第13話「クローン人の国を作りたい、と」
俺達は缶詰を開けて空腹を感じないくらいには食べた。
周りには、空いた缶詰が散乱していた。
「これを1度にこんなに食べたのは初めてです。あなたたちはいつも同じ料理を食べるんですか?」
「ん?だいたいそうだろ」
キムは首を横に振る。
「クローンとはいえやはり文化の違いはあるものですね」
「まあでも、主食のない食事は大変ね」
それはそうだ。
これを1日これで過ごせ、と言われれば難しい。
1日のうち1食がこれならいける。
「そうだな、探すぞ」
「この島の近くに少し大きい島があります。そこへ物資送るため、ここを中継地点になっています。何かしらあるでしょう」
何か、か。
小麦、米は調理に水がいる。
ペットボトル程度の水しかもっていない俺達には調理できない。
火も持っていない。
ジャガイモもダメだ。
生では食べられない。
トウモロコシだ。
もしくは缶詰の乾燥パン。
ただ数が多い。
「ミロス、ヴィクトリアと一緒に。食べられそうなものがないか探してくれ。見つかったら、連絡してくれ」
「分かったわ」
そう言うと、ミロスはヴィクトリアの手を握り、離れていった。
それを見届け、俺はキムに向かった。
「お前は俺と来い」
「妻に子供を預けて大丈夫なのですか?」
「俺は妻を信頼しているだから結婚したんだ」
「お金や生活の安定の目的ではないんですか?」
「当たり前だろう、それは自分一人でも達成できる」
「なるほど、行きましょう」
俺達はコンテナの森を進んでいき、順次開けていく。
「あの、クローンだったことに誇りはありますか?」
「誇り?」
「他人とは何か違ったり、優秀だったりしませんか?」
「まあ、11人殺した殺人犯と同じ遺伝子だからな。そこそこ動きは良い」
キムは俺の両肩を掴んだ。
「私は思うのです。クローン人こそが人類の先にあるものではないでしょうか」
ん?どうゆう主張だ?」
「どうゆうことだ?」
「そのままの意味です。クローンはクローンでない人物に比べて優秀であるということです」
「それは、遺伝子によるものじゃないか?」
「だからです。人の能力は半分ほど遺伝子によります。優秀な遺伝子のクローンが国を作れば、効率の良い国が作れるのではないでしょうか?」
言いたいことはわかった。
「つまりは君は」
「そうです」
「クローン人の国を作りたい、と」
「そうです、クローン人の国を作りたいのです」
なるほど。
こいつはクローン人種主義者だ。
早くも携帯端末が音を鳴らした。
俺は手に取った。
『見つかったわ。乾パン』
俺は携帯端末をポケットに入れる。
「見つかったようだ、戻ろう」
俺達は戻った。




