第6話「ウェルカム、トゥザ―」
5分ほどして先頭に着いた。
スタッフにチケットを3枚渡す。
スタンプが押され、こちらに返される。
回転扉を押し、ゲートをくぐる。
「ウェルカム、トゥザ―」
発音の良い男性の声が俺達を迎えた。
6歳になるヴィクトリアはここに来るのがずっと楽しみだった。
D社のアニメを食い入るように眺め、就寝時には絵本を読み聞かせてもらっていた。
ヴィクトリアはエントランスにいる着ぐるみのキャラクターに駆け寄った。
だが、人だかりが多くて、キャラクターを見れないようだ。
俺はヴィクトリアを抱きかかえ、肩に座らせた。
とても喜んでいるようだ。
俺はこのキャラクターは知らない。
「行こう、乗り物乗りたいだろ」
「うん」
ヴィクトリアを下ろし、ストリートを通る。
カラフルなそして様々な時代、地域の建物のようなレストランやグッズストアが軒を連ねている。
それを抜けると、シンデレラ城の見える池に出る。
最初に、ヴィクトリアの好きな映画の2足歩行化された動物ゾーンに向かった。
そしてこの子が乗りたがっていた、警察車両に乗って彼らの世界を探検するアトラクションに並んだ。
乗り場までの道中に映画にちなんだものが並ぶ。
結果、ミロスとヴィクトリアは楽しそうだったよ。
でも俺は知らないので、楽しめなかったようだ。
次は妻が好きな海賊の映画だ。
これは俺も知っている。
とは言っても、そんなに覚えてない。
おそらく8歳までの記憶だろう。
俺達の晩になり、ボートに乗る。
ゆっくりとアトラクションが動き出した。
次第に陽気なシーンから激しく戦闘を行う船のシーンとなった。
そしてそこで止まった。
シーンの演出なのかと乗っている乗客はあたりを見回したが、あまりにも止まっている時間が長かった。
「ねえ、何かあったの?」
「え、いや大丈夫だ」
俺は不安そうにこちらを見るヴィクトリアの頭を撫でた。
いや、ここから骸骨とかが出てくるから、何もなかったにしても怖いだろうな。
5分ほどして、ボートが動き始めた。
だが、正規のルートを外れ、従業員の作業用ルートに入る。
乗っていた俺達含む乗客は皆不安がっていた。
だがゲートが開くと驚いていたのは業務員だった。
「早く、降りてください」
バーが上がり、俺達は降りる。
ボートを見る。
一番後ろ、その背もたれをつかむように、人間の腕があった。
だが、それはまるで腐っているようだ。
放送がかかる。
「館内にて非常事態が発生しました。スタッフの方はゲストの方を従業員ゲート含む出入口へ誘導してください」
ここはまだスタッフ通路だからよいが、夢の国の中は、悪夢となっていたようだ。




