第12話「食料を探そう」
川を下る。
川岸に助けを求める人が数人いた。
「どうする?助けるか?」
「任せます」
「んじゃ全員無視だ」
キムはその後何も言わなかった。
「嵊泗県はどこにあるんだ?」
「上海から橋があります。海岸沿いに北に行ってください」
海に出る。
ひたすらの地平線。
恐怖すら覚える。
そして左に曲がり海岸沿いを行く。
雲が暗い、降りそうだ。
しばらくして地平線へ続く橋が見えた。
「この橋ですね」
俺はその橋を沿って曲がる。
更にしばらくして島が見えた。
「あれが嵊泗県か?」
「ええ、おそらく。コンテナ港に向かってください」
右にコンテナ港が見える。
「ああ、見えるぞ。あそこだな」
そして、コンテナ港に着いた。
パッと見て、ゾンビはいない。
いや3体いた。
大丈夫だ、鍋で十分やれる。
接岸する。
「ミロス。先に上がって縄をつないでくれ。気を付けてくれ、怪我をする可能性がある」
「分かったわ」
ミロスはそう言うと、先に船から上がる。
「どうすればいいの?」
「2・3回巻いてくれ」
俺はミロスに縄を投げた。
ミロスは縄を受け取ると、係船柱に縄を3回巻く。
「よし、上がろう」
俺はヴィクトリアを抱え、岸に上がる。
キムもそれに続いて上がった。
近くに1体ゾンビがいた。
俺はミロスから鍋を奪い、そいつの頭にぶつける。
ゾンビはその場に倒れる。
だが、手足は動いている。
鍋を振り下ろす。
そいつの頭に当たり、手足も動かなくなった。
日は頂点に上がっていた。
海の波が光を照らしていた。
丁度昼頃だ。
俺の裾をヴィクトリアが引っ張る。
「おなかすいた」
「ああ、俺も腹が減った」
丁度その時間だ。
「食料を探そう」
ここはコンテナ港。
世界中の荷物が世界有数の人口を誇る地域に集まってくる。
食料は必ずある。
近くにあったコンテナを開ける。
中身は、家具だ。
横のコンテナを開ける。
中くらいの段ボール箱だ。
これを開ける。
缶詰だ。
パッケージは魚か?
輪切りの魚に茶色いソースがかかっている。
缶切りはいらないようだ。
開ける。
パッケージ通り、魚の切り身に茶色いソースがかかっている。
「キム、これが何か分かるか?」
「鯖ですね。鯖の味噌煮です」
「ミソニ?どんな味だ?」
「味としてはしょっぱいです。米と併せて食べると良いと思います」
ひとかけら手に取り、口に移す。
悪くない。
酒のつまみには十分なりうる。
「いいだろう、今日の昼はこれで済まそう」
俺はミロスに段ボールを渡した。
そして、ヴィクトリアにも1箱渡す。
「え?これだけ?本気ですか?飽きません?」
「いや、飽きるとかあるか?」
キムはしぶしぶ段ボールを受け取った。




