出血熱を起こすレベルのウイルスだ。
そんなウイルスは血液感染レベルじゃないと起こりえないし、そんなウイルスが水中を生きれて、感染できることはない。
大丈夫だとは思うが。
ボートだとゆっくり進むところを通る。
すぐ横に、骸骨の人形が現れる。
そのたびにヴィクトリアがびっくりした声を出した。
海賊たちが優雅に宴会を行っている現場に出る。
上を見ると橋があった。
あからさまに頑丈に作られた橋の上はやけに足元が照らされていた。
「あれは、レストラン客の通路じゃないか?」
「じゃあ、あれを通れば、レストランの厨房から、さっきの通路で外に出られるんじゃ?」
「いけるかもな。あの通路にいたゾンビの大半が外に出ていればいいが。少なくともミロスが持つ武器があるかもしれない。けど、どうやって昇る?」
ミロスは手を前に組み、こちらを向く。
「いや、それは最初俺の方がいい」
ミロスをどかし、俺が同じポーズをとる。




