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黒い光に照らされて。  作者: ユウソン


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第五話 マッシュ南無三

とりあえず今回の件に関して話を軽く整理しよう。

その1

不倫調査。

その2

依頼者の失踪。

その3

依頼者と、その夫が遺体で発見。


依頼者は新城市の山の中で残酷にもキャリーケースの様な鞄に詰められた状態で発見された。

死亡推定時刻は、失踪したその日から、日付を回った時間にかけて。つまり深夜。

その数日後に同場所にて、夫のほうも遺体で発見された。

目撃情報は、今の所無し。

おそらくだが、死亡した場所と、発見された場所は別と考えて良いだろう。

依頼者のみが、鞄に詰められるという状況にあり

夫の方はそのままの姿で見つかっている。

隠す気も無さそうな方法だ。

死因は2人とも刃物による刺傷が引き起こした出血多量のショック死。


事件に巻き込まれたとしても、

なぜ、2人に時間差があるのか。

隠す気のない事から誰かに対する警告やメッセージだったりするのだろうか。

それともただの素人による犯行なのか。


「事件になって俺たちが関わることができない以上は、推理もただの絵空事だな」

右手でハンドルを握り、左腕を肘掛けに置きその手の上に顎を乗せながら後輩は言う。

「まぁそうだな。考えた所で仕方ないのは分かっているんだが…。考えない方が難しい。」

思考を巡らせる事に集中していたお陰で放置されたタバコの灰が長くなっていた事に気付き、窓の外へ弾く。

「地球に優しくしろよ。」


「気が向いたらな。」


そんなやりとりをしながら車を走らせ、向かう先は、名古屋市中区の瓦町付近である。

この辺りには女子大通りだとか、女子大前だとかそんな名称がついているのだが、俺は地元でも何でもないので、どこに女子大があるのかわからない。

もしかしたらそう言う地名なのかも知れない。

無知を晒した所で、瓦町の交差点付近にある、コンビニの近くへと張り込む事にする。

「あのコンビニだな。」

対象者の勤務するコンビニを発見した。

写真を確認し、対象者が勤務しているかどうかを確認した後は、退勤までただひたすら待つのみ。

車を道路脇に停めて人待ちのフリをしながら待機する。

「住んでる場所もここから近いな。」

資料を照らし合わせながら、独り言の様に呟く。

「退勤まであと4、5時間はあるだろ?」

すでに飽きたと言わんばかりの大欠伸をしながら後輩は言った。

「まぁな。それでも、正直言うと短い方だ。ちゃんとした探偵なら出勤前どころか、家を出た所から尾行、張り込みをするからな。」

しばらく上に目線を走らせた後輩は、

「その言い方だと、俺たちちゃんとしてない探偵って事になるけど良いのか?」なんて痛い所を突く。

「良いんだよ!彼女が連絡を返さなくなったのは昼じゃなくて夜なんだから。あんまり細かい事言うんじゃねぇ!」



2時間の張り込みをした後に、突然対象者がコンビニから私服で出てきた。

「聞いていたよりずいぶん早い退勤だな…。

おい!車頼むぞ!」そう言い残し、返事も待たずにカメラを構えながら俺は彼女の後を追う。

後輩は俺の指示があるまで車に残り、状況や必要において、移動をする事があるのだ。

対象者が歩くなら基本はこちらも歩きで対応する。

(さてと、気を張らないとな。)どれほど気が向かないと言えど、仕事は仕事。

俺はこの仕事自体に誇りを持ってやっている。

手を抜くと言う考えは微塵も無いのだ。

この技術を高めてきたからこそ、今日の俺がある。

そう自分に何度も言い聞かせてきた。

頭の中を切り替え、仕事モードに入った瞬間に、

対象者は、ほんの数百メートル先のビルに入っていってしまった。

「あら?」驚くほど近くのビルに当たり前に入っていくものだから、呆気に取られしばらく動けなかった。

(これ、もしかして、掛け持ちでバイトしてるだけじゃねぇのか?)

そう思いなが、小走りに対象のビルへと駆け出した。

そのビルをカメラに収めた時俺は少し悩んでしまった。

(これ、マッシュに伝えたら、いったいどんな顔するんだろうなぁ……。)

後輩を呼びカメラを渡しながら見上げたその先は、

風俗店が各階に設置されているいやらしいビルだったのだ。

「コレ、マッシュに伝えて大丈夫か?」

心配そうに後輩を見ながら問う。

「あ〜…いやぁ〜…。」

2人して、10分ほど呆然とビルを眺めた。

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